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エル・ヴァーナー来日記念特集

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 2012年、"ポスト・アリシア・キーズ"として彗星のごとく登場し、デビュー・アルバムが瞬く間にチャートを駆け上がり2010年代のR&Bシーンを担う存在となったエル・ヴァーナー。デビューの衝撃から3年。4月にファン待望の来日を果たす彼女の軌跡を振り返る。前回の来日公演の模様や、新曲をちょこっとみせてくれるビデオメッセージ、さらに本人手書きのセットリストとおぼしきものも公開。

R&B界のサラブレット

CD
▲バイ・オール・ミーンズ

 80年代後半にデビューし、メロウなサウンドで高く評価されモータウンからもリリースを果たしたバイ・オール・ミーンズのジミー・ヴァーナーと同グループの歌姫にして、コンポーザーとしても活躍しているマイクリン・ロデリックの間に産まれたエル・ヴァーナー。幼少期は両親とともにスタジオで多くの時間を過ごし、モータウン・サウンドからバート・バカラックになど様々な音楽に囲まれて育ち、フルート、ピアノ、ギター、ドラムなどにも触れるようになる。大学はニューヨーク大学の難関学科、クライヴ・ディヴィス レコード音楽科に進学。そのころから両親から受け継いだ才能をいかんなく発揮し、『最もレコード契約を得そうなクラスメイト』『最もグラミー賞を受賞しそうな クラスメイト』にも選ばれている。

 その評価通りに、大学卒業とともに、ジェフ・ロビンソン率いるMBKエンタテインメントとクライヴ・ ディヴィスが手掛けるJレコードとの契約が決定。ジェフ・ロビンソンはアリシア・キーズを見出した張本人であり、Jレコードもアリシアが所属していたレーベル。『ポスト・アリシア・キーズ』に向けた動きが一気に動き始める。

 レーベルはこの逸材に周到なプロモーションを用意。2010年のBETアワードでデビュー前の新人が出ることはかなり異例ながらパフォーマンスを披露。彼女の存在を全米のR&Bファンに知らしめることに成功しデビューに向けた大きな一歩となった。

非凡な才能を開花させたデビュー作

「リヴィング・ア・リトル、ラフィング・ア・リトル」
▲ 「Only Wanna Give It To You」 MV

  2011年に発表したデビュー・シングル「Only Wanna Give It To You」は昨年『フォレスト・ヒルズ・ドライヴ』 が全米No.1に輝いたことも記憶に新しいJ.コールをフィーチャー。ビズ・マーキーの「Make the Music」をサンプリングしオールド・スクール・ヒップホップテイストに仕上げた楽曲は、活き活きとした二人の歌が印象的。当初エル自身は「So Fly」をリード・シングルにしようと考えていたが、レーベルの意向を組みよりメインストリームっぽく親しみやすい本曲が採用された。J.コールとはもともと大学時代からの知り合いで、エルがレーベル契約をする際にバッタリと再開。エル曰く、この曲をリード・シングルにするときに真っ先にJ.コールをフィーチャーしようと思ったという。

CD
▲パーフェクトリー・インパーフェクト

 そして2012年、満を持してデビューアルバム『パーフェクトリー・インパーフェクト』をリリース。プロデューサーには、こちらもアリシア・キーズを手掛けたポップ&オークが大半を担当。常に背後にアリシアをちらつかせる盤石の布陣を形成し、セカンド・シングルとなった「Refill」はグラミー賞の最優秀R&Bソングにノミネートされ、アルバムも全米チャートで初登場4位を記録した。母親のマイクリン・ロデリックもコーラス参加したロックテイストなバラード「Sound Proof Room」やキャッチ―な「Welcome Home」など色彩豊かな楽曲が出揃い、Macy Grayをも思わせるハスキーな歌声から伸びやかなやハイトーンボイスまで表情豊か歌い上げている。国内盤のリリースから3か月後、2013年1月に行われた来日公演は東京、大阪ともに満席となり、日本でも華やかなデビューを飾った。



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「リヴィング・ア・リトル、ラフィング・ア・リトル」
▲ 「Don't Wanna Dance」MV

 2014年からアーティスト写真も一新、新作に向けた活動を活発させたエル・ヴァーナー。2014年3月にエレクトロの要素も取り入れた新曲「Cold Case」、そしてアルバム『4 Letter Word』を晩夏にリリースすることを発表した。今回のアルバム制作で一番初めにできたという「Nothing」をライブで披露したり、「Little Do You Know」、「F**k It All」の音源を公開。7月にはA$AP Fergをフィーチャーした最新シングル「Don't Wanna Dance」をリリースし、制作も順調ぶりを伺わせたが、いまだにリリースには至らず。ファンをじらし続けている。

「リヴィング・ア・リトル、ラフィング・ア・リトル」
▲ 「F**k It All」MV

 ただ、これまで公開されたミュージック・ビデオでは一段とオトナの色気を出し、艶やかさを増した歌声を聴かせ、彼女の成長を伺わせており、新作への期待は高まっている。「Don't Wanna Dance」は前作の「Only Wanna Give It To You」の延長線のよう曲調だが、米国Billboardでのインタビューで「デビューアルバムとは全く違う」と語ったとおり、前述の「Cold Case」をはじめ、重厚かつエモーショナルな「F**k It All」など音楽的にも前作とはまたがらりと雰囲気が違った作品となりそうだ。

 セットリストと思しきメモを見ると、4月の来日公演ではこれまでのヒット曲に加え、初披露となる曲もきっと観ることができるだろう。R&Bシーンを背負って立つ若き才能のさらなる進化に期待したい。

エル・ヴァーナー「パーフェクトリー・インパーフェクト」

パーフェクトリー・インパーフェクト

2012/10/24 RELEASE
SICP-3670 ¥ 2,420(税込)

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Disc01
  1. 01.オンリー・ワナ・ギヴ・イット・トゥ・ユー feat.J.コール
  2. 02.リフィル
  3. 03.サウンド・プルーフ・ルーム
  4. 04.アイ・ドント・ケア
  5. 05.ノット・トゥナイト
  6. 06.リーフ
  7. 07.オー・ホワット・ア・ナイト
  8. 08.ストップ・ザ・クロック
  9. 09.ウェルカム・ホーム
  10. 10.ダム・グッド・フレンズ
  11. 11.ソー・フライ
  12. 12.ゴー (国内盤ボーナス・トラック)
  13. 13.ドゥ・ユー・ウォント・トゥ (国内盤ボーナス・トラック)

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