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リンダー・ブラザーズーーダーティ・ループスのヘンリック擁する超絶フュージョン兄弟ユニットに来日直前スペシャルインタビュー

リンダー・ブラザーズ

 リンダー兄弟。日本で言ったら坂本兄弟、みたいなニュアンスだろうか。そう聞くと朴訥としているようだが、もちろん単なる兄弟ユニットではない。いまや世界的な知名度を誇るバンド=ダーティー・ループスのベーシスト、ヘンリック・リンダーを擁する超絶フュージョン・ユニット。それがリンダー・ブラザーズだ。
 その構成員は名のごとくヘンリックとエリックのリンダー兄弟。今やあまりにも有名になった兄ヘンリックは割愛するとして、その弟エリックは、地元スウェーデンを拠点に活躍するフュージョン・ギタリストだ。幼い頃からミュージシャンとして互いをリスペクトしてきたという2人は、5月20日には初のユニット名義アルバム『リンダー・ブラザーズ』をリリース。来たる7月にはユニットとして初の来日公演も果たす。
 今回はそんなリンダー兄弟に念願のメール・インタビューを行った。アルバム『リンダー・ブラザーズ』は兄弟だけでなく彼らの地元スウェーデンの超絶ミュージシャンが集結した、いまのスウェーデン・フュージョン・シーンの底力に触れることの出来る作品でもある。そんな彼らに音楽の作り方やアルバムの楽曲についてQ&A形式で話を聞いた。

90年代初頭のフュージョンを現代のサウンドとミックスした曲を作りたかった

――リンダー・ブラザーズというプロジェクトはいつ頃から始動したのですか?

リンダー・ブラザーズ(以下LB):僕たちは以前からずっと一緒にプレイしていて、このプロジェクトを実現させようと長い間考えてたんだ。それで、2013年からやっとこのアルバムの制作に取り掛かり始めたんだ。

――お互いにそれぞれの性格やミュージシャンとしての才能を紹介してください。

エリック:ヘンリックは常にアイデアに溢れている。作曲の才能はもちろん、ベースの腕も最高で、ユニークな演奏方法を思いつく天才だよ。辛抱強くて、何事でも、それを習得するまであきらめない我慢強さを持っているね。

ヘンリック:弟のエリックは超賢くて、生まれついての音楽家なんだ。生まれたときから絶対音感があって、何でも難なく理解することができるんだよ。

――バンド内のお互いの役割やアルバム制作過程を教えてください。

LB:このアルバムはエリックがプロデュースをしているんだけど、制作の裏ではすごい苦労が多くて。僕達の演奏スタイルは長年試行錯誤をしながら習得してきたものだから、このアルバムではそれを全部さらけ出してやろうっていう感じだったね。

――アルバムからはフュージョンやジャズの他にロックやメタル、テクノの要素も感じました。アルバムを作るにあたって特に参考にした作品やミュージシャンはいますか?


▲Tribal Tech - The Big Wave live at Israel

LB:全体的にみると、このアルバムに最も影響を与えたのはアメリカのトライバル・テックかな。一番ロックしてる「π」は、スウェーデンのバンド、メシュガーからものすごく感化された曲だよ。僕たちが好きなフュージョン音楽の大半は90年代初頭に作られたものばかりで、あの時代のサウンドを、現代のサウンドとミックスした曲を作りたかったんだ。

――アルバム作りはどのようなプロセスで進めましたか?

LB:アレンジは全曲ともレコーディング前に完成していたんだ。まず、ドラムからレコーディングして、その次に「ウィ・メイク・パーティー・ホエン・ウィ・シー・アス」のベースのソロパートを収録した。そのベースを基準に他のパートも合わせていったんだ。アルバムの全指揮をエリックが一人で執っていたから、意見の衝突も多少あったよ。制作期間は2年かからないぐらいだったね。
 構成は2人で行って、アルバム制作に取り掛かる前にはすでに完成していたんだ。エリックの曲は2013年の5月から始めて、それから毎日ずっと、思い描いた音にたどり着くまで必死にプロジェクトに取り組んでた。サウンドは自ずからやってきて、僕達は自分が良いと思ったサウンドをただプレイした感じだったよ。

ゴールはセッション・プレイヤーで終わらずに
自分のやりたい音楽に取り組むこと

――アルバム中、インプロヴィゼーション(即興)のパートはありますか?

LB:どの曲にも即興ソロ演奏が入っているよ。それぞれ自分なりのユニークなやり方を持っていて、僕達2人によるソロパートに関して言えば、まず伴奏から始めて、フレーズひとつずつ録音し、お互いが満足するまでそれを続けるっていうやり方だったね。

――1曲目の「WHEN I WAS 16」の冒頭に人間の声が入っているように聴こえたのですが、あれは何と言っているのですか?

LB:あれは、ヘンリックが鳴らしたベースのビブラート音だよ!

――タイトルにも示唆的ですが、「π」を聴いた時、とても数学的なアプローチを感じる曲だと思いました。意識はしましたか?

LB:この曲には円周率を元にした演奏パターンがいくつかあって、それはリズム面にもメロディー面にも現れているね。一番わかりやすいのが終盤の5:25あたりのシンセサイザーの部分で、5度で長い音が流れて、それから3度、1度、4度…と旋律が続いていくんだよね。

――ヘンリックの関わっているダーティ・ループスと比較すると、一曲一曲が長いのが印象的ですが、それについては何か意識はしましたか?

LB:インストゥルメンタル・フュージョンの世界では、コーラス部分がいくつも必要となるんだけど、長めのソロ演奏で構成していくことに重点を置いているんだ。反対にポップ・ミュージックは、すべてをギュッとコンパクトにした構成で出来ている感じかな。ダーティ・ループスはこのポップ寄りのやり方だからね。

――6曲目の「NEVER UNDERESTIMATE THE POWER OF STUPID PEOPLE IN LARGE GROUPS」は変わったタイトルですが、これはどういう意味の言葉なのでしょうか?

LB:特別な意味はないんだけど、リアルだし、僕達はよくこういうこと言っているんだ。口癖みたいなものかな。

――今回、ドラムスとキーボードのメンバーはスウェーデン王立音楽アカデミー時代からのヘンリックのクラスメイトということですが、2人をアルバムに起用したのはなぜですか?


▲Space Boogie (Jeff Beck Cover) - Jonathan Lundberg Band

LB:僕達一緒に、ドラマーのジョナサン(・ランドバーグ)のバンドで何度もプレイしてたんだ。お互いのプレイスタイルを熟知していたし、気の合う仲のいい友達だから、自然とこういう形になったんだよ。

――ライブはレコーディングと同じメンバーで行うのでしょうか?

LB:その通り!

――アルバムは優れた演奏技術を持ったミュージシャンが集まった作品ですが、スウェーデンのフュージョン・コミュニティはやはり相当ハイレベルなのでしょうか?

LB:フュージョンを志している、スキルのあるミュージシャンはたくさんいるよ。だけど、このジャンルの需要って多いわけじゃないから、本当に音楽で食べていこうと考えているミュージシャンは、どんなジャンルでもいけるように、万能でいることを常に考えているね。それでも、僕達の目指すゴールはセッション・プレイヤーで終わらずに、自分のやりたい音楽に取り組むことなんだ。

――演奏が上手くなるコツは何かありますか?

LB:僕達の練習方法は、練習する時は必ず目標を達成するということ。例えば、即興テクを身に付けたいと思っているなら、フレーズをミスったらまた戻ってやり直すっていう作業をずっと続けるんだ。完全に習得して、うまくできるようになるまでそれを繰り返すんだ。

――最後に、日本での公演に向けてファンへメッセージをお願いします。

エリック:ヘンリックから日本のいいところをいっぱい聞いているよ。初来日でステージで演奏できるなんて、ものすごく良いよね!

ヘンリック:また日本に戻って来れて嬉しいよ。弟との初ステージがを楽しみにしてるよ!

リンダー・ブラザーズ ヘンリック・リンダー エリック・リンダー クリスチャン・クラフトリング ジョナサン・フリッツェン ジョナサン・ルンドバーグ「リンダー・ブラザーズ」

リンダー・ブラザーズ

2015/05/20 RELEASE
UCCU-1482 ¥ 2,860(税込)

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Disc01
  1. 01.ホエン・アイ・ワズ16
  2. 02.ウィ・メイク・パーティー・ホエン・ウィ・シー・アス
  3. 03.π
  4. 04.アラン
  5. 05.メイ
  6. 06.ネヴァー・アンダレスティメイト・ザ・パワー・オブ・ステューピッド・ピープル・イン・ラージ・グループス
  7. 07.20.5ディグリー・ブルース
  8. 08.ロブ・スネーク・ブルース

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