2013/01/31
大槻ケンヂ(vo)率いるロックバンドで、昨年末には7年ぶりのオリジナルアルバム『パナギアの恩恵』をリリースした特撮が、同作の発売記念ツアーの最終公演を1月26日に東京 LIQUIDROOMで行った。
ももいろクローバーZなどへの楽曲提供も行っているNARASAKI(g)に、超絶的なテクニックを持つ天才 三柴理(p)。VAMPSやOBLIVION DUSTのサポートも務めるARIMATSU(dr)と錚々たるメンバーに加えて、OBLIVION DUSTのRIKIJI(b)がサポートで参加した今回のツアー。後のMCで大槻は、直前に風邪を引いて4日間ほど寝込んでいたことを告白するが、「オムライザー」よりスタートしたそのパフォーマンスは、その影響は微塵も感じられないほどの熱量だ。
4曲目の「薔薇園 オブ ザ デッド」以降、新作からのチューンも積極的に披露していく彼らがだ、「くちびるはUFO」演奏後にはリスナーから届いたという質問も紹介。同曲の歌詞にある“ここ掘れワンって 言ってみて”とは、そういうプレイのことなのか?という質問にARIMATSUが「ケツの穴に入れて……」と答え始め、オーケンが食い気味に「違う違う違う!」と返すやり取りで笑いを誘う。
さらに、今回のツアーでは相棒とも言うべきボースカ人形を忘れてしまい、大阪と名古屋でそれぞれを拠点に活動するプロ野球球団のマスコットのぬいぐるみで代用したエピソード。先日、渋谷ですれ違い樣に女子高生から「あの人、若いのか老けてるのか分からなくない?」と言われて傷付いた話など、畳み掛けられるオーケンのトークで会場は爆笑の渦に。しかし、一度演奏が始まれば実力派たちが奏でる超絶的な轟音、そしてオーケンのラウドなメロディであっという間に会場の熱狂を高めてしまうのが特撮の魅力だ。
また、新作からのナンバーでは「桜の雨」がひとつのハイライトだったとしても過言ではないだろう。3連のドラムを軸に情感的なカッティングギターとメロディアスなオーケンの歌声が切なく響く中、突如絡み付いてくるポリリズムのピアノフレーズが幻想的で美しい。そのまま間髪入れずに宇宙規模のスケール感で魅せるミディアムバラード「テレパシー」へと、完璧な流れで世界観を創り上げた。
この日のチケットが完売に6枚届かない“気持ちはソールドアウト”状態だったことを暴露した後には、2つの発表として5月22日に渋谷 CLUB QUATTROで本ツアーの追加公演を行うこと。そして代表曲とほぼ同タイトルの大槻ケンヂ著『縫製人間ヌイグルマー』が中川翔子主演、井口昇監督で映画化されることを発表すると、終盤は前作『5年後の世界』収録曲を含むライブ必殺のチューンを畳みかけて本編を締め括った。
三柴理が一人でステージに上がって壮観なソロプレイを響かせる「Arion ~ Hommage a Claude Debussy」に、「素晴らしい!」と舌鼓を打ったオーケン。「ハードなメタルサウンドからこうしたピアノの曲まである所が、特撮の良い所じゃないですかねぇ」とはにかんで歓声を集めると、アンコールでは初めてアコギで作曲した楽曲をバンドでアレンジした「ミルクと毛布」などを披露してこの日の公演に幕を下ろした。
(C)中島たくみ
◎【「パナギアの恩恵」発売記念ツアー013】
2013.01.26(土) at LIQUIDROOM
セットリスト:
01.オム・ライズ
02.バーバレラ
03.ヨギナクサレ
04.薔薇園 オブ ザ デッド
05.くちびるはUFO
06.文豪ボースカ
07.GO GO! マリア
08.人として軸がぶれている
09.タイムトランスポーター2「最終回ジャンヌダルク護送司令・・放棄」
10.桜の雨
11.テレパシー
12.ヌイグルマ―
13.綿いっぱいの愛を!
14.5年後の世界
15.林檎もぎれビーム!
16.ケテルビー
En1.Arion ~ Hommage a Claude Debussy
En2.ミルクと毛布
En3.13歳の刺客 エピソード 1
En4.アベルカイン
En5.じゃあな
EDSE.鬼墓村の手毬歌
◎【「パナギアの恩恵」発売記念ツアー013】追加公演
5月22日(水) 渋谷 CLUB QUATTRO
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