2020/10/21
ジャーニーの元ヴォーカリスト、スティーヴ・ペリーが、ヴァン・ヘイレン(VH)とツアーをした時の思い出や、1985年に故エディ・ヴァン・ヘイレンと交わした深夜の電話の内容を米誌ローリング・ストーンに明かしている。
1978年、当時まだ駆け出しのバンドだったVHは、ジャーニーのオープニング・アクトとして全米ツアーに同行した。ペリーにとっては、バンドのフロントマンとしての初ツアーだったこともあり、VHのメンバーと8週間同じホテルで泊まりながら全国を回った記憶が鮮明に残っていたようで、エディの訃報を聞いた彼は自らローリング・ストーンに電話をかけて当時の思い出話をシェアしたとのことだ。
1980年代に大ヒット・アルバムを連発し、世界的なバンドとなったジャーニーだが、最盛期の中心人物だったペリーに、「ジャーニーがなったものとは、1978年にヴァン・ヘイレンと一緒に時を過ごさなければなり得なかったものだったと確信している」とまで言わしめるほどの衝撃を与えた1978年のツアーでは、毎晩ステージの袖からオープニングを務めたVHのパフォーマンスを見ていたと彼は振り返っている。
ペリーは、「“ちょっと見てみろよ”って言いながら(ジャーニーのギタリスト)ニール(・ショーン)を連れてきてね。ニールはエディ(の演奏)に驚かされていた。俺はドラマーなんだけれど、俺もエディとアレックス(・ヴァン・ヘイレン/ドラマー/エディの兄)に驚かされた。彼らの強固なつながりが分かったからだよ」と、兄弟が生み出すグルーヴについて語っている。
「そしてデヴィッド・リー・ロスがいるだろ。本物のショーマンであり、彼に楽しませてもらうことが本当に愉快な男だ。そしてベースにはマイケル・アンソニー。非常に高い、文字どおりオペラのようなテナー・ヴォイスの持ち主だ。エディも歌が見事にうまかった。必要な全ての要素が彼らには詰まっていた」と、ペリーはバンドを絶賛している。
このように、VHの音楽性に感服していたものの、当時はバンド同士のライバル意識が強く、個人としてエディと親しくすることはなかったと彼は述べているが、その数年後、ロスがバンドを去ったタイミングの1985年にふとしたことから夜中にエディと電話で話したことがあったそうだ。
自身の今後について迷っていたというペリーは、「どうしてそうなったのかはよく覚えてないんだ。自分がエディに電話したか、彼がしてきたか。あの頃はお互いに電話を使った“夜中の振る舞い”とでも言えることをよくしてたんだ。とにかく言えるのは、あの夜電話で彼とバカ話で盛り上がったってことだ」と振り返っている。
この時ペリーは、自宅で一緒にジャム・セッションをしないかとエディに誘われたそうだ。「まったくさ、自分の中のどこかのレベルでは、本当に光栄に思う気持ちがあったよ、エディの持って生まれた才能に畏敬の念を抱いていたからね。すごくやりたかった。彼とは音楽的にすごくクールになるかもなって話もしたよ。これはサミー(・ヘイガー、ロスの後任ヴォーカリスト)の前だった」と言う彼は、それから何週間も誘いに応じるべきか迷ってしまったと明かしている。「(そのセッションに)自分が提供できることがあるとするならば、それをとても楽しみながらできるだろうなと思った。ただ、“表舞台で、デヴィッド・リー・ロス時代を自分の声で表すことなんてできるだろうか?その男になりたいのか、俺は?”という思いが拭いきれなかった。それから程なくしてサミーが加入した。彼は“その男”の完璧なヴァージョンだった」と彼は語っている。
当時エディが、ただ一緒にセッションをしてみたかっただけなのか、“どういうサウンドになるか試してみようぜ”という程度の誘いだったのか、今もはっきりとは分からないとペリーは言う。「さっきも言ったけれど、彼らのそれまでのレガシーを代表するのは、自分の声ではふさわしくないと思ったんだよ。(ロスとは)違う類の歌い方だからね」と彼は語っている。
このインタビューでペリーは、VHが1978年のツアーで、音量をメイン・アクト並みに上げてパフォーマンスをするという、オープニング・アクトにあるまじき行為をしていたことや、有名な“ワカモレ事件”についても言及している。楽屋でフードファイトをしていたVHのメンバーが投げたワカモレが、ペリーが大切にしていたサテン製のジャーニー・ツアー・ジャケットにべったりついてしまったという逸話だ。
ツアー中に意を決して、VHに好意を伝えようと楽屋に入った瞬間にやられたそうだ。ペリーは、「あれを着ると、やっとひとかどの人物になれた気がしてたんだよね。ワカモレは左の肩から腕にかけてかかった。それを見て、あいつらに目を向けると、“あーやっちまった”ってきまり悪そうに笑ってた。俺はただあいつらを見て、ドアを閉めて出ていったよ、むかついたからさ。トイレに行ってさ、ただただむかついてた。あれは宝物のジャケットだったんだよ。(バンドとしては)まだ大好きだったけれど、それから(メンバーに)敬意を表すなんてできなかった」と当時を振り返っている。
この時スティーブ・ペリーが泣きながらトイレに走ったという噂については、明確に否定している。「いや、泣いてないよ!ワカモレなんかで泣くかよ。ある時点からフォークロア(言い伝え)になっちまうんだな。バカバカしい話にね」と彼は語っている。
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