「彼は様々な音楽に多大な影響を与えた」― ミック・ジャガーがジェームス・ブラウンと最新プロジェクトを語る

Special

ザ・ローリング・ストーンズ

ミック・ジャガー最新インタビュー

　今年8月に全米公開された“ゴッドファーザー・オブ・ソウル”＝ジェームス・ブラウンの生涯を綴った映画『Get On Up』など、近年ではプロデューサーとして映画、TV番組、ドキュメンタリーなどに携わる機会が増えているミック・ジャガー。そんな彼がプロデューサーを務める最新プロジェクトが、ジェームス・ブラウンの絶頂期を描いたアレックス・ギブリー監督によるドキュメンタリー『Mr. Dynamite: The Rise of James Brown』だ。今週、米CATV局HBOにて全米放映された今作、今後のプロジェクト、さらには長年パートナーだったローレン・スコットの死についてミックが、話してくれた。

マイケル・ジャクソン、プリンスのようなパフォーマーにも影響を与え、
初期のヒップホップなどに関しても同じことが言える

??まずは、ジェームス・ブラウンとの関係性について教えてください。

ミック・ジャガー：特に親しい仲だったわけじゃないけど（笑）、キャリアの早い段階に彼と出会った。初めてニューヨークに行った時…アポロ・シアターで一日過ごしたことがあって…その時に彼に挨拶したんだ。俺が誰だかまったくわかっていなかったと思うけれど…とても、とても良くしてもらった。すごく親切だったね。

??彼が与えた影響というのは？

ミック：彼は様々な音楽に多大な影響を与えた。後に、デビューしたマイケル・ジャクソン、プリンスのようなパフォーマーにも影響を与え、初期のヒップホップなどに関しても同じことが言える。そして、すべてのバンド、すべてのロック・バンドに影響を与えた。彼らが全員ジェームス・ブラウンの曲を演奏したか、と言えばそうではないが、曲を知っていたのには間違いない。

??このドキュメンタリーは、彼の音楽と彼が携わっていた活動についてのものですが、DVについても多少触れていますよね。

ミック：アレックスは、主にその2点に重点を起きたかったと思うんだが、他の点からも目を背けることはしたくなかったんだ。「ジェームス・ブラウンは、ドラッグ中毒者でDV夫だったか？」という1本の映画を作ることも可能だが、それはネガティヴな部分で…粉飾するのは良くないと思うが、ネガティブな部分にばかり比重を置くのも良くない。それに、ミュージシャン、パフォーマーとしてのジェームス・ブラウンを探究したかった。そして活動家としての時期のジェームス・ブラウンも興味深かったので、そこを掘り下げたかった。その当時生きていた人も少ないし、俺を含め忘れている人も多いと思うから、ネガティヴな部分は大きく扱わなかったんだ。

??他にドキュメンタリーを制作してみたいアーティストはいますか？

ミック：エルヴィスの青年期を綴った映画の制作に携わって欲しいと頼まれたから、今そのプロジェクトが動いてる。それと、HBOで音楽関連のシリーズを作ってる。フィクションで、ドラマなんだが、主人公は、レコード会社のオーナーで、彼の人生についてのものだ。

??そのHBOシリーズに出演なさるのですか？

ミック：出演はしていない。マーティー（マーティン・スコセッシ）と練り上げたストーリーで、映画になるはずだったんだが、TVシリーズにすることにしたんだ。物語のスタートは1973年のニューヨークだから、パンクの始まりで、ヒップホップの初期でもあるから、様々なことが起きていた妙な時期でもあるね。

??今年は、ミックにとってエモーショナルな1年となりましたね。

ミック：元気にやってるよ。みんな優しくしてくれるし、家族もとても献身的だからね。仕事がたくさんあったおかげで、やってこれた、いい意味で。だから大丈夫だよ。

Q&A by Associated Press / 2014年10月23日 Billboard.com掲載