アリアナ・グランデの「ポジションズ」がNo.1デビューを飾った、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

　10月23日にリリースされた「ポジションズ」は、初週3,530万再生を記録してストリーミング・ソング・チャートでも同1位に初登場し、自身3曲目の快挙を達成した。34,000を売り上げてデジタル・ソング・セールス・チャートでは2位、1,990万回オンエアされてエアプレイ・チャートでは41位にそれぞれデビューしている。セールスの内訳31,000がデジタル・ダウンロード、3,000枚は公式ウェブサイトで販売されたCDシングルだった。

　アリアナは、これで5曲目の1位を獲得すると同時に、初登場1位獲得曲数も5曲に更新した。つまり、これまで1位を獲得したタイトルは全て首位にデビューしている。初登場1位獲得曲数としては歴代トップで、3曲をもつジャスティン・ビーバー、マライア・キャリー、ドレイク、トラヴィス・スコットをさらに引き離した。

アリアナ・グランデ首位獲得曲（初登場1位獲得曲）
「thank u, next」2018年11月17日
「7 rings」2019年2月2日
「スタック・ウィズ・ユー with ジャスティン・ビーバー」2020年5月23日
「レイン・オン・ミー with レディー・ガガ」2020年6月6日
「ポジションズ」2020年11月7日

　今年だけで3曲を1位に初登場させているが、1年で3曲を首位デビューさせたのはアリアナが歴代初。また、1年で3曲以上首位を獲得したのは、2018年にドレイクが達成して以来2年ぶりで、女性アーティストとしては2010年にリアーナが4曲、ケイティ・ペリーが3曲を獲得して以来10年ぶりの記録となる。なお、歴代最多は1964年に6曲を送り込んだビートルズだ。

　今年は「ポジションズ」を含む計10曲が首位にデビューし、1995年と2018年の4曲を大きく上回る初登場1位獲得曲数の歴代最多記録をさらに更新した。

2020年度初登場1位獲得曲
4月18日 ドレイク「トゥージー・スライド」
5月9日 トラヴィス・スコット＆キッド・カディ「ザ・スコッツ」
5月23日 ジャスティン・ビーバー＆アリアナ・グランデ「スタック・ウィズ・ユー」
6月6日 レディー・ガガ「レイン・オン・ミー with アリアナ・グランデ」
6月27日 ニッキー・ミナージュ＆シックスナイン「トロールズ」
8月8日 テイラー・スウィフト「cardigan」
8月22日 カーディ・B「WAP feat.ミーガン・ジー・スタリオン」
9月5日 BTS「Dynamite」
10月10日 トラヴィス・スコット「フランチャイズ feat.ヤング・サグ＆M.I.A.」
11月7日 アリアナ・グランデ「ポジションズ」

　先月、トラヴィス・スコットが1年未満で3曲を1位に初登場させた歴代初のアーティストという快挙を達成したばかりだが、アリアナはそれを上回る5か月2週間という短いスパンで歴代記録を更新してた。「ポジションズ」が収録されたアリアナの新作『ポジションズ』（10月30日リリース）は、次週のアルバム・チャート“Billboard 200”の上位デビューが予想されている。

　そのアルバム・チャートで今週約1年ぶりに首位復帰したルーク・コムズの『ホワット・ユー・シー・イズ・ホワット・ユー・ゲット』から、新曲「フォーエバー・アフター・オール」が今週2位に初登場している。これまでの最高位は昨年「イーブン・スルー・アイム・リーヴィング」が記録した11位で、自己最高位更新と初のTOP10入りを同時に達成した。カントリー・ソング・チャートでは「ホエン・イット・レインズ・イット・プールズ」（2017年）、「ビューティフル・クレイジー」（2018年）に続く3曲目の首位獲得。

　カントリー・ソング・チャートにランクインした男性ソロ・カントリー・シンガーによる“Hot 100”初登場楽曲の順位としても、1999年にガース・ブルックスの「ロスト・イン・ユー」が記録した5位を上回る、歴代最高位を更新。女性アーティストを含めると、2005年7月2日付チャートで1位に初登場したキャリー・アンダーウッドの「インサイド・ユア・ヘヴン」に次ぐ2番目に高い順位となる。

　今週は6位にギャビー・バレットの「アイ・ホープfeat.チャーリー・プース」がランクインしているが、同曲とモーガン・ウォレンの「7サマーズ」がランクインした8月29日付チャート以来、約2か月ぶりにカントリー・ソングがTOP10に2曲同時ランクインした。その前を遡ると、フェイス・ヒルの「ブリーズ」とローンスターの「アメイズド」がそれぞれ3位と10位にランクインした2000年5月13日付チャートで、約20年間カントリー・ソングが2曲同時ランクインしたことはなかった。

　1位と2位のタイトルがいずれも初登場曲だったのは、アデルの「ハロー」とジャスティン・ビーバーの「ソーリー」がランクインした2015年11月14日付チャート以来5年ぶりの記録更新。歴代のチャートで1位と2位がいずれも初登場曲だったのは、クレイ・エイケンの「ディス・イズ・ザ・ナイト」とルーベン・スタッダードの「フライング・ウィズアウト・ウィングス」が記録した2003年6月28日付チャート含む3週のみ。

　「フォーエバー・アフター・オール」は、初週2,910万再生を記録してストリーミング・ソング・チャートでも同2位にデビューし、デジタル・ソング・セールス・チャートでは首位の「ポジションズ」を上回る52,000を売り上げ、1位に初登場した。セールス・チャートでの首位獲得は、ルーク・コムズにとって初の快挙となる。

　2週の首位をキープした24kGoldnの「ムードfeat.イアン・ディオール」は3位にダウンしたが、週間7,900万回を記録してエアプレイ・チャートでは先週の3位から1位に浮上。両者にとって同チャート初のNo.1獲得となった。登場8週目でエアプレイ・チャート首位に到達したのは、昨年11月にリゾが「トゥルース・ハーツ」で達成して以来の最速記録となる。その他、ロック＆オルタナティブ・ソング・チャートとオルタナティブ・ソング・チャートでそれぞれ10週目、ラップ・ソング・チャートでは3週目の1位をキープしている。

　3位から4位にダウンしたドレイクの「ラフ・ナウ・クライ・レイターfeat.リル・ダーク」は、「WAP」（今週7位）を破りR&B/ヒップホップ・ソング・チャートで1位に上昇。ドレイクは、同チャートでの首位獲得数を通算21曲目に更新し、20曲で並んでいたアレサ・フランクリンとスティーヴィー・ワンダーを破り歴代トップに浮上した。

　次週は、アリアナの新作『ポジションズ』の収録曲が上位にランクインすることが予想される。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは11月6日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「ポジションズ」アリアナ・グランデ
2位「フォーエバー・アフター・オール」ルーク・コムズ
3位「ムード」24kGoldn feat.イアン・ディオール
4位「ラフ・ナウ・クライ・レイター」ドレイクfeat.リル・ダーク
5位「ブラインディング・ライツ」ザ・ウィークエンド
6位「アイ・ホープ」ギャビー・バレットfeat.チャーリー・プース
7位「WAP」カーディ・B feat.ミーガン・ジー・スタリオン
8位「サヴェージ・ラブ（ラックスド - サイレンビート）」ジョーシュ685、ジェイソン・デルーロ
9位「レモネードfeat.ドン・トリバー＆NAV」インターネット・マネー＆ガンナ
10位「HOLY」ジャスティン・ビーバーfeat.チャンス・ザ・ラッパー