2020/12/28 21:59
DEAN FUJIOKAが12月26日に、自身初のストリーミングライブとなる【Plan B】を開催した。
コロナ禍の影響を受けて、2020年は2度目のアジアツアー中止を含め、当初、DEAN FUJIOKA自身が思い描いていたプランとは異なるものになったが、本ライブ公演は、本人がより自分自身と対峙し、描き実行してきた新たなプラン“Plan B”の到達点であり、2021年に音楽で新たな境地に向かう最重要ストリーミングライブだ。
そんな本ライブ公演では、これまでにヒップホップを中心に”新しい”ストリートの姿を描き出すMVを制作し続けてきた気鋭の映像作家であるSpikey Johnを映像監督に迎え、ストリーミングライブだからこそできる演出を盛り込む形で実施された。ライブの冒頭では、”無観客ライブ”を思わせる空席の椅子とともに淡いスポットライトの下に姿を現したDEAN FUJIOKAの映像が映し出された。そして、廃墟の一室を思わせる空間に静かなピアノの音色が響く中、新曲「Plan B」でライブは開始。続いて、映像はバンドが待つステージに舞台を移し、力強いバンドサウンドが響く「Take Over」、ドラムベースの激しいリズム印象的な「Go The Distance」、中国語と日本語の両方のバージョンを1曲にまとめた「Let it snow」、青白いライトを浴びて歌う姿が映像に映えたバラードの「Unchained Melody」をDEAN FUJIOKAは立て続けに披露。そして、ライブ前半のハイライトとなったのは、クラブシーンでも大きな注目を集めた「Echo」を披露した瞬間だ。同曲ではオリジナルにはないライブアレンジがふんだんに取り入れられており、泣きのフレーズのギターソロが耳を奪った。その「Echo」が終わるとステージ上にあった壊れたテレビにカメラがフォーカス。映像が切り替わると舞台演出も代わり、これまでのバンドメンバーは一旦姿を消し、DEAN FUJIOKA1人がビルの階段で「Searching For The Ghost」でリリカルなラップを披露したかと思うと、舞台は再び移り変わり、今度は廃墟の中のソファやドラム缶焚き火が置かれた一室がステージに。そこから「Tokyo Trip」、「Send It Away (feat. GONG)」、「History In The Making」の3曲がメドレー形式で流れるように披露されたが、同時に映像もステージを動き回り、歌うDEAN FUJIOKAにあわせて、照明や視点が回りこむような映像が絡み合うことで陶酔的な映像になっていたことがこのパートでは非常に印象的だった。
そして、再びバンドメンバーが姿を現したライブ後半では、哀愁のあるラテン音楽のメロディーを思わせる「Neo Dimension」が披露され、そこから一気にライブは加速。バンドの背面に光る無数の電球が夕焼けのように輝く中、「Follow Me」、「Made in JPN」が披露された。さらにこのタイミングでDEAN FUJIOKAが配信を観ているファンに向けて、こう語りかける。「今、世の中、コロナ、COVID-19が蔓延る中、外に遊びに行かず、ちゃんとこの配信ライブを見るという選択肢”Plan B”を選んだあなたはえらい!」と。少しはにかむような笑顔を見せた後、「とにかく今日は最後までこの配信ライブを楽しんでください」と続け、自身の故郷である福島をテーマにした曲「Fukushima」と甘いメロディーが胸を打つ「Shelly」のバラード2曲をしっとりと歌い上げた。
ライブの終盤では、これまでのライブパフォーマンスですでに高まっていたファンのテンションのギアをもう一段階上げるかのようにバンドアンサブルでグルーヴを練り上げていくDEAN FUJIOKAとバンドメンバー。そのインタールード的なジャムセッションで生まれたグルーヴを纏ったまま、壮大なスケールを感じる「History Maker」を熱唱すると「Hope」、「Maybe Tomorrow」のように明日への希望を感じさせる曲を続けて披露し、ライブのテンションはいよいよ最高潮に。そして、最後には眩いばかりに光る照明がステージを照らす中、静と動を兼ね備えたダイナミックなアレンジ「Permanent Vacation」でDEAN FUJIOKAはライブの幕を下ろした。
最近のストリーミングライブの傾向は、リアルライブともMVとも違う、そのちょうど中間のものを目指す傾向にある。そのひとつの形として、例えばXR技術によって、現実ではあり得ないステージに再現したり、現実のライヴパフォーマンスにバーチャルのレイヤーを加えることでストリーミングライブならではの演出の強化が試みられることも少なくない。
しかし、今回の「Plan B」では、そういったバーチャルライブとはまた別の形で”リアルライブとMVの中間”を体現したストリーミングライブだったように思える。作り込みという点では先述のバーチャルライブ同様に綿密にライブは構成されていたが、その一方で、”リアルライブとMVの中間”であるために必ずしもバーチャルな要素は必要ないということを感じさせてくれた。そのことは配信中に視聴者から寄せられたライブ映像作品として、パッケージ化を望む声からも明白だ。DEAN FUJIOKAは、これまでアーティストとして、常に新しい音楽の要素を取り入れ、時代の先をいく音楽性を示してきた。今回のストリーミングライブでもその先鋭性は存分に活かされており、これまでのストリーミングライブの在り方が彼によってまたひとつアップデートされたことは間違いない。
また、そのアップデートされた”リアルライブとMVの中間”というストリーミングライブでの表現は、今回視聴していた観客に改めて次はリアルのライブ会場でDEAN FUJIOKAの音楽を体験したいという感情を揺さぶったことは間違いないだろう。その意味では“Plan B”というもうひとつの選択肢は、来年への希望をつなぐという意味でも機能したはずだ。「来年は絶対にリアルの世界でDEAN FUJIOKAに会いたい」。「Plan B」とは、そんな風に思わせてくれる素晴らしいストリーミングライブだった。Text by Jun Fukunaga
◎セットリスト:
M1. Plan B
M2. Take Over
M3. Go The Distance
M4. Let it snow!
M5. Unchained Melody
M6. Echo
M7. Searching For The Ghost~Tokyo Trip~Send It Away (feat.GONG)~History In The Making- "Plan B"Exclusive Mix -
M8. Neo Dimension
M9. Follow Me
M10. Made In JPN
M11. Fukushima
M12. Shelly
M13. Interlude
M14. History Maker
M15. Hope
M16. Maybe Tomorrow
M17. Permanent Vacation
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