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2020/09/03 20:00

<ライブレポート>Awich、説得力と包容力のある「パワー」をオンラインで与える

 Awichが8月25日に初のオンラインフリーライブ【Awich “Partition Live”】を東京・渋谷WWWで開催した。

 2020年、ヒップホップクルーのYENTOWNに所属しているAwichは、1月にアルバム『孔雀』をリリースしたのち、7月15日に配信シングル『Shook Shook』をリリースしてユニバーサルミュージックからメジャーデビュー。そして、8月21日にEP『Partition』をリリースと、今まさに注目を集めているアーティストと言っていいだろう。今回のオンラインフリーライブでは、kZm、Money Horse、PETZ、JNKMN、JP THE WAVY、BIM、DOGMA、MARZY、鎮座DOPENESSの出演があらかじめアナウンスされており、今回のライブへの期待は相当高かったであろう。

 床ぎりぎりから這うように映し出された化粧室の画面から不穏に始まった今回のオンラインライブ。「Shook Shook」が始まると個室から登場したAwichは、バーカウンターに移動してMARZYとライブを披露。そして、WWWβに移動して、今度は「洗脳 feat,鎮座DOPENESS、DOGMA」。DOGMAとテレビに映し出された鎮座DOPENESSとコラボすると、3曲目「Awake」以降は丈青 (Piano)、秋田ゴールドマン (B)、みどりん (Dr)、社長 (Manipulator)、吉田サトシ (G)というバンドメンバーとともに、WWWのフロアの段差をうまく利用して次々と楽曲を繰り出していった。

 どんどん流れていくコメント欄を見ると、Awichやゲストへのコメントもさることながら、配信ライブのカメラワークを絶賛するコメントも数多く見受けられた。冒頭の演出から、今回の配信ライブがかなり“魅せてくれる”ものになるだろう予感を高めていたが、それは、WWWのフロアに移ってからも健在。前半、JNKMN、PETZ、MonyHorse、kZm、JP THE WAVYらゲスト陣が怒涛のように代わる代わる出演していき、ステージの“絵”はどんどん変わっていくが、その様をどんどん細かくカメラを変えて対応していくことで、ライブのお祭り感を高めていく演出を施した。そして、細かくカメラを変えつつ、横移動や接写で緊迫感やスピード感、さらに妖艶さを1つも取りこぼさないようとらえ続けたのが印象的だ。

 今回のライブで、“ライブ”であることを強く印象付けた曲の1つは、7曲目「Open It Up」だろう。みどりんとドラムとAwichのラップのみでアレンジされた、少しテンポを速めた「Open It Up」、これまで多くのゲストが立て続けて登場したお祭り感とは打って変わって、Awichとみどりんだけの世界にフォーカスされ、そこから生み出されたヴァイブスは、また別の意味でのライブへの没入感を与えてくれた。終了後、何も音が鳴っていない空間でAwichが「最高だろ今の?」と問いかけると、kZmが「最高だよ今の!」と答えたその瞬間の会場の高ぶりもまた、画面越しの観客に高揚を与えただろう。

 ハイライトとなる場面は、ほかにもいくつもあって、例えば「この次歌おうと思っている曲は、私にとってとても大事な人を失った時の話です。その人が亡くなった時に、私と娘はその人の遺灰を持って海に散骨しに行きました。それが彼の願いだったから」と言ってMVの映像をバックに披露した「Ashes」やその次の「Revenge」の重さと前向きさや、先ほど出演したkZmと一緒にBIMが出演して「Dream Chaser」をサプライズで披露し、「個人的に好きだし、みんなも絶対聴きたいだろうな」と直前に言っていたAwichも歌う特別な時間など、枚挙にいとまがない。またしてもコメント欄のことになるが、今回のライブで多く見かけた言葉は「パワー」だった。画面に映し出されたAwichが、ゲストやバンドメンバーと楽曲でコミュニーケーションする姿、はじめは緊張していたというAwichが1人で堂々と歌う姿、楽曲そのものに存在する説得力のあるエネルギーと包容力から、そのようなパワーを受け取るのは決して画面を隔てていても問題なかったと思う。

 なお、今回のライブの模様は9月5日(土)21:00から、AwichのYoutubeチャンネルにてアンコール配信されることが決定している。


Text by Akihiro Ota


◎公演情報
【Awich “Partition Live”】
2020年8月25日
東京・渋谷WWW

<セットリスト>
1. Shook Shook
2. 洗脳 feat,鎮座DOPENESS、DOGMA
3. Awake
4. WHOUARE feat,MPJ
5. NEBUTA feat,kZm
6. Bloodshot feat JP THE WAVY
7. Open It Up
8. 紙飛行機
9. Ashes
10. Revenge
11. First Light
12. Dream Chaser feat,BIM
13. WHORU? feat,ANARCHY
14. Love Me Up
15. Bad Bad

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