2021/05/02 14:00
2021年4月28日付のBillboard JAPAN週間“Top Albums Sales”で、宇多田ヒカル『One Last Kiss』が7,651枚を売り上げ、リリースから7週目にも関わらず、トップ10内をキープしている(集計期間2021年4月19日~2021年4月25日)。
『One Last Kiss』は、前作『初恋』から2年9か月ぶりのEPで、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の碇シンジ描かれたジャケットのCDと、綾波レイが描かれたアナログ盤の2形態で2021年3月10日に発売された。収録曲はすべて宇多田ヒカルが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズに提供した楽曲で、発売週は60,116枚を売り上げ“Top Albums Sales”で2位を獲得、その後も順調に販売枚数を伸ばし、集計期間2021年4月12日~4月18日の“Top Albums Sales”では発売後6週経過しているにも関わらず14,344枚を売り上げ3位を獲得している。
ここではSoundScanJapanのセールスデータを使用し、EP『One Last Kiss』が、どのように販売されたかを調査してみた。まず、本作が発売されてから執筆時点(7週目)までの累計販売数の推移をグラフ化したのが図1(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/99535/2)である。
ここからわかる事は初動で60,116枚売り上げているが、7週経過した現在、累計販売枚数は初動の2倍を超える132,091枚となるロング・セールとなっている事、また発売以来安定して販売枚数を伸ばしていたのだが、特に2021年4月11日から2021年4月18日に大きく跳ね上がっている事が確認できる。
次に、各週の売り上げ枚数を販路別(実店舗とEコマース)、形態別(CDとアナログ盤)と二つの切り口でどの様に売れているかを調査した。まず、販路別の販売枚数を調査したのが図2(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/99535/3)である。
実店舗での販売枚数が比較的なだらかに減少している一方、Eコマースは2021年4月11日と2021年4月18日に大きく伸びているのがわかる。
そして、形態別の販売枚数を調査したのが図3(http://www.billboard-japan.com/d_news/image/99535/4)である。
こちらもCDは比較的なだらかな推移をしている一方、アナログ盤については初週6,539枚の販売だったのだが、2週目2,603枚、3週目は607枚と急激に売り上げが下がっていく。しかしその後を動きを見ると、4週目1,144枚、5週目3,857枚と推移し、6週目9,296枚と大きく伸び、ついに同週のCDの販売枚数(5,048枚)を大きく超えている。
つまり3週目までアナログ盤の販売枚数が大きく減少していたのは、店舗やECサイトでは入荷しても即時売り切れが頻発しており、初回生産分の在庫がなくなり、買いたくても買えなかったためと予想される。また、現在のフィジカルの市場では在庫スペースや展示面積を取るアナログ盤は、小型店や、家電量販店、レンタル兼業店で取り扱っている可能性は低い。更に新型コロナウィルスの感染拡大防止のための、まん延防止等重点措置等の影響により、購買者が都市部の大型店舗を利用する事を避ける傾向があるため、店舗よりもEコマースでの伸びが大きくなる一因となっているようだ。
2021年夏にはアスカ・ラングレーがジャケットとして描かれた海外盤のLPの発売が決定しており、今後の『One Last Kiss』の動向から目が離せない。
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