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ナイル・ロジャース 最新インタビュー~主催する音楽フェス、エルトン・ジョンとのコラボ、新作の進捗を語る。
“ダンス・ミュージックの帝王”と称され、プロデューサー、ソングライター、ギタリストととしてマルチに活動するナイル・ロジャース。1977年にバーナード・エドワーズとシックを結成し、「おしゃれフリーク」や「グッド・タイムス」で米ビルボード・シングル・チャートで1位を記録。ディスコ/ダンス・ミュージックの火付け役となった彼は、その後マドンナの『ライク・ア・ヴァージン』、デヴィッド・ボウイの『レッツ・ダンス』、デュラン・デュランの『ノートリアス』などのプロデュースを手掛け、近年ではダフト・パンクの大ヒット・アルバム『ランダム・アクセス・メモリーズ』に参加したことで【グラミー賞】も受賞した。8月にはベック、デュラン・デュラン、ファレルらが出演する【FOLD (Freak Out Let’s Dance) Festival】を主催することも決定。また、シックとして約23年ぶりのスタジオ・アルバムをリリースすることも発表され、現在先行トラック「I'll Be There」も公開されている。毎年ロンドンのハイド・パークで行われている大型野外コンサート・シリーズ【Barclaycard presents British Summer Time】に出演したばかり(この日のステージにはサム・スミスやU2のザ・エッジも参加!)のナイルに、アルバムの進捗や【FOLD Festival】について話を聞いた。
作曲家として夢みることさ―
招いたアーティストが自分のヴィジョンを具現化するだけでなく、
さらに上のレベルへ引き上げてくれるというのは
▲ 「Get Lucky/Good Times/Happy w/ Pharrell」 (Live)
??【FOLD Festival】を主催するきっかけとなったのは?かなり時間をかけて作り上げたものなんですか?
ナイル・ロジャース:実は、数年前(2012年)にスイスのモントルー(・ジャズ・フェスティヴァル)で行っているんだ。
??名称も同じですか?
ナイル:その時は【Freak Out! Festival】と言う名称だった。フェス側は【モントルー・ジャズ・フェスティヴァル】だから、ダンス・ミュージック、エレクトロニック・ミュージックやDJミュージックはうまくいかない、の一点張りだった。だから僕は「きっとうまくいくさ。聴き手がこういう音楽も実は好きだと理解できればね。ニッチな音楽だから好き嫌いしてるだけだと思う。」と答えたんだ。「一度聴いてみればわかる。」って付け加えて。とてもアメイジングだったよ。ダンス・ミュージックがぶっ通し11時間プレイされたんだ。
??今回のフェスティヴァルではキュレーターも務めたんですよね?
ナイル:そうだ、だが実は前回もキュレートしてる…。
??今回はデュラン・デュランやファレルが出演予定で…。
ナイル:ベックやパロマ・フェイスも出る。
??あなたとあなたの感性に合った、様々なジャンルのアーティストが出演する、楽しそうなイベントですよね。
ナイル:そうなんだ。それが僕の意図だから。僕は様々なスタイルの音楽に関わっている。これらのアーティストが集まったのは偶然じゃない。(この時、ゴルフカートに乗ったサム・スミスがやってくる)調子はどうだ、サム!元気でな!(ナイルに向ってサムが「愛してるよ!」と叫ぶ)僕も愛してるよ!じゃあな!早く元気になってくれよ。(サムがゴルフカートで走り去っていく)今回出演するアーティストたちが、過去に僕が仕事をしたことがある人々でもあるというのは偶然じゃない。中には、今後一緒に仕事をする人たちもいる。
▲ 「Pressure Off feat. Janelle Monae and Nile Rodgers」 / Duran Duran
??確かに、デュラン・デュランの新作(9月18日リリースの『Paper Gods』)にも参加してます。いくつかの曲でプロデューサーを務めているそうですね。
ナイル:そう、プロデュースと曲も共作している。
??最後にデュラン・デュランと同じステージに立ったのはいつ頃ですか?
ナイル:きっとここだな(2013年に)。サイモン・ル・ボンとはこれまでいくつか小さなショーをやったことがあるんだ。去年はイビサ島で一緒にプレイした。ジョージ・クリントンと一緒にね。素晴らしかった!本当にアメイジングさ。サイモン・ル・ボンが「Tear the Roof Off the Sucker」を歌って。
??ご自身のアルバムも近々リリース予定ですよね。カイリー(・ミノーグ)と誰かと仕事をしたとツイートしていましたが。
ナイル:そう、ナーヴォだ。
??クレイジーですね。
ナイル:そう、でもそれはナーヴォのアルバムのためで…。
??あぁ、ナーヴォのアルバムに収録されるんですね?カイリーも一緒ですか?
ナイル:カイリーとシザー・シスターズのジェイク・シアーズもだ。
??なるほど。あなたのアルバムに収録されるのかよくわからなかったので…。
ナイル:ノー、そうじゃないんだ。みんなでよく一緒に作業をしてるから、まだどうなるかわからなくて。ツイートをした時点ではね…。
??あなたのアルバムがいつリリースされるなど、確定していることはありますか?
ナイル:いいや、まだ言えないんだ。完成させようとしている曲が、あと2曲あるから。というのは…、これは偶然なんだけど、作業を始めた時はゲスト・アーティストは起用したくないと思っていて…。
??確かに、以前おっしゃっていましたね。
ナイル:というのも、妙な感じだったから。その後エルトン・ジョンが主催した【アカデミー賞】のパーティーで、彼と話をしていて、その時に初めてベックに会ったんだ。それで彼と話をして…。
??彼がフェスに出演することになった…。
ナイル:そう。そしてエルトンが言ったんだ、「ナイル、何か新しい作品を作ってるそうじゃないか。」って。驚いたよ。昔からエルトンのことが大好きだったから、何かできたら素晴らしい、と思って。これまで幾度も一緒に仕事をしたことがあるけれど、一緒にレコーディングしたことはなかった。だから、「曲を書いたので、あなたに歌って欲しい。」と話したんだ。そうしたら、スタジオにやってきてくれた。アメイジングだった、本当に。作曲家として夢みることさ―招いたアーティストが自分のヴィジョンを具現化するだけでなく、さらに上のレベルへ引き上げてくれるというのは。彼がレコーディングを終えた時、僕は(デュラン・デュランのアルバムのために)ジャネール・モネイとのレコーディングを終えたばかりで、彼女の実力は理解していた。そこで、エルトンのパートより1オクターヴ高く歌ってもらおうと考えた。2人が息をピッタリ合わせて歌うんだ。
??アメイジングじゃないですか。
ナイル:そう、2人はなんなく課題をこなしてくれた。
??スゴイですね。
ナイル:気付けば、デュエットに惹かれていた。その1曲を作って、次もデュエットを作った。マイケル・マクドナルドとともに。この数日後にはチャカ・カーンと一緒にレコーディングする予定なんだ。そんなわけで、みんなのツアーが終わるまで待たないといけないんだ。
??確かに。まるで1700万人ぐらいの人々のスケジュールを調整しているようなものですからね。
ナイル:そうなんだ。それも、やろうと思ってなかったことで、自然と起ったことなんだ。それが正しいと感じれば、背を向けることができない。「いや、でも元々はこうしようと決めてたんだ。」なんて言えない。少し葛藤したけれど、「ハートに従おう。」と思って進めたら、素晴らしい曲が生まれた。エルトン・ジョンとジャネール・モネイ―アメイジングな組み合わせだったと思うね。
??曲のタイトルはすでに発表されているのですか?
ナイル:「Queen」というタイトルだよ。
??とのことです。
ナイル:(笑)。
Q&A by Keith Caulfield / 2015年6月26日 Billboard.com掲載
"I'll Be There" - CHIC feat. Nile Rodgers
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