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2021/04/06

<インタビュー後半>マスクド・ウルフ「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」のヒットを自己分析「パズルのような魅力がある」

 オーストラリア・シドニー出身のラッパー、マスクド・ウルフの最新インタビューが届いた。2018年12月にデビュー・シングル「スピード・レーサー」を発表、今年1月にリリースした「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」は、このメンタルヘルスの時代に多くの人々から共感を得たことでヒット、Shazamグローバルチャートで1位を記録し、最新の米ビルボード・チャート“HOT 100”では17位にまで上昇している。今回はインタビュー後半。最新シングル「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」に込めた想いと、それがなぜ世界中のリスナーに届いたのか、そして今後の動きについても話してもらった。

――レーベルと契約したきっかけを教えてください。

レーベル契約に至ったのは、「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」の成功が鍵になった。あの曲が徐々に広まっていって、みんなの耳に届いたと同時に、アーティストとして俺の名前も知られるようになってきた。「だんだん波が動いてきたぞ」という感覚だった。すべてはあの曲のおかげだね。

――まさにあの1曲がきっかけとなって自分の環境が変わったと言える?

うん、あの曲で人生が100%変わったと言えるね。それに、自分が信じていることを諦めずに挑戦し続ければ、色んなことが可能になるんだということも身をもって感じた。あの曲がヒットしなければ、こうしてインタビューを受けていることもなかっただろうから。

――そもそも「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」はどのようにしてできた楽曲なのでしょうか?

車の運転中に閃いた楽曲だったんだ。まずビートを聴いて<What you know about rolling~>という最初のフレーズが浮かんできた。それで「これはクールになるぞ」と思って、運転しながらコーラスを歌ってみたんだ。そのあとヴァースをどうしようかと考え始めた。車を運転しながら曲を作るって、とても変に聞こえるかもしれないけど、運転中に閃くことがあるんだ。運転にも集中しないといけないから、100%音楽に集中しているわけではない。でも、そんなときに急に頭にメロディが浮かんでくることがあるんだよね。「これ、いい感じじゃん!」って。逆に曲のことを考えすぎてしまうと、行き詰まってしまって何も浮かばないんだよね。

――世界中で楽曲がヒットしていますが、今はどんなお気持ちですか?

嬉しいけれど、同時にハードな状況だなと感じている。コロナウイルスの影響さえなければ、きっと今頃、世界を飛び回っていたはずで。このインタビューだって、パソコンの画面越しではなく、直接対面して行っていたと思うし。だから、この曲がヒットしていても特に変化はないとも言えるかも。変わらずに家の中で曲を書きまくっているわけで。あとは自分がリリースした1曲が爆発的にヒットしているなんて、ちょっとクレイジーだなとも感じているね。「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」がこんなに広まるだなんて全然予想していなかったから。

――特に<When your brain goes numb。というコーラスのラインなど、とても印象的でした。精神的に落ち込んでいく様子を歌詞に表現していて、表現が独特だなと感じたんです。

コーラス全体では、感情と脳の感じ方について歌ってるんだ。<When your brain goes numb>という箇所は、途方に暮れてしまったとき、自分がどう感じているかすら分からなくなってしまう、ということを表現したかった。この曲は「自分の居場所がなくなってしまって、自分がどこにいけばいいのか分からない」という状況を歌っている。鬱っぽい感情になってしまって、不安で孤独な気持ちになってしまうときがあるよね。特に最初から心の病について歌おうと思っていたわけじゃない。ただ、俺はどの曲にもストーリーがあるべきだと思っていて、この曲は落ち込んだときの気持ちを表現する楽曲にしたかったんだ。

――特にSNS上でヒットしていますが、その要因はなんだと思いますか?

この曲はまるでパズルのような魅力があるのではないかと思っている。最初に聴いたときは「オーケー、かっこいい曲だね。ビートもいい感じ」と思う。そのあと「どんなことを歌っているんだろう?」とよりディープに曲のことを知りたくなる。そして、コーラスの歌詞の意味が分かり、ヴァースの内容も分かってくる。それがリスナーの心を掴んでいるんじゃないかと思う。

――ちなみに「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」がヒットしているという事実をどのように知りましたか?

マネージャーから連絡をもらって、「曲がバズり始めてるぞ!」と教えてもらったんだ。TikTokやInstagramでもどんどん数字が伸びていて、「これは何かが起こりそうだな」と思った。すると、どんどん色んな人やレーベルが僕のところに連絡してくるようになったんだ。「これはだんだんマジになってきたぞ」と思ったね。そのあとはすごいスピードで物事が進んでいって。「正気か?」と思ったよ。だって、こんなことが起こるとは想像していなかったから。どんなふうに物事を考えていくべきなのかもさっぱり分からなかった。

――今後のプロジェクトを教えてください。

今はとにかくたくさんシングルを出すことに集中している。それと、アルバムを作り始めていて、今年後半には発表できると思う。それと同時に、とってもツアーがしたいね。コロナがどうなるか誰にも分からないけれど…。今はたくさん曲を書いていて、クリエイティブなスイッチを入れるようにしているよ。

――アルバムには、国外のアーティストやプロデューサーも参加する予定ですか?

イエス。今は何も言えないけれど、イエスとだけ答えておくよ(笑)。

――アーティストとしてのゴールはありますか?

正直に言うと、あまり数字ばかりにこだわるアーティストにはなりたくないんだ。今は素晴らしいアルバムを作って、いいライブをして、もっとたくさんのアーティストとコラボすることがゴールかな。

――日本のファンにメッセージをお願いします。

こんにちは、ジャパン! マスクド・ウルフだ。いつも応援ありがとう。「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」を楽しんでくれるといいな。それに、新曲もたくさん控えているよ。みんなが“ウルフパック”になってくれて、とてもとても嬉しいよ!

Interview by 渡辺志保

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