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videoolio vol.17: The Empty Hearts ~注目のアーティストをビデオで紹介~
旬なアーティスト、注目のバンドをビデオを通じて紹介する【videoolio】。第17弾は、ロック黄金期70/80年代のスーパーバンドのメンバーがロックを継承すべく集結した新バンド、エンプティ―・ハーツ。メンバーは、ザ・カーズ(The Cars)のエリオット・イーストン、ブロンディ(Blondie)のクレム・バーク、ロマンティックス(The Romantics)のウォーリー・パルマー、 チェスターフィールド・キングス(The Chesterfield Kings)のアンディ・バビアックの4人に、ラモーンズやトーキング・ヘッズなどを手掛けたEd Stasiumが共同プロデューサーとして参加。8月にデビューアルバムとなる『ジ・エンプティ―・ハーツ』をリリースした。満を持して行われる10月の来日公演では、The Empty Heartsの楽曲はもちろん、それぞれの出身バンドのヒット曲も演奏するとのことで、ファンの期待がさらに高まっている。今回は、来日公演に備えるべく、バンドから入手した演奏予定曲を映像とともに紹介していこう。
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ロック黄金期70/80年代にスーパーバンドのメンバーが集結
The Empty Hearts
『The Empty Hearts』
(2014.8.6Release)
それぞれの出身バンドの紹介の前に、まずこのエンプティ―・ハーツについて簡単に紹介しよう。元々バンドメイトだったロマンティックスのウォーリー・パルマーとチェスターフィールド・キングスのアンディ・バビアックが新しいバンドを始めようとしたのをきっかけに、ブロンディのクレム・バーク、ザ・カーズのエリオット・イーストンが集結。元フェイセズのイアン・マクレガーもゲスト参加したデビュー・アルバム『ジ・エンプティ―・ハーツ』を8月にリリースした。それぞれのメンバーが通ってきたバックボーンであるパワー・ポップやニューウェーブ、ガレージなどを凝縮しながら、しかし単なるノスタルジーに浸ることのない、ファンも納得のドライブ感とグルーヴ感溢れるサウンドに仕上がっている。新たな刺激の中で、メンバーひとりひとりが伸び伸びと演奏していて、心地よい、爽快なアルバムとなっている。ちなみにバンド名は、ブルーススプリングスティーンのバックバンド、E Street Bandのスティーヴ・ヴァン・ザント秘蔵のバンド名リストから拝借したものらしい。
リリースに合わせて7月末に開設された日本版特設サイトには“「我々が共に受けてきた影響がまたこうやってひとつになり、懐かしくも新しい音楽になる。A lot of people have never heard or seen a band like this.」クレム・バーク(ブロンディ)談”と綴られており、単なる寄せ集めではなく、ロックを継承する確固たる意思をもったバンドである。
先日USA TODAY内で、「I Don't Want Your Love, (If You Don't Want Me)」のミュージックビデオが公開されたので、是非チェックしてみよう。
エンプティ―・ハーツのリードボーカル兼サイドギター兼ハープを担当するウォーリー・パルマーは、1977年に結成されたロマンティックスのボーカルとして活躍。アメリカ・デトロイトで結成されたロマンティックスは、パワー・ポップ・ロック・バンドとして、端整なルックスも相まってアメリカのみならず世界中で人気を集めた。この「Talking in Your Sleep」は、1983年にリリースされたロマンティックスの代表曲であり、全米チャート3位を記録。 『Hot Dance Club Play』チャートでは2週間1位に輝いた。
この曲もまた、イギリスのパンク・ロックの影響を受けたというロマンティックスの代表的な一曲。1979年にリリースされ、バンドの初めてのヒット曲で、全米で49位、オランダでは14位、そしてオーストラリアで1位を獲得している。それを象徴するかのように、現在進行形で全米チャートを沸かせているオーストラリアのポップ・ロックバンドファイヴ・セカンズ・オブ・サマーもカバーしている。エンプティ―・ハーツ公演でも当時の若さを彷彿とさせる軽快なハーモニカが聴けるに違いない。
来日公演情報
エンプティー・ハーツ
(ウォリー・パルマーof THE ROMANTICS、エリオット・イーストンof THE CARS、クレム・バークof BLONDIE、アンディー・バビアック of THE CHESTERFIELD KINGS)
ビルボードライブ東京:2014/10/22(水) ~ 10/23(木)
1stステージ 17:30開場 19:00開演
2ndステージ 20:45開場 21:30開演
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
関連リンク
エンプティ―・ハーツでドラムを担当しているクレム・バークが所属していたのが、1974年にニューヨークで結成されたブロンディ。紅一点のボーカル、デボラ・ハリーの存在感とパンクを起点としてディスコやレゲエ、ポップスをハイブリットした楽曲で注目を集める。「Heart of Glass」やジョルジオ・モロダーと共作した米英でナンバーワン・ヒットとなった「Call Me」を聴けば一発で分かるだろう。デボラ・ハリーの病気のため、80年代前半に解散するも、1997年に再結成。2006年にロックの殿堂入りを果たしている。「One Way or Another」は1978年にリリースされたサード・アルバム『Parallel Lines』に収録され、全米24位となったパンクチューン。
ブロンディは今年結成40周年を迎え、5月に『Blondie 4(0) Ever』というベスト盤をリリースした。バンド結成からデボラ・ハリーの病気、解散、再結成に至るまで、常にバンドに寄り添ったクレム・バーグの評価は高く、前述したロマンティックスやイギー・ポップ、ボブ・ディランなど、多くのアーティストのサポートをしている。そしてこの「Hanging on the Telephone」は、全英1位となりこれまでに世界で2000万枚の売り上げを記録した偉大なサード・アルバム『Parallel Lines』に収録されているニューウェーブ・ロック・チューン。この曲がウォーリー・パルマ―によってどういう風に披露されるのか、興味深い。
エンプティ―・ハーツのサウスポー・リードギター、エリオット・イーストンが所属しているのはマサチューセッツで1976年に生まれたロックバンド、カーズ(The Cars)。全員が車好きだからという、ド直球な理由で名づけられたカーズは、デビュー前からデモ曲がラジオ局で流れ、1978年にリリースされたデビューアルバム『錯乱のドライブ/カーズ登場』そして1979年のセカンド・アルバム『キャンディ・オーに捧ぐ』が立て続けにヒット。グラミー賞新人賞にもノミネートされた。そしてこの「Just What I needed (燃える欲望)」こそ、デビュー前からラジオ局でパワープレイされた、バンドの火付け役となった曲で、ベンジャミン・オールのダンディーな歌声とキャッチ―なシンセリフ、そしてエリオットのタイトなソロが印象的なロックナンバーだ。映像は、1985年のライヴエイドのJFKスタジアムの模様。
「Just What I needed (燃える欲望)」はベンジャミン・オールがリード・ボーカルだったが、もともとカーズはツイン・リード・ボーカルで、リック・オケイセックがこの「Good Times Roll」のリード・ボーカルを務め、デビューアルバム『『錯乱のドライブ/カーズ登場』の一曲目を飾っている。ギュっギュっとリズムを刻んだミドル・テンポな楽曲の中でも、エリオットがサビやソロで伸びやかなギターを披露している。また、「My Best Friend's Girl」もエンプティ―・ハーツ公演のセットリストの候補になっているので、どちらが演奏されるかは当日のお楽しみのようだ。ちなみにカーズは1988年に一度解散し、2010年に再結成しアルバムを発表しているが、バンド解散中の2005年にエリオット・イーストンとキーボードのグレッグ・ホークスが、トッド・ラングレンをボーカルに迎えて『ニューカーズ』を結成している。
エンプティ―・ハーツのベースのアンディー・バビアック所属しているのが1970年代から活躍しているチェスターフィールド・キングス。日本でも知る人ぞ知るニューヨークのガレージ・ロック・バンドである。今回のセットリストにはリストアップされてはいないのだが、このバンドも紹介しよう。1982年にアルバム『Here are the Chesterfield Kings』をリリース後コンスタントに作品を発表。60年代のロック、とりわけローリングストーンズに大きな、というか思いっきり影響を受けており、ザ・ローリング・ストーンズのゴーストと称されるほどである。1994年にリリースした『Let's Go Get Stoned』では、「Street Fighting Man」をカバーしたり、ミック・テイラーがゲスト参加したり、ジャケットは『Aftermath』を模している。2014年には、ボーカルのグレッグとアンディ―でザ・ローリング・ストーンズの機材を網羅した本『Rolling Stones Gear: All the Stones' Instruments from Stage to Studio』を出版している。ちなみにアンディ―はこの本に先駆けて『Beatles Gear』も執筆している。
最後に、エンプティ―・ハーツから来日公演に向けたビデオメッセージを紹介!
▼アンディー・バビアック of THE CHESTERFIELD KINGSのインタビューも公開中!
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来日公演情報
エンプティー・ハーツ
(ウォリー・パルマーof THE ROMANTICS、エリオット・イーストンof THE CARS、クレム・バークof BLONDIE、アンディー・バビアック of THE CHESTERFIELD KINGS)
ビルボードライブ東京:2014/10/22(水) ~ 10/23(木)
1stステージ 17:30開場 19:00開演
2ndステージ 20:45開場 21:30開演
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
関連リンク
ジ・エンプティ・ハーツ
2014/08/06 RELEASE
COCB-60116 ¥ 2,530(税込)
Disc01
- 01.90マイルズ・アン・アワー・ダウン・ア・デッドエンド・ストリート
- 02.アイ・ドント・ウォント・ユア・ラヴ(イフ・ユー・ドント・ウォント・ミー)
- 03.(アイ・シー)ノー・ウェイ・アウト
- 04.フィル・アン・エンプティー・ハート
- 05.ソウル・ディープ
- 06.ラウド・アンド・クリア
- 07.パーフェクト・ワールド
- 08.アイ・ファウンド・ユー・アゲイン
- 09.ジャスト・ア・リトル・トゥー・ハード
- 10.ドロップ・ミー・オフ・アット・ホーム
- 11.ジェラシー
- 12.ミート・ミー・ラウンド・ザ・コーナー
- 13.フィル・アン・エンプティー・ハート (アコースティック・ミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
- 14.アイ・ファウンド・ユー・アゲイン (アコースティック&ピアノ・ミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
- 15.アイ・ファウンド・ユー・アゲイン (アコースティック・ミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
- 16.アイ・ファウンド・ユー・アゲイン (ホンキートンク・ピアノ・ミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
- 17.アイ・ファウンド・ユー・アゲイン (ピアノ・ミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
- 18.パーフェクト・ワールド (ローファイ・ミックス) (日本盤ボーナス・トラック)
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