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倖田來未『WALK OF MY LIFE』インタビュー

倖田來未 『WALK OF MY LIFE』 インタビュー

 安室奈美恵や浜崎あゆみといったアジア中に影響を与えているスーパースターに憧れ、「自分もそういう存在になりたい」と思ってエイベックスに入り、14年間を駆け抜けてきた倖田來未の今。「いつまでも格好良い先輩でいたいし、格好良い倖田來未でいたい」と攻め続ける彼女の“WALK OF MY LIFE”。「誰かと同じはイヤ」だと我が道を突き進み、15周年イヤーに突入したスーパースターはこれから一体どこへ向かっていくのか―――

攻めの姿勢を忘れないのが倖田來未だと思うし、それは今確信に変わってる。

--いよいよ暴れ回る15周年イヤーがスタートしました。今はどんなテンション?

※倖田來未 / 「Dance In The Rain」 Trailer
※倖田來未 / 「Dance In The Rain」 Trailer

倖田來未:今回のアルバム『WALK OF MY LIFE』を作っていたときは、攻めてる楽曲が多かったので「ホントにここまで攻めちゃっていいのかな?」って少し不安だったんですよ。マスタリングの前日まで粘り続けていたから、正月ぐらいまで「このアルバム、どうなるかな?」って思ってたんですけど、ラスト1ヶ月で格好良いものが作れて、レコーディングしてバランス見たときに「……やりきった」っていう。だから今は早く聴いてもらいたい。今の新しい倖田來未というものを知ってもらいたいですね。

--まさに“WALK OF MY LIFE”を象徴する楽曲群ですよね。この人生を歩んできたからこそ辿り着けたという。

倖田來未:自分の歩んできた道って、12月のイベントで全シングル曲を歌ってみても思ったんですけど、結構悩んでいた時期もあったなって。正直に言えば「なんでこのタイミングでこの曲だったんだろう?」と思ったりもするんですよ。でもその右往左往が「walk」という曲で言うところの“遠回りしてもいい”じゃないけど、いろんなものを吸収させてくれたし、そこで得たものを今ここでアウトプットできたんだろうなって思うんです。そういう意味では、今、私がやりたかったことをすごく『WALK OF MY LIFE』には出せたかなって。あと、「15周年だから分かりやすくて売れるもの、キャッチーなものを作らないといけない」とか、本来であればあるでしょ? だけど、今回は「歌いたい曲を歌ったらいいよ」って制作陣が言ってくれたから、今までとはまた違う感覚で作れてるんですよね。

--このタイミングで「キューティハニー'2015」とか「恋のつぼみ 15th anniversary ver.」とか出すことになってもおかしくなかったのに。ってことですよね?

※倖田來未 / キューティーハニー
※倖田來未 / キューティーハニー

倖田來未:そうそう(笑)!

--でもまだ攻める。新しいものを打ち出していく。そんな15周年を迎えた今の倖田來未って自分ではどんなアーティストだと思いますか?

倖田來未:やっぱり攻めの姿勢は忘れてない。でも1,2年前は「守りに入ってるな」っていう感覚もあったんですよ。結婚、出産を経て環境の変化もあって、見られ方も変わっていたから。でも14年を振り返ってみると、やっぱり攻めの姿勢を忘れないのが倖田來未だと思うし、それは今確信に変わってる。

--攻める=原点回帰みたいなところもあるんでしょうね。迷い出したらとりあえず攻めようっていう。

倖田來未:かもしれない。やっぱり「誰かと同じはイヤ」っていうのが根本にあるから。私は音楽を通して言葉を伝えていくタイプだから、とにかく攻めればいいって訳でもないんだけど、例えば今って分かりやすいというか、同じようなテンポ感で、同じような歌詞を歌う曲が世に溢れかえってて、それっておかしいんじゃないの?って私は思っちゃうんですよね。だからどうしても「私が何かを訴えるんだったらこう歌う」って思うし、今回で言えば『WALK OF MY LIFE』のような世界観、これまで歩いてきた私の道やパーソナルが反映されたものを表現していきたいってなる。「世間は今こうかもしれないけど、私からのアプローチはこうだよ」って意識はずっとあるんでしょうね。それが“攻める”とイコールしてる。

--そもそも倖田來未は人と違うことをやって評価された人じゃないですか。だから15周年イヤーのタイミングでもそれをやるのは筋が通ってる。

倖田來未:怖かったですけどね。でもアルバムが出来上がった今は「まず聴いて!」って自信を持って言える。たしかにコアなことはやってるんですけど、歌詞やサビのフレーズはキャッチーに作っているので、誰に対しても「まず聴いて!」って言える。

--そんな15周年イヤーの幕開けになった昨年12月6日 新木場STUDIO COASTでの15周年イヤー突入記念ライブ。短時間で逆時系列に全シングルを歌いきるという、難易度Sクラスの挑戦だったと思うんですが、実際にやってみていかがでした?

倖田來未:本当に体調悪くてごめんね。

--いや、体調の話以前に、本来セットリストって曲調によってバランスやストーリーを構築していく訳で、世界観もキーもテンポも激しく変わるセットリストを休まず「全部歌って踊って」っていうのは至難の業だっただろうなって。実際どうでした?

倖田來未:めちゃくちゃしんどかったです!

--ですよね(笑)。

倖田來未:しかも全曲サビを歌って踊る訳ですよ、ほぼノンストップで。だからずっと盛り上げっぱなしなんです。それが想像以上にしんどくて大変でした。だからもうリハーサルの時点で「これは失敗したな……」って思ってたんですけど、そんな気持ちでお客さんの前には立てないから、本番はもうとにかく楽しもうと思ってやってましたね。アッパーからバラードへの気持ちの転換とかすごく難しかったですけど。でも私の中でも順番に聴かせることが重要だったんですよね。こんなにも曲によって音楽性が違ってて、昔の曲でも実は今っぽく感じられたり、2007年とか2008年ぐらいに敢えて歌謡曲調の曲を歌ったり、時代の流行りとは関係ないところでやってきた。それを自分は感じたし、みんなにも楽しんでもらいたかったんですよね。

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今の倖田來未がどれだけ海外で通用するのか確かめに行きたい

--そして15周年イヤーの主役とも言えるニューアルバム『WALK OF MY LIFE』が完成。サウンド的には完全に海外を視野に入れたアルバムですよね。

倖田來未:そうですね。私の最近のテーマとして“コアの中のキャッチーさ”を大事にしていて、“マイナーの中のキャッチーさ”って表現でもいいんですけど、要するにトラックはすごく攻めてて、パッと聴きはマイナーで格好良いもの。でもメロディーはすごくキャッチー、みたいな。だからトラックは海外でも通用するものになってると思うし、実際にこのアルバム=今の倖田來未がどれだけ海外で通用するのか確かめに行きたいとも思ってるんですよ。海外でのイベントやコンサートに挑戦していきたくて。パフォーマンスには結構自信があるから。セットを持ち運べないとか現実的な問題はあって、そういう意味では限られた環境の中でいかに魅せることができるかなので、やたら無闇に海外でライブしたいってことではないんですけど、厳選したところで、ちゃんとパフォーマンスで魅了できたらなと思ってます。

--ファーギーの新曲MVにも友情出演してましたし、よりワールドワイドな動きを見せていくのかなと、このアルバムを聴いている間、ずっとワクワクしてました。倖田來未の未来をイメージさせてくれたというか。

※Fergie - L.A.LOVE (la la) ft. YG
※Fergie - L.A.LOVE (la la) ft. YG

倖田來未:そう言ってもらえると嬉しいです。本当に選曲に関しては最後の最後まで粘ったので。選曲って最初はスタッフが厳選したものを聴かせてもらうんですけど、その中に今の自分が納得できるものがない場合は、片っ端から聴くんですよ。その中でスタッフにも言ってることなんですけど、10年後も倖田來未が歌っているかどうか。そこを意識して選曲する。今格好良くても10年後に聴いて格好悪かったらダメなんです。例えば「walk」なんてもう13年前の曲ですけど、今でも倖田來未の核になっている曲ですからね。

--そこの選定って難しいですよね。ゆえに最後の最後まで粘ることになるんでしょうけど。

※倖田來未 / 「Like It」(Only Audio)
※倖田來未 / 「Like It」(Only Audio)

倖田來未:今回のアルバムで言うと、私の趣味思考で言うと、例えば「Mercedes」の生楽器が入ったダンス曲みたいな感じは大好きなんですけど、倖田來未と言えば「Like It」みたいなヒップホップ/R&Bベースの曲だと思うので、PVは「Like It」で作ったり。あとはもうひとつの顔としてライブ映えするロック要素のある曲も必要だと思うし。そして重要なのはバラード。重要だからこそ良いバラードだからって無闇に入れるものじゃないと思っていて。もうすでに倖田來未は良いバラードをたくさん持っているので、「愛のうた」とか「you」、「hands」を歌ったほうがお客さんは喜ぶんですよね。「「愛のうた」みたいな曲を欲しいんです」って言われても、それっぽい曲集めたところで「愛のうた」には敵わないから。だったら「WALK OF MY LIFE」のように今の私だからこそ歌えるバラードを入れる。そういうことをひとつひとつ考えて、諦めずにやりきったのが今回のアルバムだと思います。

--よくタイトなスケジュールでそれが出来ましたよね。

倖田來未:結果論としてこういうアルバムが出来たけど、そこに辿り着くまでの最後の3ヶ月とかは心臓もぎちぎれそうでした(笑)。

--もぎちぎれそう(笑)。

倖田來未:それこそ「Sometimes Dreams Come True」でも書いてるけど、やっぱり発信したいものを発信しないといけないから。例えば、本当は否定したい何かがあっても言いづらかったり、みんなが「これでいいじゃん!」って盛り上がってるところで自分の意見って言いづらかったりして、それで自分の心の中がパンクしちゃいそうな時期もあって。それでもやりたいことがここにあるから、「WALK OF MY LIFE」の歌詞のように泣きながら強くなってきたなってすごく感じる。

--「人がどう思うかではなく 自分がどう生きたか」今回のアルバムのテーマになっていますが、デビューから今日に至るまで。自分はどう生きてきたと思いますか?

倖田來未:恵まれてた。人に助けられてきたなって思いますよ。もちろん、傷付けられるようなこともあったりしましたけど、それすら必要だったのかなって思う。私ってひとりじゃ生きられない人だから、そういう意味では出逢った人たちには本当に恵まれてきたなって。「人はひとりじゃない」ってちゃんと感じながら、助けられながらここまで生きてきたんだなって思います。

--逆説的に言えば、倖田來未にそれだけの魅力があったってことですよね。人間性もそうですけど、倖田來未はある時期からキャラクターを確立していて、何をやっても「倖田來未らしさ」を感じさせられるようになって、ゆえに音楽でもファッションでも「次は倖田來未にこんなことをやってもらいたい、やらせてみたい」って人が集まってきたんだろうなって。

※Dream5 / Break Out
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倖田來未:だとしたら嬉しいです。今の話とリンクするかは分からないんですけど、最近の音楽を聴いていて、もちろん、そこにはそのアーティストの個性や良さもあったりするんですけど、もし影響を受けてくれているんだったら「影響受けてる」って言ってくれたら嬉しいなって(笑)。もうそういう立場になってきてると思うし、あたりまえですけど、後輩は10代とか20代ばっかりだからビックリするんですよ! この前もDream5のメンバーが「倖田さんの曲でオーディション受けました!」って言ってくれて、年齢を聞いたら「18歳」って言ってて。「若いな」って驚いたんですけど、でもこういう立場になったからこそ、いつまでも格好良い先輩でいたいし、格好良い倖田來未でいたい。「10代のアーティストさんは倖田來未って知ってるのかな?」って思ったんですけど、「大好きです」って言ってくれて、それは私にとって誇らしいことだから、これからも恥ずかしくない、格好良いことを自信を持ってやっていかなきゃって思うし、15年で凄い幅を見せてきたとは思うので、興味があることは変わらずにどんどん取り込んでいきたいですね。

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憧れていた人が一番多かったんですよ、エイベックスというレーベルは

--本当にいろんなことやってきましたもんね、曲でもステージでも。

※倖田來未 / HOTEL
※倖田來未 / HOTEL

倖田來未:8年前ぐらいからティッシュっていう空中をくるくる回るパフォーマンスとか、アクロバティックなこともたくさんやってきたし。

--高所恐怖症なのに。

倖田來未:そうそう。高いところ怖くても「喜んでくれるんなら頑張ります!」ってやってきたから(笑)。

--東京ドームであれだけの高さからダイブした人もいないでしょうし。

倖田來未:あれはもう本当にギネスに載せてほしいぐらい! そんな風に閃いたアイデアが夢物語だと思われたとしても「やりたい!」って口にして形にしてきたので。例えば『Black Cherry』のツアーも水中から出てきたりしたけど、あれも大反対で。

--普通に危ないですからね(笑)。

倖田來未:普通に「危ない」って言われて(笑)。でもそういう無理だと思うことを実現することができたから、夢物語を語ることは悪いことじゃないと思うし、これからもどんどん言っていきたいなって。

--それが後輩アーティストにとってもひとつの指針や刺激になっていったら有意義ですよね。音楽のタスキじゃないですけど。

倖田來未:そうですね。

--影響力デカいですからね。

倖田來未:大きい人でいたいですよね。何かしらの影響を誰かに与えられているんだとしたら素直に嬉しいです。

--感慨深い話ですよね。それこそ倖田來未も最初は安室奈美恵や浜崎あゆみといったアジア中に影響を与えているスーパースターを観て育って、「自分もそういう存在になりたい」と思ってエイベックスに入り、14年間を駆け抜けてきた訳じゃないですか。

倖田來未:本当にそうですよ! 当時、私が憧れていた人が一番多かったんですよ、エイベックスというレーベルは。それは今でも変わらないでほしいというか、当時の私みたいな若い女の子にいつまでも憧れてもらえるレーベルであってほしいし、私自身もそういう影響を与えられる人でありたいなと思います。ちょっと前にJ-WAVEのピストン西沢さんの番組に出させて頂いて、オフマイクのときに「倖田は頑張ってるよなー。こういう音楽をやり続けてるのは格好良いよなー」って言ってもらえて、音楽知ってる人にそんな風に言われたら嬉しいじゃないですか! だから音楽の盛り上がりがまた戻ってきたときに、私のやり続けてきたことは間違いなかったなって思いたいし、まだまだ頑張っていきたいって思います。

--そんな倖田來未の生き様が集約された『WALK OF MY LIFE』の表題曲。初めてタイトルを観たときから、デビュー時から大事に歌い続けてきた「walk」へのアンサー的作品なんだろうなと思いました。実際はどうなんでしょう?

※倖田來未 / 「WALK OF MY LIFE」MUSIC VIDEO
※倖田來未 / 「WALK OF MY LIFE」MUSIC VIDEO

倖田來未:これはタイトルが先に決まったんです。自分が大事にずっと歌い続けてきた「walk」という曲があって、自分の歩いてきた道が人生に繋がっていく……みたいなイメージで「WALK OF MY LIFE」にして、ストックとして温めていたこのバラードのデモで詞を書いてみることにしたんです。デビューして右も左も分からない私が社長に「コンサートの一番最後に歌う曲を作りなさい」って言われて、未来の自分に向けて「walk」を書いて、その数年後にコンサートが出来るようになってツアーの最後に必ず歌うんですけど、そこから12年の時と共に「walk」はどんどん成長していって。「WALK OF MY LIFE」もそんな風に“成長しました”っていう曲にしたかったんですよね、「WALK OF MY LIFE」は。ただ、そういう自分自身の歌でもあるんですけど、みんなに聴いてもらった時点で「WALK OF YOUR LIFE」なので。「あなたの人生をこの曲で変えてほしい」「あなたの道を歩いてほしい」というメッセージも込めてるんですよね。

--生で聴ける日をすごく楽しみにしていますので。

倖田來未:「CDのほうが良かったな」って言われるのが一番悔しいから(笑)、すごく練習して臨もうと思ってます。

--デビュー15周年。最強の武器『WALK OF MY LIFE』を手にした倖田來未がどれだけ暴れまわってくれるのか、大いに期待しちゃってもいいですか?

倖田來未:……もちろんです!!

--(笑)

倖田來未:いや、でもこの15周年イヤーだけじゃなくて、15周年以降も私は走り続けたいし、もちろん地に足をつけて生きていくことも大事なんですけど……攻めの姿勢は忘れずにいきたいなって思います。

--では、最後に、この15周年時点での倖田來未の夢、目標を聞かせて下さい。

倖田來未:「Sometimes Dreams Come True」にも「東京からハリウッドまで」って書いてますけど、やっぱり海外は攻めたい。聴いてもらって反応が良ければ行きたいって思うし、徐々に地ならししていきたいです。日本ってアニメとかのカルチャーは海外で評価されてるんですけど、その国に音楽でもちゃんと戦っている人がいるんだってことを知ってもらいたいですね。

Interviewer:平賀哲雄

Koda Kumi「WALK OF MY LIFE」

WALK OF MY LIFE

2015/03/18 RELEASE
RZCD-59746 ¥ 5,060(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.Introduction ~WALK OF MY LIFE~
  2. 02.Dance In The Rain
  3. 03.Lippy
  4. 04.Mercedes
  5. 05.Like It
  6. 06.House Party
  7. 07.Interlude ~Dance~
  8. 08.HOTEL
  9. 09.Gimme U
  10. 10.You can keep up with me
  11. 11.MONEY IN MY BAG
  12. 12.PIECE IN THE PUZZLE
  13. 13.Fake Tongue
  14. 14.Sometimes Dreams Come True
  15. 15.LIFE so GOOD!!
  16. 16.WALK OF MY LIFE

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    <インタビュー>米津玄師 新曲「Azalea」で向き合った、恋愛における“距離”――「愛情」の源にある“剥き身の生”とは

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