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フアナ・モリーナ×原田郁子(クラムボン) 特集
2000年代初頭、“アルゼンチン音響派”というムーヴメントが、音楽ファンの間で話題になった。一風変わった地球の裏側のサウンドは、日本では考えられないようなユニークなものだったが、その中でも突出していたのがフアナ・モリーナだ。特に、2000年に発表されたアルバム『Segundo』は、輸入盤を扱うCDショップでベストセラーとなり、その年のベスト・アルバムとして各メディアで絶賛された。あれから早くも15年。鮮度を失うことなく活動を続ける彼女が、再びビルボードライブのステージに帰ってくる。迎え撃つのは、クラムボンの原田郁子によるソロ・パフォーマンス。これまでにない組み合わせのスペシャル・ライヴが、いよいよ始まろうとしている。
“アルゼンチン音響派”として注目を集めるきっかけ
フアナ・モリーナは、1962年生まれ。アルゼンチンのブエノス・アイレス出身。父親は有名なタンゴのシンガー、オラシオ・モリーナだということもあり、幼い頃から音楽的な才能に恵まれていた。しかし、彼女が最初に注目を浴びたのは、テレビの女優として。特にユニークなキャラクターを駆使して、コメディエンヌとして大きな評価を得た。しかし、音楽家としての夢を捨てきれず、1996年にアルバム『Rara』でソロ・デビューを果たす。本作はタンゴ・エレクトロニカのグループであるバホフォンドを率い、『バベル』等の映画音楽でアカデミー賞を受賞したプロデューサー、グスタボ・サンタオラージャがバックアップした秀逸なフォーク・ロック作品に仕上がっている。しかし、フアナの個性を活かしきれたとは言い難いのも事実だ。その出来映えに本人も納得できず、結果的に大きな評価を得ることもかなわなかった。
しばらくのブランクを経て、2000年にセカンド・アルバム『Segundo』を発表。ふわふわとした浮遊感溢れるサウンドに、ポップながらシュールな歌の世界は、じわじわと世界中に浸透していき、新しい音楽を追い求めるリスナーを魅了。一躍国際的に認められるシンガー・ソングライターとして評価された。本作のキーとなったのは、不思議な歌と一体となったサウンド・プロダクションだ。その後もずっとコラボレーションを続けるマルチ・ミュージシャンのアレハンドロ・フラノフが全面的にサポート。加えて、トリッキーなギター・プレイで評価の高いフェルナンド・カブサッキも参加し、彼らを含めたアルゼンチンの実験的なミュージシャンたちが、“アルゼンチン音響派”として注目を集めるきっかけにもなった。
その後も、サード・アルバム『Tres Cosas』(2002年)、『Son』(2006年)、『Un Dia』(2008年)とアルバムをコンスタントにリリース。いずれも、摩訶不思議な寓話的世界を音に変え、彼女以外では成し得ない独自の作品に仕上がっている。最新作『Wed 21』(2013年)においては、それまでの繊細な雰囲気を一新。リズムのボトムを強化し、骨太な印象さえ感じられる異色のシンガー・ソングライター作品へと昇華した。彼女の音楽的な背景には、ロックやフォークからエレクトロニカやワールド・ミュージックまでが見え隠れするが、いずれもそういったジャンルを超越した凄みを感じさせる。
来日公演情報
フアナ・モリーナ×原田郁子(クラムボン)
ビルボードライブ大阪:2015/2/3(火)
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2015/2/6(金)
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
フアナ・モリーナ / Juana Molina (Vocals, Guitar, Keyboards)
シュヴァルツ・オーディン・ウリエル / Schwartz Odin Uriel (Keyboards)
ロペス・デ・アルコート・ディエゴ / Lopez De Arcaute Diego (Drums)
【原田郁子】
原田郁子(Vocals)
曽我大穂(Flute, Harp, Tape Recorder)from CINEMA dub MONKS
※本公演は1ステージに2アーティストが出演するツーマンライブとなります。
※1アーティストの公演時間は約30分~40分前後の予定をしております。
関連リンク
- フアナ・モリーナ オフィシャルサイト
- 原田郁子 オフィシャルサイト
Text: 栗本斉
マジカルで圧倒的なパフォーマンス
フアナの魅力は、録音作品だけではない。そのライヴ・パフォーマンスもとにかくユニークだ。ギターやキーボードを弾きながら歌うというのが基本ではあるが、サンプラーを駆使してその場でループを作り、何層にも重なったコーラスとサウンドを構築していく。こういった手法は今やそれほど珍しくはないが、フアナほど徹底して完璧な世界を作り上げるのは他に類を見ない。サポート・ミュージシャンが入ることも多いが、何をやっても素材としてフアナ・ワールドにとけ込んでしまう。音楽ファンなら、一度はこのマジカルで圧倒的なパフォーマンスを目の前で体験すべきだろう。
フアナはこれまでに、何度も来日公演を行っている。ソロ・アクトに加え、高橋幸宏、EGO-WRAPPIN'、レイハラカミ、山本精一など日本人アーティストとも多数ステージをともにしてきた。いずれも伝説といってもいいほど、音楽ファンに語り継がれている。そして、今回のビルボードライブ公演では、原田郁子とのツーマン形式となる。
フアナと原田郁子の共通項とは?
▲ 「青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている (Live)」
原田郁子は、ご存じクラムボンのヴォーカリスト&ピアニスト。ベースのミト、ドラムの伊藤大介とともに、1996年に結成。1999年にメジャー・デビューして以来、多数の作品をリリースしてきた。一方、ソロとしても、『ピアノ』(2004年)、『ケモノと魔法』(2008年)、『銀河』(2008年)といたアルバムを発表し、バンドとはまた違うパーソナルなテイストで評価を得ている。少し鼻にかかった独特の声質と、自由奔放な鍵盤さばきによって奏でられる歌には、唯一無二という言葉が似合う。そういった意味でも、音楽性は違うかもしれないが、フアナとの共通項は感じられるのではないだろうか。
フアナ・モリーナと原田郁子。地球の半周して出会った二人の個性が、ひとつのステージでどのように化学反応を起こすのか。ぜひその目撃者になってもらいたい。
来日公演情報
フアナ・モリーナ×原田郁子(クラムボン)
ビルボードライブ大阪:2015/2/3(火)
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ビルボードライブ東京:2015/2/6(金)
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INFO: www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
フアナ・モリーナ / Juana Molina (Vocals, Guitar, Keyboards)
シュヴァルツ・オーディン・ウリエル / Schwartz Odin Uriel (Keyboards)
ロペス・デ・アルコート・ディエゴ / Lopez De Arcaute Diego (Drums)
【原田郁子】
原田郁子(Vocals)
曽我大穂(Flute, Harp, Tape Recorder)from CINEMA dub MONKS
※本公演は1ステージに2アーティストが出演するツーマンライブとなります。
※1アーティストの公演時間は約30分~40分前後の予定をしております。
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- フアナ・モリーナ オフィシャルサイト
- 原田郁子 オフィシャルサイト
Text: 栗本斉
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