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突如新曲6曲をリリース!マドンナがニュー・アルバム『レベル・ハート』を語る最新インタビュー
先週最新アルバム『レベル・ハート』から未発表曲のデモが流出したことによって、「バレンタインデーにニュー・シングル“Living For Love”を、春にアルバムをリリースしたいと思っていました。ファンの皆さんには、今出回っている未完成の曲ではなく完成版を聴いてほしいのです。この6曲は、私からのちょっと早いクリスマス・プレゼントだと思ってください。」というメッセージと共に突如として新曲6曲を発表したマドンナ。ディプロがプロデュースを手掛けた1stシングル「Living For Love」をはじめ、ニッキー・ミナージュをフィーチャーした「Bitch I’m Madonna」など、収録曲についてマドンナが語る先週末(12月21日)行われたばかりの最新インタビューが到着。
インターネットには、人々を繋げるという建設的で有益な面もあるけれど、
人が傷つくような危険なことも可能にする
??調子はいかがですか?
マドンナ:元気よ。そう、1週間ぐらい寝ていないけれど、調子はいいわ。
??今週起ったことを考えれば、そうですよね。
マドンナ:ホント、この数週間はかなり強烈だったから。
??今は大丈夫ですか?最近起こったことをふまえて。
マドンナ:そうね。未発表のデモが流出して、今となっては世界中の人々がそれを聴いて、批判したりできる状況には、もちろん不満よ。ことが起ってしまってから、とにかく対策を急いだ。まずは、どこからリークしたのかを突き止めること、そして完成した曲をリリースすることで、誰も聴くはずではなかったデモからみんなの関心をそらすこと。だから、寝てないの。
??その渦中で、「ビッチ、私はマドンナよ。」、こんなこと私に起きるはずじゃない、と周りにもらすことはありましたか?
マドンナ:ノー。「クソ、これが今私たちが生きている時代なのね。」とは言ったけれど。とにかくクレイジーよ。ソニー・ピクチャーズの一件もそうだけど、私たちが暮らしてる時代のせいね。ホントにクレイジー。インターネットには、人々を繋げるという建設的で有益な面もあるけれど、人が傷つくような危険なことも可能にする。両刃の剣なの。
??曲が盗まれたものだとおっしゃいましたが、日々の仕事のルーチンにはどのような影響がありましたか?セキュリティをより強化したとは思いますが、近年はすべてがヴァーチャルなので、手の施しようにも限りがありますよね。日々音楽を作ったり、アルバムをレコーディングする上で、何か変化はありましたか?
マドンナ:サーバーに音楽をアップロードするのは止めたわ。作業をコンピューターでする場合、Wi-Fi、インターネットは一切使わないし、他人が情報を得られるような方法では仕事をしない。音楽が入ったハード・ドライブは、手持ちで届けられている。その辺に曲を放置することもないわ。フォト・シュートやビデオ・シュートがある時は、全員携帯を入口に預けなければならない。最悪だけど、残念ながら止むを得ないことなの。リークというのは、こうやって起きるから。
??残念ですね。
マドンナ:本当にね。フォト・シュートで、自分の曲をガンガンにかけて、踊って、“祝福”したいのに、それが出来ないんだから。
何でもリークするのが、日常茶飯事になっているのは、わかってる。でも、今回は多すぎよね!何か月も前から、事細かにプランを立てて…たとえば、「シングルはこう、アルバムはこういう方法で発表する。」って考えているのに、その順序が狂ってしまった。そのおかげで、すべがを前倒しになった?「すぐにもシングルのプロモーションをはじめよう!」ってなると思う?
とにかく私たちを過熱させた。普通と同じ考えじゃダメだった。こんな風に自分のアルバムをリリースすることは計画してなかった。私は…、すべてを事前に計画したかった。シングルをリリースして、ミュージック・ビデオを撮影して、アルバムの取材を受け始める。そして、アルバムをリリースする準備をする、全部完璧に計画してから。私は、そういう人間だし、それが一番ベストな方法だと思うから。けれど私たちに選択の余地はなかった。
??でも、ミュージック・ビデオは作るんですよね?
マドンナ:もちろんよ!計画していたことはすべてやるつもり。ただ、もう完成した曲を6曲みんな聴いているけれど。
??とはいえ、素晴らしい曲たちですよ。
マドンナ:ありがとう!
??とても素敵なサプライズでした。投げつけられたレモンを使って、レモンドロップ、またはレモネードを作ったような感じですよね、お好きな表現を選んでもらえればと思いますが。
マドンナ:そう、その比喩は、私と(マネージャーの)ガイ・オセアリーも使ってる。レモンからレモネード作ったって。なんとなく、そんな感じよね!
反抗的な面、ロマンチックな面が、すべて入り混じったものになるわ
??不運なことからも、ポジティブなことが生まれなければならないですからね。では、音楽の話をしましょう。この6曲をEPとしてリリースして、残りをまた新たなEPとしてリリースすることは考えなかったのですか?それとも1つの作品―『レベル・ハート』として、曲を一緒に発表することにこだわったのですか?
マドンナ:元々は、すべて一つの作品としてリリースしたかった。曲がたくさんありすぎて、このアルバムを“レベル・ハート”と呼ぼうと思ったのは、自分の中のまったく異なる2つの人格を探究しているから。反抗的、反逆的な面とロマンチックな面。まるで、自分が2枚組のアルバムを作りたかったかのよう。この曲たちと、こっちの曲たちって具合に。それが私の元々のゴールだった。けれど、デモがリークした為に、そうすることは出来なくなってしまった。だから最初に6曲リリースして、グラミー賞のタイミングでもう数曲発表し、残りの曲はアルバムと共に(3月に)リリースされる。反抗的な面、ロマンチックな面が、すべて入り混じったものになるわ。
??グラミー賞の話があがりましたが、様々なゲストとともに「Living For Love」をパフォーマンスする姿が、既に目に浮かびます。
マドンナ:そうね。
??…グラミー賞で観れたら素晴らしいパフォーマンスじゃないかな、と思って。
マドンナ:イエス、素晴らしいと思うわ。それは、ひょっとしたら起こるかもしれないわね(笑)。
??ひょっとしたら?
マドンナ:そう、ひょっとしたら。
??今は、まだすべて明かせないと。
マドンナ:そうよ。
??では、1stシングルの「Living For Love」について伺いたいです。何か月か前にディプロがビルボード誌の表紙を飾った際に、この曲には20ほど異なるヴァージョンがあると話していたのですが、20というのは、大袈裟に言っていたのではなく、本当ですか?
マドンナ:う~ん(長い沈黙)。20は少し言い過ぎかもしれないわね。でも、10以上あったのは確かよ。様々なヴァージョンがあった。ダンス・アルバムを作りたいというのは確かだった。でもダンス・ミュージックと言ってもレベルは様々だし、ハウス・ミュージックにも多くのカテゴリーがある。ベースラインは、どんなサウンドにする?ミニマルでまばら、それとも凝縮されたもの?それはシカゴ・ハウス?それともUKハウス?取っ散らかってる?ヴォーカルラインが1つしかない感じのもの?聖歌隊が歌っているもの?実験をかさね、様々なことを試してみた。どのヴァージョンもいい感じだったけれど、最終的にはタイムレスなサウンドのものにしたかった。その時限りではなくてね。
??曲には、MNEKも参加しているのですか?
マドンナ:MNEKが歌っているヴァージョンを作ったのは確か。原曲を書き始めた時に、ディプロがよく仕事をしている…MNEKに似た声を持つシンガーを起用している。MNEKのヴォーカルが入ったリミックスは、のちにリリースすると思うけれど、今リリースされている曲にはMNEKは参加してない。それと、アニーというロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイアで歌っている女性シンガーがいて、彼女が参加している。ちなみに、私はMNEKの大ファンよ。
??アリシア・キーズが一緒に歌っているのかと思いましたが、彼女ではないですよね。
マドンナ:いいえ、違うわ。アリシア・キーズは歌っているのではなくて、ピアノを弾いている。
??分かりました。誰が参加しているのか、把握するのがとても難しくて。
マドンナ:分かるわ(笑)!アリシアはピアノを弾いていて、女性ヴォーカルがアニーよ。「Living For Love」には、MNEKが歌っているバージョンもいくつかあって、それもいずれはリリースされる。
??ソウル・ミュージックとハウス・ミュージックの絶妙なバランスを保っていますよね。不快に感じさせることなく、どのようにバランスを保ったのですか?
マドンナ:昔の私と現在の私が織り交ざっている感じね。
??すべてあなたなんですね!様々なヴァージョンのマドンナ。
マドンナ:そう、その通りよ。そうなの!
??「Ghosttown」もすごくクールな曲ですよね。刺激的で、詞がとても美しい。ゴーストタウンを連想しますね、寒くて、街に残ったのは2人のみ。この曲は、エヴァン・ボガート、ショーン・ダグラス、ジェイソン・エヴィガンと一緒に書いた曲ですか?それとも完成した曲があなたの元に?
マドンナ:違うわ。
??では、どのように形になったのですか?
マドンナ:全員で、同じ部屋に入り、彼らがコードを弾きはじめ、考え始めたの…。私は他の人と曲作りをする時に、一緒にテーマを決めるの。何について曲を書きたいか?この曲はアルマゲドンが起った後の街について。燃え尽きた街、建物が崩れ、火が収まった後にも煙が立ち込めている。わかるかしら?残された人間はごくわずか、これからどうやって立ち直っていくのか?少しドラマチックね(笑)。でも、まだ希望はあるって感じかしら。
曲作りは終わっていて、レコーディングももうすぐ終わる
もう少しで完成するわ
??まぁ、そうですよね。今後どうなるかなんてわからないですからね。
マドンナ:そうなの。現実的になって、何にでも立ち向かえるように準備してなきゃ。
??現実的にならないとですね。何年か後には、みんな一緒に燃え尽きたゴーストタウンにいるかもしれないですし。
マドンナ:イエス、その通り!そしたら私たちにとっての“ゴーストタウン”、それかある種の“ゴーストタウン”にいることになる。だから、最終的にはお互いしかいないということ。この曲は、そのことについてよ。
??既にミュージック・ビデオを思い浮べることが出来ますね。
マドンナ:そう、確実にね。
??『MDNA』に収録されている「Gang Bang」がリリースされた時のようですね。まるで映画のようで…。
マドンナ:視覚的。
??目の前に広がる感じで。では、「Unapologetic Bitch」についてですが、誰かにこう呼ばれたのですか?
マドンナ:いいえ、違うわ。
??それについて「回答となるレコードを作る」的な?
マドンナ:ノー。
??誰にも、こう呼ばれていないんですね。
マドンナ:いいえ、誰にもそんな風に呼ばれたことはないわ。どこからともなく思いついたの。
??この曲を書いていた時に…、
マドンナ:いいえ、延長線のような感じ…、キャリアの始めに、プレイボーイ誌に私の写真が掲載された時、誰もが私が恥ずかしさからおじけずく思ったの。でも私は、「恥ずかしくないわ。隠すものはないし、後悔もしてない。」と言った。私にとっての「Je Ne Regrette Rien(水に流して)」というところね。
??でも謝るべきことは、何もないですよね。
マドンナ:あの時はね(笑)。
??もちろん、後悔したり、反省しなければならないようなこともありますが、アーティストとしての方向性に関しては…。
マドンナ:その通り。反省しなければならない状況もあるけれど、あの時は違った。
??このアルバムではたくさんのアーティストと仕事をしていますよね。ここ1年間インスタグラムをチェックしていますが、何千人もいるような気がします。
マドンナ:キッチンには、たくさんのコックが出入りしたわ。
??これまでのほとんどのアルバムでは、あなた以外に(プロデュースと作曲の面で)中心となる人物が何名かいますが、今回のようにコラボレーターがたくさんいると一環とした作品を作るのが難しかったのでは?
マドンナ:イエス。とてもハードよ。とっても、とっても、とっても、とっても難しい。一つの都市に5日間以上滞在することができない若いDJたちと仕事をするのは、私にとって大きな挑戦だった。だから、作業を完成させることが難しかった。そこで、特定のグループの人々と仕事をし始めて、また他の人とも何かをやり始めたら、彼らがどこかへ行かねばならなくなって、そしたら違う人が戻ってきたり、仕事をするのには向いていない、カオスな状態ね。アイディアはたくさん思い浮かぶけれど、混乱も多い。クリエイティヴ面が回転ドアのような状況で、サウンドと方向性において、まとまりがある作品を作るのはチャレンジだった。ヘッドライトの先で、クリップボードを持って「OK!」と判断するのは私しかいなかったから(笑)。少し学校の先生みたいね。
??ディプロは、アルバムに深くかかわっていると思うのですが、彼はエグゼクティブ・プロデューサー的な?
マドンナ:ノーよ。
??(これまでリリースされた)3曲以外にも携わっている曲はあるのですか?
マドンナ:3曲以上一緒に作ったわ。エグゼクティブ・プロデューサーとまではいかないけれど、彼の意見はアルバムに強く反映されている。彼とはたくさんのコラボを行った。他の曲を聴いて、何が気に入って、何が気に入らないか、とか意見を出してくれたけれど、エグゼクティブ・プロデューサーと呼ぶほどではないわ。
??では、そう呼びません!
マドンナ:彼は、最高のアイディアを持つ最高にイカしたDJよ。
??アルバムの曲作りとレコーディングは終わっているのですか?
マドンナ:う~ん。曲作りは終わっていて、もうすぐレコーディングも終わる。あと少しで完成するわ。微調整するだけ。でも、とりあえずこの6曲を先にリリースしなければならなかったの。
Q&A by Keith Caulfield / 2014年12月21日 Billboard.com掲載
"Living For Love" (Audio Version)
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