2020/09/09
手塚眞監督の映画『白痴』デジタルリマスター版が10月31日から上映される。
1999年に公開された同作は、坂口安吾の同名小説を映画化したもの。長く続いた戦争で人々が疲弊しきっていた日本を舞台に、浅野忠信演じる伊沢と、甲田益也子演じる知能に障害がある人妻サヨの逃避行を描く。約10年の制作期間を費やし、『ヴェネチア国際映画祭』デジタル・アワード、『カメリマージュ国際映画祭』シルバーフロッグ賞、『レイクアローヘッド映画祭』ベスト・フィーチャーフィルム賞などを受賞した。
発表とあわせて手塚監督と、稲垣吾郎、岩井俊二、スプツニ子!、津田大介のコメントが公開。
◎稲垣吾郎 コメント
『白痴』で目にした色彩の世界はまるで原体験のように脳裏に焼き付き、いまではぼくの美意識の礎となっています。当時は背伸びをして観ていたけれど、今見ると、すとんと心に染みわたる。何年かおきに見返しては、自分自身を見つめることができる作品だと感じます。僕が出演する映画『ばるぼら』に続く道は『白痴』から始まっています。
◎岩井俊二 コメント
主人公の男と白痴の女。二人が接触するシーンはルネサンスの名画を直に触れるような美しさだった。
帝国の歌姫は真の主役かも知れない。彼女の狂気、秘めた葛藤、そして溢れる涙に心奪われた。
◎スプツニ子! コメント
虚構ではなく真実と共に生きることを選んだ時、人間は迷い、不安を抱え、行きつく場所が見えにくくなっていても、真実が安心のできる場所に導いてくれる。不和の広がっている現在、心に刺さります。
◎津田大介 コメント
退廃の空気色濃い世界観に散りばめられた「謎は謎のまま」が極めて贅沢な映画。人の世は、諦念と執念、そして狂気と正気ただその繰り返しなのかもしれないと思わせる怪作。
◎手塚眞監督 コメント
これを作った時代はまだバブルの末期で、命の危機感や生活の困窮など無縁でした。その後ニューヨーク・テロが起き、大震災があり、今はまたコロナ・ウィルスの脅威に晒されて、20年前よりも切実にこの作品が身に迫ってくると思います。ネット動画全盛の今だからこそ、劇場のスクリーンにこだわった映画美を堪能してほしいと思います。
◎映画情報
『白痴』
2020年10月31日(金)よりシアター・イメージフォーラム、シネ・ヌーヴォ他、全国順次公開
脚本・監督・編集:手塚眞
原作:坂口安吾
音楽:橋本一子
出演:
浅野忠信
甲田益也子
橋本麗香
草刈正雄
藤村俊二
江波杏子
松岡俊介
あんじ
岡田眞澄
小野みゆき
荒井紀人
川村かおり
筒井康隆
原田芳雄
上映時間:147分
配給:ネオンテトラ
(C)手塚プロダクション
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