米シンガーで女優のベット・ミドラーが、任期が残りわずかとなったドナルド・トランプ米大統領に対する怒りと懸念を2021年1月12日にTwitterに連投した。

　「トランプは我々の民主主義を暴力的に転覆させようと計画し、けしかけ、奨励しただけではなく、自身のスーパーPAC（特別政治行動委員会）と、フォロワーたちからだまし取った3億ドル（約310億円）をその資金に充てた」と彼女はツイートし、1月6日に起きたトランプ支持者による米議会乱入事件について、「5人が死んだ。トランプの悪質さ＆狂気さえなければ生きていた5人だ。彼の足元に積み上がっている375,000人の（新型コロナウイルス感染症で命を落とした米国人たちの）死体に加えよう。この凡人に仕えたがために、あと何人死んでしまうのか。そして見ているがいい、彼は去る前にホワイトハウスを焼き尽くすだろう」と強い口調で非難した。

　2021年1月6日、米議会でジョー・バイデン次期大統領とカマラ・ハリス次期副大統領の勝利を最終認定する手続きが始まる前、トランプ大統領はワシントンD.C.で行われた集会で“選挙は盗まれた”などと根拠のない主張を支持者たちの前で繰り返した。この演説で彼は支持者たちに連邦議会議事堂へ向かうよう促したほか、“弱さでこの国を取り戻せない。強さを見せ、強くならなければならない”などと煽っていた。大統領は12日にこの演説について“全く問題なかった”と発言している。

　ミドラーはトランプ大統領の就任以来、毎日のように政権を厳しく批判するツイートを投稿してきたが、6日の暴動に関しては息子のドナルド・トランプ・ジュニアやアラバマ州のモー・ブルックス議員、そして弁護士のルディ・ジュリアーニにも責任があり、“告発すべき”だと主張している。ワシントンD.C.のカール・ラシーン（Karl Racine）司法長官は11日、米MSNBCのアンドレア・ミッチェルに対し、この3名を暴力行為を誘発した罪で告発することを検討していると明言した。

　野党・民主党は11日にトランプ大統領に対する弾劾決議案を下院に提出し、13日に採決が行われる。ペンス副大統領に対し、憲法上の権限（修正第25条）を行使してトランプを罷免するよう促しているが、ペンスはこれに反対しているとされる。

　ミドラーはまた、20日に行われるバイデン大統領とハリス副大統領の就任式の警備体制が不十分ではないかと心配している。「就任式に15,000人の州兵では警備が足りない。あいつらが戻ってくることは皆分かっている。就任式を公表されない屋内の会場で実施し、テレビ中継してほしいと担当者たちに懇願したいのは私だけだろうか？安全ではない」と彼女はツイートし、就任式はBlack Lives Matter（ブラック・ライヴズ・マター/BLM、黒人の命は重要）抗議集会で見られたものと同等の警備体制、つまり“戦車、ヘリコプター、催涙ガス、警棒、重装備の兵士”を揃えて警護すべきと訴えている。

　ロイター通信によると、1月20日の就任式の数日前から全米50州の州都とワシントンD.C.で再び武装したトランプ支持者による抗議デモが行われる可能性があるとFBIが警告している。