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楽園おんがく Vol.24:最新ハワイアン・ミュージックのすすめ
旅と音楽をこよなく愛する、沖縄在住ライター 栗本 斉による連載企画。第24回は、一足早くリゾート気分を味わえる最新ハワイアン・ミュージックをご紹介。
“楽園おんがく”というと、沖縄以外に思いつくのはやはりハワイ。古くから独特の音楽が栄えてきたこの島国では、今も新しいカルチャーが続々と生まれている。伝統的なハワイアン・ミュージックはもちろんだが、コンテンポラリーなポップスやAOR、そしてここ数年で定番となったハワイアン・レゲエにいたるまで、バラエティに富んだサウンドや歌声が聞こえてくるのだ。
しかし、多様なジャンルの彼らに共通するのは、どこか大らかでゆったりとしたイメージ。アイランド・ミュージック特有の空気感は、やはりハワイ産ならではの味わいだ。ここでは、この一年くらいの間に発売された新譜を中心に、最新のハワイアン・ミュージックを取り上げてみた。どこを切り取ってみても、極上の時間を過ごせる音楽であること間違いなし。ゴールデンウィークから夏休みまで楽しめるこれらのアルバムをお供に、一足早くリゾート気分を堪能してもらいたい。
『カ・レオ・オ・ロコ ~優しきハワイアン・ララバイ~』/ケオラ・ビーマー
スラックキー・ギターのベテランが、ヴォーカルや他の楽器を一切入れずにギター演奏だけで勝負したインスト作品集。ゆるやかな島の時間の流れを、そのまま音符に置き換えたような優しく美しい音色に癒される。ケオラが手掛けたオリジナル・ナンバーが中心だが、ジョージ・ウィンストンがゲスト参加した「ナ・ハラ・オ・ナウエ」やギャビー・パヒヌイなどの名演でも知られる「ワイ・ウル」などの伝統曲もあり。
『ハワイアン・ヴォイセズ ~30周年記念ベスト・コレクション~』/ナレオ
1985年に大ヒットした「ローカル・ボーイズ」から30年。女性3人による人気グループのアニバーサリーをいわうベスト・アルバム。伝統的なハワイアン・サウンドにジャズやポップスのエッセンスを加えたコンテンポラリーな味わいは、彼女たちの専売特許といってもいいだろう。古き良きハワイのイメージを想起させるような優雅なたたずまいは、ぜひともライヴでも味わってもらいたい。
『カワイオカレナ』/ケアリイ・レイシェル
1995年にデビューし、ハワイのミュージック・シーンでトップスターに鎮座するシンガー・ソングライター。チャントなど伝統音楽とポピュラリティのあるオリジナル・ナンバーをバランスよく配置し、彼にしか出せない味わいでアルバムを構成する技はさすが。なによりも雄大な自然が浮かび上がるような美しい歌声が圧巻だ。本人自ら”最後のアルバム”と公言するほどの充実作。
『ハウマーナ』/オリジナル・サウンドトラック
昨年の夏に公開されたハワイ産映画のサウンドトラック・アルバム。感動的なエンディング・テーマとなったロバート・カジメロの「アロハ・アク、アロハ・マイ」をはじめ、スピリチュアルな歌声が心に残るメハナオカラー・ハインド、ファルセット・ヴォイスが特徴的なニコラス・ジョン・ナヴァレス、おだやかで包容力のある楽曲を披露するレフア・カリマなど、フラの魅力を集めたコンピに仕上がっている。
『スターダスト ~スウィート・メロディー・フォー・ハワイ~』/レネ・パウロ
60年代にワイキキのピアノ・バーなどで活躍したラウンジ・ピアニストが、21世紀に入って復活。本作は当時から弾いていたというスタンダードばかりを集めたピアノ・ソロ作品集。「ムーン・リバー」、「星に願いを」、「虹の彼方に」、「星影のステラ」といった誰もが知っている名曲を、軽快な装飾音を交えて華麗に演奏。ハワイアンはセレクトしていないのに、どこか潮風の香りがするのが特徴。
『ロスト・イン・パラダイス』/グリーンウッド
80年代に山下達郎の名曲「SPARKLE」を英語でカヴァーして話題を呼んだ日系人バンドが、新録を交えてアルバムにまとめたのが本作。レア・アースの「Get Ready」やタヴァレスの「If That's The Way You Want It」といったソウル・カヴァーも聴きごたえがあり、ファンキーでグルーヴィーなサウンドはDJも要注目のアイテム。どこかB級感漂うユルさも魅力のひとつ。
『アロハンアイリー・プレゼンツ・ステイ・レディ』/AWA
出身はニュージーランドだが、ハワイアン・レゲエ・シーンにおいて無視できない存在の人気シンガー。マオリ族出身ならではのプリミティヴなテイストをほのかに漂わせながら、数多くのミュージシャンたちとコラボレーションを実現。現地では大ヒットしたアヌヘアとの「パーフェクト・デイ」を筆頭に、ジャスミン・リーやボ・ナポレオン、そしておなじみDef TechのShenが参加して盛り上げる。
『フラレア -LOVE-』/V.A.
日本のフラ・シーンをけん引する雑誌「フラレア」が監修と選曲を手掛けた人気コンピ・シリーズの最新版。ケアリイ・レイシェルを筆頭に、ライアテア、ナレオ、ネイザン・アウェアウ、ケリイ・カーネアリイといった人気アーティストの名曲を多数収録。フラで使用するのにぴったりなのはもちろんだが、癒しの時間を過ごすのにも使える。夕暮れの浜辺でのんびりと聴きたい一枚だ。
『KAUAI March-05』/久保田麻琴
世界中を旅する音楽家である久保田麻琴が、2005年にカウアイ島でレコーディングした音のお土産。自身のヴォーカルとギターを基調に、名手シリル・パヒヌイのスラックキー・ギターやアーンティ・ナニ・ヒガのヴォーカルをフィーチャー。フィールド録音された波の音や鳥の声、そしてエレクトロニカ的なアンビエント・サウンドも織り交ぜながら、濃密なハワイの空気を表現している。
ライター
Writer:栗本 斉 Hitoshi Kurimoto
旅と音楽をこよなく愛する旅人/旅&音楽ライター/選曲家。
2005年1月から2007年1月まで、知られざる音楽を求めて中南米へ。2年間で訪れた国は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、チリ、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラ、トリニダード・トバゴ、パナマ、メキシコ、キューバの、合計14カ国。
帰国後は旅と音楽にこだわり、ラジオや機内放送の企画構成選曲、音楽&旅ライター、コンピレーションCD企画、ライナーノーツ執筆、講演やトークイベント、ビルボードライブのブッキング・コーディネーターなどで活動中。得意分野はアルゼンチン、ワールドミュージック、和モノ、中南米ラテン旅、世界遺産など。2013年2月より沖縄県糸満市在住。
フラレア -LOVE-
2014/11/19 RELEASE
VICP-65267 ¥ 2,750(税込)
Disc01
- 01.エ・ピリ・マイ
- 02.エ・クウ・スウィート・レイ・ポイナ・オレ
- 03.マヒナ・オ・ホク
- 04.カ・エハ・ケ・アロハ
- 05.ヘ・アロハ・モク・オ・ケアヴェ
- 06.オーバー・ザ・レインボウ
- 07.モク・キア・カヒ
- 08.キプ・カイ
- 09.ハワイアン・ララバイ
- 10.メレ・オハナ
- 11.アイル・リメンバー・ユー
- 12.ザ・ロード・ザット・ネヴァー・エンズ
- 13.イコナ
- 14.プア・トゥバローゼ
- 15.プア・アアリイ
- 16.アイ・ミス・ユー・マイ・ハワイ
- 17.エ・マリウ・マイ
- 18.ラヴ
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