2021年1月3日にフェス形式のオンラインライブコンテンツ【Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館】が配信された。

　【Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館】はSony Musicのアーティスト総勢24組が集結し、無観客の日本武道館を舞台にノンストップでアニメ主題歌を中心としたライブを披露するものだ。Chapter:1からChapter:3の3つのChapterで構成されており、全体としては3時間を超えるものだった。さらに、本公演のアメリカ、台湾、香港、マカオ、シンガポールの5つの国と地域に向けてStagecrowdで配信されており、海外のアニメファン、そしてアニメ主題歌ファンにも届くものとなっていた。『鬼滅の刃』とLiSAという、アニメーション作品とアーティストの相乗効果的なヒットをさらに体感できた2020年だったが、2021年もその傾向は続くだろう。本記事では、【Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館】をレポートしていく。

　【Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館】Chapter:1は藍井エイルからスタート。TVアニメ『ソードアート・オンラインⅡ』オープニングテーマである「IGNITE」を1曲目に披露した。会場はリズムに合わせて振られた赤いペンライトでいっぱいになる演出が施されており、無観客でありながらも視聴者が目で見て楽しめる映像となっていた。TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』最終章エンディングテーマである「I will...」を披露したときは、ペンライトが青色になり、アニメ作品のイメージとも連動した空間を演出した。

　およそ3時間で24組のアーティストが出演することもあり、続々とアーティストが入れ替わり出演しノンストップでどんどんと楽曲を投下していく。アニメ主題歌の特徴として、たくさんのキャラクターが登場するオープニングないしエンディング映像に合わせてキメの多い楽曲に仕上がっていることが1つ挙げられるが、多くのアーティストが次々とテンポよく楽曲を披露しつなげていくというリズムは、非常に見ていて心地よい。そんな中、TVアニメ『魔道祖師』前塵編のオープニングテーマである「千夜想歌」をCIVILIANが披露した際は、バンドが鳴らす地を這うようなサウンドと力強く流れていくボーカルの声が映えて聴こえた。Chapter:1の最後はBURNOUT SYNDROMESが登場。『ハイキュー!! セカンドシーズン』第2クールオープニング・テーマの「FLY HIGH!!」や『ハイキュー!! 鳥野高校 VS 白鳥沢学園高校』オープニング・テーマの「ヒカリアレ」が、軽やかに響くギターのメロディも相まって軽快に鳴り響いた。

　Chapter:2は西川貴教と鬼龍院翔（ゴールデンボンバー）によるユニット、西川くんとキリショーからスタート。TVアニメ『ポケットモンスター』オープニングテーマ「1・2・3」を、2人の遠くまで突き抜けるような明瞭な歌声がバランスよく合わさって披露された。そして次に登場したのは22/7。11人組という本イベントで初めてとなる大人数グループの登場となった。TVアニメ『22/7』オープニングテーマの「ムズイ」を黒味がかかった光の中、ステージを大きく使って儚く歌い上げつつ、対照的にリズムゲームアプリ『22/7 音楽の時間』主題歌の「風は吹いてるか？」ではよりダンスにダイナミクスさが増し、芯のある歌を披露した。

　また、Chapter:2の終盤では鈴木雅之が伊原六花と、TVアニメ『かぐや様は告らせたい～天才たちの恋愛頭脳戦～』オープニングテーマ「ラブ・ドラマティック feat.伊原六花」を、そして次は鈴木愛理とTVアニメ『かぐや様は告らせたい？～天才たちの恋愛頭脳戦～』オープニングテーマ「DADDY! DADDY! DO! feat.鈴木愛理」を披露。どちらもR&Bやディスコ、そして歌謡曲を感じさせる、アニメ主題歌としては珍しいジャンルに存在するナンバーだ。鈴木雅之の歌声と伊原六花や鈴木愛理の歌声という声質の異なる歌が合わさることで心地よいグルーヴを生み出し、西川くんとキリショーとはまた違うコラボレーションの良さを見せつけた。

　Chapter:3はRude-αがTVアニメ『Dr.STONE』エンディングテーマ「LIFE」を披露してスタート。ラップを交え、シックなサウンドの中、心地の良いフロウでこれまでのアーティストとはまた違う心地よさを届けた。そして、TVアニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』エンディングテーマ「チューリングラブ feat. Sou」やTVアニメ『戦翼のシグルドリーヴァ』オープニングテーマ「Higher's High」を披露したナナヲアカリも、キメの多い楽曲を切れ味の良い歌声で完璧に乗りこなしていった。楽曲と歌がうまくマッチしていることの気持ちよさを感じずにはいられないパフォーマンスと言えるだろう。また、各Chapterではソロとしても出演しイベントに花を添えたTrySailは、「ごまかし」と「adrenaline!!!」という異なるテイストの楽曲でそれぞれ異なる魅力を歌で表現していた。

　【Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館】も終わりに近づいてきたころに登場したのはFLOW。TVアニメ『コードギアス 反逆のルルージュ』第1期オープニングテーマ「COLORS」やTVアニメ『シャドウバース』オープニングテーマ「新世界」といったドライブ感の溢れる楽曲でボルテージを最高潮にもっていく。そして3曲目のTVアニメ『NARUTO -ナルト-』オープニングテーマ「GO!!!」で最高潮をさらに盛り上げた。そして、本イベント最後を飾ったのは西川貴教。西川貴教＋ASCAとしてTVアニメ『白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE』オープニングテーマ「天秤-Libra-」を披露したのち、TVアニメ『Fate/EXTRA Last Encore』オープニングテーマ「Bright Burning Shout」をビブラートの効いた奮い立たせるような声で歌い上げて、本イベントを締めくくった。

　ほかのジャンルでもいえることだが、一言で“アニソン”といっても、そこには多種多様なバリエーションが存在することを改めて認識することができた本イベント。アニメタイアップ曲が世界を含め大きなヒットにつながることもあり、今後もますます注目が集まる分野だろう。ちなみに、現在引き続き発売中の配信チケットを購入すると、1月10日の23:59まで見逃し配信ができるようになっている。現在の日本のアニメ、およびその主題歌の潮流をチェックできる重要なイベントになっていると考えられるだろう。

Text by Akihiro Ota
写真クレジット：(C)Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館

◎公演情報
【Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館】
2021年1月3日（日）
東京・日本武道館　※無観客
OPEN 16:30 / START 17:00
見逃し配信期間：2021年1月10日（日）23:59まで
チケット価格：3,850円（tax in.）

チケット販売期間：2020年12月11日8:00～2021年1月10日17:00

＜セットリスト＞
【Chapter１．】
藍井エイル「IGNITE」
藍井エイル「I will...」
the peggies「君のせい」
the peggies「センチメートル」
楠木ともり「ハミダシモノ」
CIVILIAN「正解不正解」
CIVILIAN「千夜想歌」
スピラ・スピカ「イヤヨイヤヨモスキノウチ」
スピラ・スピカ「リライズ」
夏川椎菜「フワリ、コロリ、カラン、コロン」
BURNOUT SYDROMES「FLY HIGH!!」
BURNOUT SYDROMES「ヒカリアレ」

【Chapter２．】
西川くんとキリショー「1・2・3」
22/7「ムズイ」
22/7「風は吹いてるか？」
Who-ya Extended「Q-vism」
Who-ya Extended「Synthetic Sympathy」
Cö shu Nie「asphyxia」
Cö shu Nie「bullet」
中川翔子「空色デイズ」
中川翔子「タイプ：ワイルド」
ASCA「Howling」
佐藤ミキ「名もない花」
麻倉もも「ユメシンデレラ」
鈴木雅之「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」
鈴木雅之「DADDY ! DADDY ! DO ! feat. 鈴木愛理」
halca「センチメンタルクライシス」
halca「告白バンジージャンプ」

【Chapter３．】
Rude-α「LIFE」
Rude-α「Paradise」
雨宮天「PARADOX」
ナナヲアカリ「チューリングラブ feat.Sou」
ナナヲアカリ「Higher's High」
斉藤朱夏「パパパ」
斉藤朱夏「しゅしゅしゅ」
TrySail「ごまかし」
TrySail「adrenaline!!!」
FLOW「COLORS」
FLOW「新世界」
FLOW「GO!!!」
西川貴教＋ASCA「天秤-Libra-」
西川貴教「Bright Burning Shout」