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OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND 「TOUR 2014 ー FOLLOW THE DREAM FINAL」 Live Report
2014年、5年ぶりとなるニューアルバム『FOLLOW THE DREAM』をリリースしたOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。TOSHI-LOW(BRAHMAN)と並ぶバンドのフロントマン、マーティン・ジョンソンへの超ロングインタビュー、「NEW ACOUSTIC CAMP 2014」と総力取材を行ってきたビルボードジャパンが、全国ツアーのファイナル公演のレポートとともに、彼らが挑んだ壮大な“遊び”の軌跡を振り返る。
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「OAU マーティン・ジョンソンの知られざる半生」
前編 http://www.billboard-japan.com/special/detail/1010
後編 http://www.billboard-japan.com/special/detail/1014
「NEW ACOUSTIC CAMP 2014?Event Report」
http://www.billboard-japan.com/special/detail/1063
2014年11月21日 EXシアター六本木、『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND TOUR 2014 -FOLLOW THE DREAM - FINAL』ー特設サイトでも“「NEW ACOUSTIC CAMP」の世界観が六本木のド真ん中に!”と謳われたその会場内は、まさにコンセプトそのもの。流木の装飾や本物の樹木、色とりどりのフラッグが、あの日と同じようにエントランスやロビー、そしてステージを彩っている…そんなライブハウスらしからぬ光景に、思わず上空に目をやり、そこに星空がないのを確認してしまったのは、きっと私だけではないだろう。
さらに、ステージ後方にはキッズエリアが用意されていたこともあり、会場内には元気に走り回る子供たちの姿が。「NEW ACOUSTIC CAMP」のひとつの象徴ともいえるその光景が、より一層あの日の記憶をよみがえらせてくれた。
10月6日の石垣島からこの日まで、14公演が行われてきた『TOUR 2014 “FOLLOW THE DREAM”』。このツアーでは、レジャー・体験・遊びの予約サイト「ASOViEW!」とのタッグにより特設サイトを立ち上げ、ライブで訪れるその土地ならではのアウトドア・アクティビティや伝統工芸を紹介してきた彼ら。全力で“遊び”を追求してきたこのツアーのファイナルを飾る夜なのだから、その徹底したコンセプト作りと、仕掛けはもちろんこれだけでは終わらない。
▲ New Acoustic Camp 2014 DIGEST
時計が開演時間を指すと、場内は暗転し、雄大な自然と無数の笑顔がスクリーンに映し出される。「NEW ACOUSTIC CAMP 2014」のハイライト映像だ。あの“夢のような2日間”の続きが今、はじまろうとしている…最後にツアーファイナルの文字が映し出されると、メンバーがゆっくりとステージへと登場する。
スモークがまるで朝霧のようにメンバーを包み込むなか、マーティンのウェルカム・メッセージに続いて「Follow The Dream」「Broken Glass」と、アルバムの冒頭に準えるように立て続けに披露、マーティンの心地よいフィドルがライブの口火を切る。2曲が終わったところで「ここからはいつものペースで」とビールを手にすると、一気にリラックスムードに。
TOSHI-LOWとマーティンの“いつも通り”の掛け合いが始まる。とにかくこの2人によるMCは終わらない。お酒を手にしたらなおさらだ。とはいえライブはまだまだ序盤。スタッフにビールを回収されたところで、次の曲へ。「Ride Today」では、NACの夕暮れ時を彷彿させる赤いライティングがの叙情的なメロディーに華を添え、ライブの定番「Thank You」では自然発生的スタートしたオーディエンスの手拍子で早くも会場が一体となり、大きなグルーヴを生み出す。
2回目のMCにして早くも手元のビールが日本酒へと代わり、よりマーティンとTOSHI-LOWの漫談のような掛け合いに拍車がかかる。さらにこの後、日本酒は泡盛へと変わるのだが…とにかくステージ上での酒盛りは止まらない。「今日は打ち上げだから」というTOSHI-LOWの言葉通り、ツアー中のエピソードを肴に、次々と酒瓶を空にしていく。そんななかでも、自身のこと、OAUのこと、NACのこと、そしてファンや被災地への思いを、しっかりとした言葉で、また、全身全霊のボーカルで私たちに伝えてくれるTOSHI-LOW。そんなTOSHI-LOWを「エモいねえ。」と茶化しながらも「そこが好きなんだよ。」と話し、自身も新曲披露の際にはフィドルの弦を2本切るほどの「エモさ」を見せつけてくれるマーティン。この“本気”と“遊び”の絶妙なバランスこそがOAUの象徴であることを改めて実感させられる。
そしてもう1つ、彼らが大切にしてきたこと…行く先々での人々との“出会い”を感じさせる演出が。ツアーの幕開けを飾った石垣公演のオープニングアクトを務めた18歳の三線奏者、西原和樹がスペシャルゲストとしてステージへ。この日、この瞬間のために島で厚手の上着を購入し、高校を休んで駆けつけたという西原は、石垣公演で飛び入りで共演を行いマーティンを涙させたという「朝焼けの歌」を、約2千キロの距離を超えて再演。東日本大震災の被害から立ち直ろうとする街の人々を思って制作された「朝焼けの歌」の、日本の童謡を彷彿とさせるメロディーに三線の音色が力強く、丁寧に添えられていく。そこには音楽や言葉以上に伝わる“何か”が確かにあった。会場内に、熱気とともに厳粛なムードが広がっていくのを感じた。
本編最後の曲となった「Believe」を終えると、一度メンバーがステージを去る。KAKUEIによるパーカッション&大きな2人のピエロによるパフォーマンスで一息ついていると、TOSHI-LOWとRONZIがステージに戻り、パーカッションに加わる。やがて演奏は「NEW ACOUSTIC CAMP 2014」のテーマソング「Making Time」のイントロへと。疾走感溢れるメロディーとステージから放たれるグルーヴ感、オーディエンスに負けないくらい楽しそうなメンバー、縦横無尽にフロアを歩き回るピエロ…目の前で繰り広げられている光景が、再びあの日の記憶へとつながっていく。そこから畳み掛けるように「New Tale」、西原もステージに再び登場しての「Pilgrimage~聖地巡礼~」など、4曲を披露し壮大な“遊び”の集大成はフィナーレを迎えた。
4時間弱の長丁場があっという間に感じたのは、ステージで行われているすべてのことを一緒に“体験”しているような気持ちにさせられたからなのだろう。決して“観ている”だけではない。自由なスタンスで、メンバーとともに、笑い、語らい、歌い、踊る…これこそが、「NEW ACOUSTIC CAMP」にも通ずる、彼らならではの“遊び”なのだ。
翌週には「東北ライブハウス大作戦」の一環でこれまでに幾度も訪れ、さまざまな形で支援を続けてきた岩手県・大船渡、宮古、宮城県・石巻と東日本大震災で大きな被害を受けた街へと赴いた彼ら。FOLLOW THE DREAM~夢へと続く旅路の先に何があるのかは、彼らのみぞ知るところ。だが、歩んできた旅の軌跡には、たくさんの出会いと人々の笑顔がはっきりと刻まれている。
ライブ写真
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
TOUR 2014 ー FOLLOW THE DREAM
PHOTO GALLERY ~旅の軌跡~
ツアーの模様を写真でプレイバック。ツアーのオープニングを飾った石垣、TOSHI-LOWの出身地である水戸、そして東京でのファイナル公演直後に行われた大船渡&宮古でのライブ写真も到着!
FOLLOW THE DREAM
2014/09/03 RELEASE
TFCC-86487 ¥ 3,565(税込)
Disc01
- 01.Follow The Dream
- 02.Broken Glass
- 03.夢の跡
- 04.Blind Moonlight
- 05.Making Time
- 06.Pilgrimage~聖地巡礼~
- 07.Ride Today
- 08.N.A.C
- 09.Treason Song
- 10.Clumsy Queen “Isabella”
- 11.朝焼けの歌
- 12.Question
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