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清木場俊介 『MY SOUNDS』インタビュー

清木場俊介 『MY SOUNDS』 インタビュー

 「『MY SOUNDS』=生き様ロックを唄いたい」「伝わり方が半分に落ちて20万人に届いても、果たしてそれは良いことなのかなって。僕はこの50000人と10年飯食ってきたんで、そこは崩したくはない」漢・清木場俊介のシーンでの戦い方、戦う覚悟をここに記録する。高橋優、BIGBANGのG-DRAGON、カラーボトルなど好きなアーティストについても。

音楽番組に出る人もドラマに曲が使われる人も大体決まってる

--アルバム『唄い屋・BEST Vol.1』以来、約半年ぶりぐらいのインタビューになるんですが、前回は、尾崎豊、矢沢永吉、長渕剛、浜田省吾など影響を受けた大先輩の話も伺いつつ、清木場俊介の男道を語ってもらいまして、おかげさまで大反響でした。

清木場俊介 / ROCK★STAR 【MUSIC VIDEO】
清木場俊介 / ROCK★STAR 【MUSIC VIDEO】

清木場俊介:そうですか! 嬉しいですね。

--で、今日は、逆に聞きたいんですけど、最近の若手アーティストについてはどんな印象を持っているのかなと思いまして。

清木場俊介:(笑)。最近、テレビを観ないんでね……でもバンド系の若い人たちはすごく格好良い人たちが多いなと感じます。MTVでPVとか観るんですけど、ロック系はPVとかも格好良い。ただ、メッセージ性がないバンドはどうなのかなってすごく感じます。今はノリというか、サウンドは良いんだけど……みたいなバンドが多いから、もうちょっと歌詞がリアルなほうが格好良いのかなとは思いますけどね。その点で言うと、高橋優さんは良い。初めて聴いたとき、尾崎の魂をすごく感じたので、CD集めましたね。この前、テレビで偶然お会いすることがあったんですけど、すごく真面目な方で。

--たしかに歌詞が残るアーティストですよね。

高橋優 - 夜明けを待っている
高橋優 - 夜明けを待っている

清木場俊介:僕もメッセージ性ある唄をうたっているので、感銘を受けました。まぁバンドものもスタイルは格好良いと思うし、僕はあんまり“嫌い”っていうのがないんで。わりと受け入れられる。アイドルも見方によっては全然受け入れられるし、可愛らしいなって思うし。20代の頃だったら否定していたかもしれないけど、最近は娘のような感覚で見ちゃいます(笑)。あと、最近はクラブサウンドも好きになったし、今後は自分の曲をクラブサウンドにアレンジしてもいいと思ってるし……

--それ実現したら清木場さんのファン的には驚きですよね?

清木場俊介:そうですね(笑)。

--きっかけは?

G-DRAGON - 'ONE OF A KIND' 0814 Mnet K-CON 2014
G-DRAGON - 'ONE OF A KIND' 0814 Mnet K-CON 2014

清木場俊介:BIGBANGのG-DRAGON。彼、PVも楽曲もプロデュースも全部自分で手掛けてて、すげぇセンス良くて、格好良くて。唄も上手いし、ラップも上手いし、英語も日本語も喋れて。それでBIGBANG自体にも興味持つようになって調べてみたら「あ、これは売れて当然だな」って思ったし、それから「こういう音楽も格好良いな」って。

--もう少し話の規模を大きくしますが、今の音楽シーンは清木場さんの目にどんな風に映っているんでしょう?

清木場俊介:今ねぇ…………どうなんですかね? 僕、世の中の動きとかあんまり気にならなくて。それよりは自分が何を表現していくか。流行とかもあるんだろうけど、自分の音楽は一貫してブレちゃダメだなって思うし、そういうところで踏ん張ってる。ただ、CDが売れない事実、現状はあるので、ライブできない奴は今後もっとシビアになっていくんだろうなとは思います。

--清木場さんはどう今の時代を戦っていこうと思ってるんですか?

清木場俊介:やっぱり生き様をしっかり伝えていかないとマズイなって思う。流行とかじゃなく、その唄の中にあるメッセージが自分の生き方と一緒になっているかどうか。そこが噛み合ってないとリアルじゃないんで。リアルを求めたい。20代なりの表現、30代なりの表現、40代なりの表現をしていくことで、生きていく道が一本になって、そこに歴史が生まれる。そうやって伝えていくものなのかなって思います。

清木場俊介 『MY SOUNDS』インタビュー

--ただ、昨今のヒットチャートはアイドルが大きなシェアを誇っていて、そういうリアルな唄がクローズアップされづらいですよね。

清木場俊介:まぁそれはしょうがないんじゃないですか。音楽番組に出る人たちも大体決まってるし、ドラマとかに曲が使われる人も大体決まってるし、そういうことがだんだん見えてくる。じゃあ、そこで真剣に勝負したって面白くない。本当のものがメディアに乗るのかって言ったら僕はそうじゃないと思うし、そこを気にして音楽制作してるとやっぱりブレちゃうので。だったら自分はテレビに出る為に音楽を作るんじゃなくて、自分が作ったものがテレビに受け入れられるのを待つしかない。テレビに、時代に合わせて自分の生き様変えてたら訳わかんなくなるんで。

--自分の信じているものが純粋に評価されての、ってことですよね。

清木場俊介:そうですね。グループ時代にテレビに育てられた人間なので、テレビの威力も分かってるし、テレビにすごく感謝している部分もあるんですけど、ただ自分が今やってる音楽というのは、それだけで成立するものではない。やっぱりファンに本質を届けないといけないんで、売れる売れないよりどこまで生き方を伝えられるかが大切。

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バラード唄ってる最中にアホみたいに名前叫ばない

--その自分のスタイルが「間違っていない」と思えるのは何故ですか?

清木場俊介:10年やれてるからですね。ビジネス的なことを言えば、契約してもらえてるからとか(笑)。要らなかったら「もう契約しません」って言われるだろうし。あとは、自分なりにファンと歩んできた自負もありますし、ライブやれば人が集まる。この10年でテレビ出たのなんて5,6回ですよ? でも毎年30000人~40000人のライブは出来ているんで、無理にテレビ出なくてもいいんじゃないかって思っちゃいますよね。今やれているものを敢えて崩して、50000人にしっかり届いてるいるものが、伝わり方が半分に落ちて20万人に届いても、果たしてそれは良いことなのかなって。僕はこの50000人と10年飯食ってきたんで、そこは崩したくはない。

--「50000人と10年飯食ってきた」感覚が強いんですね。

清木場俊介:それは強いです。ファンと一緒に歩んできた。それは有難いし、いつも待っていてくれるってなかなかないことですから。その人の音楽をずっと必要とするって、自分の人生の中でも1人か2人しかいないんで。やっぱり音楽性変わったら聴かなくなったりするし。でも僕のファンは待っていてくれるし、必要としてくれる。かと言って「逃げないでくれ」とは思わないし、どんどんいろんな音楽聴いて、いろんなライブ行って、選ぶのはその人たちの自由だと思うし。ただ、自分が10年ロックで飯食えているというのは、必要とされているからだと思うので。

--清木場さんのファンを誰かに紹介するとしたらどう紹介します?

清木場俊介:すごく優しいです。例えば、ライブ終わったらそこにゴミがないですし、フライヤーとかも捨てないですし、真面目ですよ。皆さん、音楽に対して。バラード唄ってる最中にアホみたいに名前叫ばないし、しっかり音楽と向き合っている人が多いと思います。僕がグループを辞めた理由のひとつは、アホみたいに名前をずっと叫んでいる人がいたからで、真剣に唄をうたってる間に相方の名前を延々と叫ばれても良い気はしないし、それは逆でも「そんなファンは要らないよ」って思っちゃうというか。だからソロになったばかりの頃は「バラードは静かに聴いてほしい」とか「ウチワとか持ってくるな」って伝えてました。そうやってみんなで育ってきたんで、やっぱり10年間付き合ってくれてる、一緒にいる感覚はありますね。

--その人たちに「届いてるな」って思えることが力になる?

清木場俊介:そうですね。盛り上がってほしいところでは盛り上がってくれるし、唄ってほしいときに唄ってくれるし。何より手紙とかに「がむしゃらな清木場もいいけど、笑ってる清木場がいい。一緒に笑いたい」みたいなことが書いてあって、昔、笑えない時期もあった自分からすると「あー、分かり合えてるんだな」って思える。それは力になりますよね。

--個人的には、今の音楽シーンにおけるカウンター、次の流れを生むアーティストは清木場さんのようなど真ん中感のある人。それこそ尾崎豊、矢沢永吉、長渕剛、浜田省吾のようなスターなのかなと思うんですが、自分ではどう思います?

清木場俊介:そういう時代が来ても相手されなかったら多分辞めます。

一同:(笑)

清木場俊介:そりゃそうでしょ(笑)! そこは自分が参加していきたい場所だし、入り込んでいきたい場所なので。まぁでも時代……時代時代言ってもおかしいけど、待つしかないんでしょうね。来たら良いですけどね、そういう時代も。

--今の音楽シーンを見渡して、同世代や後輩に「俺っぽいな」って思う人っておそらく皆無ですよね?

カラーボトル「グッバイ・ボーイ」
カラーボトル「グッバイ・ボーイ」

清木場俊介:いない。全然いないです。いないから良いんですけど……いないねぇ、本当に。東北出身の「グッバイ グッバイ グッドボーイ♪」って唄っているバンド、カラーボトルの曲を聴いたときは「うおぉ!熱いな!」と思ったね。そういう音楽性がすごく好きで。でもやっぱり今ってみんな真面目なんですよね。不良っぽい奴がいなくて。「おい、コラ」って言われたら「なんだ、コラ」って言えるような奴がいないのかなと思って。矢沢さんも氷室(京介)さんも「おい、コラ」って言われたら「おう、コラ」ってなると思うんですよ(笑)。そういうのがないとダメだと思うんですよね。自分が持ってるプライドを傷つけられそうになったときに、全力で立ち向かえる根性がある奴って今いなくて、いわゆる事務所の色に染められていったり、どうしても売れセンの曲を書かされたり。まぁそれはいつの時代にもあると思うんだけど、そろそろ根性ある奴が出ていかないとみんな飽きちゃうんじゃないかな。

--清木場さんが出ていけばいいと思いますよ。いわゆるロックフェスとか。

清木場俊介:去年出たんですけど、4つ打ちのバンドばっかりでみんな似たような感じだったんですよ。盛り上がってはいるんだけど、「これ、音源流してても盛り上がるんじゃねーか?」みたいな感じで。違和感はすごくあった。で、そこに自分が出ていったら客席は自分のファンだけになっちゃったんで、「あ、畑が全然違うんだな」と思いました。不思議でしたね。不思議だし、ちょっとショックだったし、それで「まだまだだな」って現実を感じたというか。

--まさしく孤軍奮闘。

清木場俊介:そうですね。孤独感はあります。でも常に僕を導いてくれたのは、前回のインタビューでもお話した先輩方で。あの人たちの生き方とかをすごく勉強したし、関連本もいっぱい読んだし、ついこの前は氷室さんのライブも観に行ったんですけど、やっぱり力をもらえますよね。

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清木場俊介の生き方があっての音楽なので

--でも他の人はそういう存在を目指さないですよね、今って。

清木場俊介:その路線に入り込みたいと思わないんじゃないですか。リスキーだから(笑)。すごくリスキーだし、すごく大変だから、伝説を残すようなことに挑むっていうのは。だから若い子達は「ああいう風になりたい」って思わないんじゃないですか? スターを望んでないというか、流行りの中の一部でいい感じ。「モテりゃいい」みたいなノリだと思いますよ。なので、20代のバンドたちがそれなりに盛り上がっているのはいいんだけど、30代になったら何を伝えていくんだろうな?っていうのはすごく心配になる。「30になってまだやってんの?それ」みたいなことになりかねない。ビートルズにしてもストーンズにしてもメッセージ性があるからあそこまで行っている訳で。ひとつ何かメッセージがないと難しい気はします。

--そういう意味でも、清木場俊介は矢沢さんや氷室さんのようなスターを目指せる稀有な存在だと思うんですが、グループを辞めた理由など聞いていると“スターになりたくない”気持ちもあるのかなと。

清木場俊介:いやいや、なりたくない気持ちはないですよ。全然、自分が胸張っていけるなら、この形のままスターになれるならいつでもなりたい。望まない形で祭り上げられるのが嫌いなだけで。

--そんな我が道を突き進む清木場俊介の新アルバムのタイトルが『MY SOUNDS』ですよ。

清木場俊介 - アルバム「MY SOUNDS」撮影時メイキング映像
清木場俊介 - アルバム「MY SOUNDS」撮影時メイキング映像

清木場俊介:ベストアルバム『唄い屋・BEST Vol.1』を作ってみて、過去に作っていたものがより愛おしくなり受け入れられたので、ようやく清木場俊介というものが自分の中で確立されてきたんだなと。それで今作『MY SOUNDS』を作ってみたら、30代なりの余裕というものが生まれてきたので、「これぞ自分の唄だな」ということで『MY SOUNDS』というタイトルにしたんです。

--そこに辿り着けたきっかけみたいなものってあったんですか?

清木場俊介:20代の頃からずっと30代に憧れていて、30代の潔さとか格好良さ、大人の余裕感みたいなものが欲しくて。ここ1,2年でそこにようやく辿り着けた感覚があって。例えば、ハイタッチ会とかフリーライブとか「いやいや、そんなの要らない」って言っていたもの。今は余裕が出てきたから受け入れられるようになってきたんですよ。それで「清木場俊介がハイタッチ会? アイドルかよ」と言われても「うん、アイドルでいいよ」みたいな。「じゃあ、来てやってみろよ。俺とハイタッチしたら分かるよ」っていう風に思えるようになったし。

--実際やってみたら面白かった、っていうのもあるんですか?

清木場俊介:面白かったですね。普段、ファンと至近距離で話すことってなかったんですけど、ハイタッチ会やったらすげぇ涙流している人がいれば、一言も喋れないで震えてる人もいれば、ノリ一発の人もいる。いろんな人間がいて「あ、こういう人たちに支えられてきたんだな」って本当に確認できたし、「私の街にも来て下さい!」ってアピールする人もたくさんいて、それに対して「ライブハウスも廻らなきゃいけないんだな」って思ったし、すごく分かりましたね、行く道が。ファンの声を聞くことによって。それまでは「見ておいてくれ、俺を」みたいな部分が多かったんだけど、今は「そんなのやらないよ、格好悪いから」って言うことが格好悪いんだなって気付けてきた。だから今回の『MY SOUNDS』は投げかけるような曲が多くなって。

--凄い転機ですね。今後いろいろ受け入れていけるし、挑戦していける流れが出来たというか。

清木場俊介:そうそうそう! 今、本当に迷わないんで。「やりたい」「やりたくない」の前にやらされてる感も出てるぐらいなんで(笑)。「勝手に決めてんじゃねーか!」って。それぐらい今は任せられるようになった。で、俺が出て行って上手くいったら、みんなしてドヤ顔して帰っていく。そういうのもちょっと面白くなってきた。昔は「おい、これやって大丈夫かな? 俺」みたいな部分があったけど、今はパン!って出てバン!ってやって「よし、呑み行こう」。そういう潔さも出てきました。

--清木場俊介のハイタッチ会、行ってみたくなりました。

清木場俊介:面白いですよ。自分流にやっちゃうから、子供連れてきたファンがいたら子供抱っこしちゃうし(笑)。その場も楽しまないとダメだから。神戸でやったときはボクシングの長谷川穂積さんが来てくれて、「長谷川さん、一緒にやろう」って言って、長谷川さんも一緒にハイタッチやって!

一同:(笑)

清木場俊介:そういう遊びはやらなきゃダメですよ。そこを自分流に出来るところが、しがらみのない強さになってるんだと思う。

--その時期に『MY SOUNDS』が出る面白さも感じる?

清木場俊介:そうですね。だから今回のアルバムに関してはすごく満足しています。僕、出来上がっちゃうともう頭が次の作品に行っちゃうんですけど、これは今すごく聴いていて。聴いていても面白いし、早くライブでやりたい。『MY SOUNDS』=生き様ロックを唄いたい。生き方が集約されてるアルバムになってるし、僕の場合は音楽が先行してその後に清木場俊介じゃなく、清木場俊介の生き方があっての音楽なので、ここには僕の生き方がすべて入ってます。

Music Video

清木場俊介「10th Anniversary Acoustic Live “MY SOUNDS” 2014.5.6 at TOKYO DOME CITY HALL」

10th Anniversary Acoustic Live “MY SOUNDS” 2014.5.6 at TOKYO DOME CITY HALL

2014/09/10 RELEASE
VIBL-717/8 ¥ 6,600(税込)

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Disc01
  1. 01.ROLLING MY WAY
  2. 02.Rockin’ the Door
  3. 03.Fighting Man
  4. 04.唄い人
  5. 05.ONE
  6. 06.貴方の中に
  7. 07.エール
  8. 08.いつか…
  9. 09.幸せな日々を君と
  10. 10.愛のかたち
  11. 11.羽1/2
  12. 12.Message
  13. 13.五日間……バックレよう
  14. 14.さよなら愛しい人よ…
  15. 15.JACKROSE
  16. 16.REAL
  17. 17.GO!WAY!
  18. 18.最後の夜 -encore-
  19. 19.今。 -encore-
  20. 20.おやすみの前に -encore-
  21. 21.五日間……バックレよう -encore-

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