2020/12/09
Tempalayのワンマンツアー【Tempalay TOUR 2020】のファイナル公演が、11月29日に東京・新木場STUDIO COASTにて開催された。本ツアーは、東名阪3か所全6公演を敢行。本稿では、オンライン配信も実施された東京2公演目の様子をレポートする。
ギターのフィードバックやチープな効果音、古めかしいニュースキャスターの音声など、雑然としたノイズが散りばめられるなか、ライブは「脱衣麻雀」からスタートする。薄暗い会場の中で、ズシン、ズシンと重たいキックが不思議な高揚を煽る。ステージ一面に広がるスクリーンには、曲の世界観を濃縮したようなサイケデリックなオイルアートが映し出され、その光景は禍々しさ満点。1曲目からライブの没入感は最高の状態だ。
亀山拳四郎(Ba./サポート)のクールなベースラインがイントロを飾った「SONIC WAVE」では、絶叫にも似たシンガロングがフロアを焚きつける。続いて始まった「のめりこめ、震えろ。」では、サーモカメラで撮影したメンバーの姿がスクリーンに映し出される。どこか無機質にも見えるサーモグラフィーの映像をよそに、曲の展開はアンビエントなAメロ、オリエンタル風なBメロ、そして力強く打ち出すサビと、セクションごとにさまざまな色を見せていたのが印象的だった。特に小原綾斗(Vo./Gt.)が巻き舌をしたり、がなってみたり、こぶしを入れてみたりと、自由に歌唱する様は出色だった。
「こんにちは! Tempalayです!」と、この日初めての挨拶かと思いきや、挨拶が声ネタのように繰り返され、それに合わせてスクリーン上のバンドロゴが揺れるという仕様をお披露目。オーディエンスを混乱させたまま、ライブは「どうしよう」へ突入する。レイドバック気味のテンポが心地良い「festival」では、色とりどりのオイルアートが夢見心地の気分へと誘う。アウトロの3分弱のセッションはまさに白昼夢のようで、演奏終了後には拍手が巻き起こった。
この日一番初めのMCでは、小原からこの日のために集まった映像チームを紹介。今回のライブには、クリエイティブユニット・Margtに加え、マーブリングにDirty Workers Studio、オイルペインティングにハラタアツシが参加。リアルタイムで施される演出の数々が、Tempalayのライブ体験をさらに上の次元へと拡張させた。
「(ライブは)今年ラストですね、たぶん。今日は棚卸でございますので、楽しんで帰ってってください!」と挨拶し、後半は「テレパシー」からスタート。ソロシンガーとしても活躍するAAAMYYY(Cho./Syn.)のラップ&コーラスワークが光る一曲で、ソロパートではフロアのオーディエンスを沸かせた。きらびやかなピアノの音色が耽美なムードを醸し出す「深海より」、加工ボイスがユニークな哀愁漂う「カンガルーも考えている」と、ゆったりとした楽曲が続いた後、ライブはクライマックスへ。今年リリースした「大東京万博」と、ライブ終盤のキラーチューン「そなちね」で本編は締めくくられた。「大東京万博」では、東京都心の映像をバックに演奏。『死なないで 生きていてね』からの「らっせーら らっせーら」の合唱は、どこか神々しさに似た温かさを感じた。
アンコールに応え、ステージに戻ってきた4人。小原がJohn Natsuki(Dr.)に「なんで坊主にしたの?」と訊くなど、相変わらずマイペースなやり取りに、フロアからも笑い声が聞こえる(ちなみに坊主にした理由は「朝起きてちょっといっちゃおうかなと思っちゃった」とのこと)。それに小原は「坊主もええけど、ライブハウスもええですな!」と、スタッフと映像チームに感謝の拍手を送る。そして最後は、「ものすごい労力が詰まってる、それをいかに浄化するかという1日でした。本当に本当に楽しかったです。相思相愛でこれからもやっていけたらと思いますので、これからもTempalayよろしくお願いします!」と挨拶し、「New York City」と「ラストダンス」を披露。「これからもTempalay、そしてみなさんの人生に、幸あれ!」と言葉を残し、この日のライブは幕を閉じた。
そしてライブの終演後には、12月9日にシングル「EDEN」をワーナー・ミュージック・ジャパンより配信リリースすることが発表された。
◎ライブ情報
【Tempalay TOUR 2020】
2020年11月29日(日)
東京・新木場COAST
〈セットリスト〉
01.脱衣麻雀
02.SONIC WAVE
03.のめりこめ、震えろ。
04.タイムマシーン
05.どうしよう
06.Festival
07.革命前夜
08.新世代
09.テレパシー
10.深海より
11.カンガルーも考えている
12.大東京万博
13.そなちね
En01. New York City
En02. ラストダンス
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