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doa『FLY HIGH』インタビュー
昨年10周年を迎え、今年の1月28日には9thアルバム『FLY HIGH』をリリースする3ピースバンド doa。レーシングドライバーとして昨年に鈴鹿1000km GT300クラス決勝戦で優勝を決めた吉本大樹(vo)、B'zやZARDのサポートをはじめトップアーティストらの楽曲に広く参加している大田紳一郎(vo,g)と共に、シーンで唯一無二の存在感を示すリーダー 徳永暁人(vo,b)にソロインタビューを実施した。
doaを作った理由から、昨年迎えた10周年、現在のシーンについてやアレンジャーとしての矜持。最新作の聴きどころから楽曲制作の裏ワザまで。音楽好きから業界を志す人まで必見のインタビューです。
doaを作った最大の理由は?
--doaのイメージって、最初はやっぱり「ボーカルの人ってレーサーなんだ!!」だったのですが……
徳永暁人:随分変なバンドですよね(笑)。「ボーカルがレーサーって何やねん!」って話じゃないですか(笑)。吉本くんはいまだに現役で走ってますし、ライブとライブの合間にサーキットで試合をやってけっこう活躍してますから。「何でライブ会場にヘルメット持ってきてるんだ?」って、凄い不思議です(笑)。--そんな異色なバンドの軸になっている物は?
徳永暁人:ハーモニーですね。ハーモニーって1人じゃ絶対にできないんですよ。多重録音すればできるけど生ではできないから、仲間がいなければできない。doaを作った最大の理由は仲間なんですよ。僕はずっと裏方でクリエイターでやってて、1人で家で仕事をしていたんですけど、ある時ふと「仲間が欲しいな」って。
僕は昔から仲間で仕事したり、何かを成し遂げることが苦手だったんですよ。小さい頃の通信簿には必ず「協調性が無い」って書かれてましたから(笑)。ひねくれ坊主ですぐに屁理屈をこねちゃう子どもだったし、自分も一匹狼でやっていけば良いと思っていたタイプだった。
ただ、30歳を過ぎた時に、大田と吉本と一緒にやることになって、彼らが教えてくれたんですよね。チームで動く素晴らしさを、大人になって初めて知った。これは人生全般に言えると思うんだけど、飯を食えて、ある程度健康で、仲間がいたら凄い幸せなんじゃない?って。そういう意味ではハーモニーが軸になっています、絶対に。
--doaは3人がボーカルを担当するのでそれぞれの歌声を楽しめますし、ハーモニーで1つになった時の力強さも兼ね揃えたバンドです。
徳永暁人:人の声ってもの凄いパワーを持っているんですよね。それが3本集まればもの凄い力になるし、ライブでお客さんと一緒になると、もっと凄くなる。一緒に声を出す感動って古来からDNAに仕組まれているのかもしれないけど、もの凄い仲間意識ができたりと脳にインプットされていると思うんですよね。ライブのサポート3人を加えた6人で歌ったり、お客さんとハモったりした時の感動は何物にも代えがたい。言葉に表せないパワーをもらえるし、一番大事にしていきたいところですね。10周年は全然節目じゃなかった
▲YouTube「doa BEST ALBUM "open_door" 2004-2014 トレーラー映像」
--そんなdoaは昨年10周年という節目を迎えました。
徳永暁人:全然節目じゃなかったですね、意識してなかったですし。いつも目の前の曲を良くしよう、ライブを良くしようと思ってやってきたら10年経っていたって感覚なので、それを目標にしたこともないですし。だから僕らの10年というよりは、お客さんやファンの方が生きてきた10年というか、10年一緒に生きてきたよねっていう感じですね。--2004年から2014年という10年は、音楽シーン全体を見ても大きな変化がありました。
徳永暁人:変わりましたよ、インタビュアーさんがこうやってタブレットを駆使しながら取材するっていうのもあり得なかったですし(笑)。僕の場合は早い段階から宅録オタクで、90年代から他のアーティストさんの音源を自宅でミックスして作品として出したりしてましたから、やっと主流になってきたなって感覚で。逆に僕らは僕らで、デジタルが凄くなってきたらアナログでどこまで録ろうかとか、違う方向に興味がいったりしてます。--確かにアンプシミュレーターから直で録音した音は、良し悪しは別にしても独特ですよね。
徳永暁人:まあかいつまんで言えば、違いが分かるようになるまでには、色んな経験が必要だと思うんですよ。……こういう話はテキストになると軽く感じられちゃうかもしれませんが、早い話、ハートがあるかどうか。ハートがあればデジタルでもいいと思う。たとえばブラインドチェックをして違いを聴き分けられるかって言われたら俺だってわからないかもしれないしね。 ただ、たとえばマイキングで録音しようと思ったら知恵を使うじゃないですか。この角度じゃダメだとか、このタッチじゃないと音が歪んじゃうとか、色んな要素を考えながら録る物のとでは、フレージングやタッチ、タイミングに対する気の配り方が変わると思う。どういう楽器を使って、どういう機材を通してどういう音にして、どう録音するとどうなるのか。最終的に出来上がった時にどう聴こえるのかまで見据えてやるのと、設定を選んで録るのとでは、音に対する注意力が違うと思います。その1つ1つの気の配りが音になって集まるのがアレンジなんだと思うんですよね。- < Prev
- 来ますね~、音楽インタビューっぽくなってきた!(笑)
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Interviewer、Photo:杉岡祐樹
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