Billboard JAPAN


Special

【#BJMA】2014年ビルボードジャパン・チャート解析/掟ポルシェ

?

【BJMA】特集


CDシングルランキングは
ファンが財力という忠誠心で世間を動かすひとつの「証」


 東京ニュース通信社発行『TV Bros.』にて、コラム好評連載中のミュージシャン・掟ポルシェが「Chart Commentary」に参加。2014年の音楽シーンと私的ランキングについてご寄稿いただくも、「昨年17年振りにリリースされたデスメタルバンドの新作関連曲と、ローカルアイドルを中心としたアイドルポップスに夢中だった」という氏のランキングは、いずれの曲もJAPAN Hot100圏外…。私的ランキングの全貌は『インターネットTVガイド』でお楽しみください。

2014年ビルボードジャパン・チャート解析/掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ)

 CD=握手券という商法に今更うだうだ言うつもりは毛頭なく、CDが全世界的に売れなくなった時代に我が国固有のビジネスモデルを創出し、別物として生き残る道を提示した事実は賞賛に値すると今となっては本気で思う。フィジカルな状態でのシングルは、イベントを打つための前提となった。そんな中でチャートアクションとは、ファンが財力という忠誠心で世間を動かした一つの「証」として機能するようになり、一人のファンが同じアーティスト/アイドルの同じタイトルの購入枚数積みやすいようにと、より安価なダウンロードカード(あくまでもフィジカルを保とうとする日本的な商品で愛らしい)に主力の形態が移行しはじめた年、それが2014年。

 一方、チャートと無縁な音楽は、少ない売上枚数でも経済的に潤えるよう、店舗や流通を省略したダウンロードサイトでの販売がより一般的となってきた。JUKE/FOOTWORKやハードコアパンクといったジャンルでは特に、SOUND CLOUD、BANDCAMP等でド・オブスキュアな音源を買う機会が自分自身本当に増えた。それでもまだまだCDが主な音源流通形態である状況はしばらく続きそうだ。フェティッシュを理解する国民性故、限定盤などの特殊仕様のブツを余計に愛し、方や握手会で実物に触れる体験を買う。日本における音楽産業はいま肉体的に隆盛を極めている。

 私的チャートについては、あいかわらず一年の殆どをCARCASSを聴いて過ごす生活続行中で、昨年17年ぶりの復活アルバムが出たことで熱が完全に再燃。今年はそのアウトテイクシングルが出たということで、これはもう盤面から煙が出るほど聴いている。そして圧倒的な個性を持ったワンプロデューサー体制で制作された地方アイドルに夢中だった一年でもあり、ウィスパーボイスアイドルである山梨市のPeach Sugar Snowの歌声は聴く度に脳が溶けるほどの圧倒的多幸をもたらし、店舗での音源取り扱いが全国で3軒だけという富士宮市のアイドル3776(みななろ)の、歌を合わせるのも難易度の高い変拍子ギターサウンドによるアメイジングポップスは聴いて驚けの一言。まだ他に取り上げるべきものを忘れている気も非常にするが、あとは今の気分ということで。

BJMA2014

インターネットTVガイドとの連動企画として
掟ポルシェ【私のシングルベスト20】を発表中

http://www.tvguide.or.jp//feature/BJMA2014/

プロフィール写真

掟ポルシェ(おきて・ぽるしぇ) 1968年北海道生。80年代ニューウェイヴ音楽の末端部分(小さい頃のフールズメイトに載っていたバンドとディスクユニオンの100円箱に入ってるバンド)に詳しく、ど真ん中の部分(ロッキンオンに載ってたバンドとプレミアが付いてディスクユニオンの壁にジャケが飾られてるバンド)ついての知識は皆無に等しい節約ニューウェイヴ純情派。一日の大半をCARCASSのことだけ考えて暮らしているが、他のデスメタルについてはほとんど知らない。特技はDJ。テレビブロスにてコラムを連載中。

関連キーワード

TAG

関連商品

監獄ポップ
マーシー☆ポルシェ「監獄ポップ」

2009/11/04

[CD]

-

監獄ポップ
マーシー☆ポルシェ「監獄ポップ」

2009/11/04

[CD]

-