2020/09/05 10:00
8月19日・20日にビルボードライブ東京にて開催された【野宮真貴、還暦に歌う。~赤い口紅の女と黒いサングラスの男たち~】。昨日お届けした前編(野宮真貴、還暦に歌う。が遂に開催 鈴木雅之とのデュエットでロマンチックに夜を染めた初日公演)に続き、本記事では横山剣(クレイジーケンバンド)が出演した20日の模様を後編としてお届けする。
〈20日ゲスト、横山剣(クレイジーケンバンド)とのダブル還暦パフォーマンス〉
「還暦記念に、歌いたい歌を歌いたい人と歌うわがままをきいてもらいました」。鈴木雅之に続いて、8月20日はクレイジーケンバンドの横山剣をゲストに迎えた。前半の珠玉のバカラック・メドレー~お祝いヴィデオコメントの後、お色直しを済ませた野宮真貴が「同い年で、デビューした年も一緒の東洋一のサウンドマシーン、クレイジーケンバンドの代表取締役歌手」を呼び入れる。横山剣もまた今年の7月6日に還暦を迎えた。野宮から横山にエルメスの深紅のポケットチーフが贈られ、「ダブル還暦! 二人あわせて120歳!」とご満悦。野宮と横山はこれまでも数々の共演を重ねてきているが、「おもては暑いんですけど(笑)、ここは納涼ということで」と、ユーモラスなMCをはさんで、スタンダード・ナンバー「おもて寒いよね」をデュエット。『野宮真貴、ホリデイ渋谷系を歌う。』では、吾妻光良& The Swinging Boppersによる日本語訳ヴァージョンを採用し、コミカルかつアダルトにカヴァーした曲だ。間奏ではマスクと手袋を身につけ、“ソーシャル・ディスタンスでソーシャル・ダンス”を踊る心憎い演出で会場をおおいに沸かせた。
二人の初共演はピチカート・ファイヴ時代に彼女がソロ・プロジェクトで発表した2000年の「地球を七回半回れ」。当時のCKBはアルバム『ショック療法』を小西康陽のレーベルから発表するなど渋谷系に連なるファンも増え、注目度が一気に上昇していた時期。「その日の野宮さんは、レザーが似合うロックな雰囲気だった」と横山が振り返る。「僕も1977年のKISSの初来日公演は観に行きました」と同世代トークを繰り広げた後は、「お祝いに1曲歌いたい」と、17歳の頃につくり、横山のクールスR.Cでのデビュー曲になった「シンデレラ・リバティ」を野宮のコーラスつきで熱唱。続いて、横山剣が書き下ろしたTVドラマ『続・最後から二番目の恋』で小泉今日子と中井貴一が歌った劇中歌「T字路」をデュエット。2016年にはCKBのアルバム『香港的士-Hong Kong Taxi』で野宮とセルフカヴァーしているが、大人の洒脱なムードを醸しながら、上質なポップとして聴かせる二人の相性はライブでも抜群。ダブル還暦の華やかな歌声にはライブ&エンターテインメントの愉しさが溢れていた。
2日目のアンコールでも「Twiggy Twiggy」の後にゲストの横山剣が再び登場。「60代になってもミニスカート」の歌姫に「剣さんの次の目標は?」と問われると「生涯現役!」と即答。「素敵に年を重ねて、いつか剣さんと歌いたいと思っていた曲」は、ナット・キング・コールが日本語でも歌ったスタンダード曲「L-O-V-E」。「人生にはいろいろあるけど、心のなかにLOVEがあれば、ねっ、剣さん」と言えば、「信じる者は救われる」と返し、「LOVE、イイネ!」ポーズでキメる二人のチャーミングなこと!
2日間のアニバーサリー・ライブのラストを飾ったのはピチカート・ファイヴの「陽の当たる大通り」だった。この選曲は全ピチカート・マニア号泣! 美しく年を重ね、還暦を迎えた野宮真貴が今、歌うHAPPY SADなこの歌の世界観は、2020年の夏にとびきり沁みた。最後の観客への挨拶も彼女の想いがこもったものだった。
「みなさん、今日は本当にどうもありがとう。こういう状況の中、私の還暦ライブに来てくださったこと一生忘れません。60年も生きていると色々ありますが、これからも人生は続いていくので、どんな状況の中でも心を落ち着けて、赤い口紅をさっとひいて未来に向き合える人でいたいと思います。そして、みなさん、一緒に素敵な人生を歩んでいきましょう!」
1ステージ1時間半に及ぶ完成度の高いステージを見事に歌い上げた渋谷系のクイーンに惜しみない拍手が贈られた。「人生には、ミュージックとビューティーがあればいい」という彼女の座右の銘は、ますます揺るぎのないものになっていくに違いない。
なお、本公演の模様は9月30日、フジテレビNEXT ライブ・プレミアム/フジテレビNEXTsmartにて『野宮真貴、還暦に歌う。~赤い口紅の女と黒いサングラスの男たち~<完全版>』として放映される。
Text:佐野郷子/Kyoko Sano
Photo:Masanori Naruse
◎8月20日セットリスト
ゲスト:横山剣(クレイジーケンバンド)
1 SWEET SOUL REVUE
2 東京は夜の七時
3 中央フリーウェイ
4 バート・バカラック・メドレー
Close to you~Knowing when to leave~Make it Easy on yourself~Always Something There to Remind Me~I’ll never falling love again~Walk on by~Do you know the way to San Jose
5 三月生まれ
6 おもて寒いよね duet with 横山剣
7 シンデレラ・リバティ with 横山剣
8 T字路 duet with 横山剣
9 ムーン・リバー
EN1 20th century girl
EN2 Twiggy Twiggy
EN3 L-O-V-E duet with 横山剣
EN4 陽の当たる大通り
◎公演概要
【野宮真貴、還暦に歌う。~赤い口紅の女と黒いサングラスの男たち~】
8/19 Guest:鈴木雅之
8/20 Guest:横山剣(クレイジーケンバンド)
<メンバー>
野宮真貴(Vo)
山本真央樹(Dr)
石田純(Ba)
真藤敬利(Pf)
スパム春日井(Key)
Smooth Ace(Cho)
◎フジテレビNEXT番組概要
『野宮真貴、還暦に歌う。~赤い口紅の女と黒いサングラスの男たち~<完全版>』
放送日時:2020年9月30日(水)21時~
フジテレビNEXT ライブ・プレミアム/フジテレビNEXTsmart
URL:https://otn.fujitv.co.jp/nomiya/
◎野宮真貴プロフィール
野宮 真貴(MAKI NOMIYA) ミュージシャン/エッセイスト
ピチカート・ファイヴ3代目ヴォーカリストとして、90年代に一世を風靡した「渋谷系」ムーブメントを国内外で巻き起こし、音楽・ファッションアイコンとなる。現在は“渋谷系とそのルーツの名曲を歌い継ぐ”音楽プロジェクト「野宮真貴、渋谷系を歌う。」を行うなど、ソロアーティストとして活動。2020年は還暦イヤーを迎え、音楽、ファッションやヘルス&ビューティーのプロデュース、エッセイストなど多方面で活躍している。
ベストセラー・エッセイ「赤い口紅があればいい」「おしゃれはほどほどでいい。」(幻冬舎刊)
ソロベストアルバム「野宮真貴 渋谷系ソングブック」、ピチカート・ファイヴベストアルバム「THE BAND OF 20TH CENTURY: Nippon Columbia Years 1991-2001」が好評発売中。
9月下旬には還暦以降、初となるモバイルファンクラブ「おしゃれ御殿」をローンチする予定である。
http://www.missmakinomiya.com/
◎横山剣プロフィール
クレイジーケンバンド・リーダー/作曲・編曲・作詞・Keyboards・Vocal
1960年横浜生まれ。小学校低学年の頃より脳内にメロディーが鳴り出し独学で作曲を始める。小学校5年生(1971年)の時、中古レコード屋の野外サウンド・システムにてマイク片手に実演販売を行う。中学2年よりバンド活動を開始して以来、地元横浜を中心に数多くのバンドで活動。1981年、それまでスタッフとして関わって来たクールスRCのヴォーカル兼コンポーザーとして抜擢されデビュー。以後、紆余曲折を経て1997年春、地元本牧にてクレイジーケンバンドを発足。
堺正章、和田アキ子など、数多くのアーティストに楽曲提供。また、m-flo、ライムスター、FIRE BALLなど、ジャンルの壁を超越したコラボレーションなど、その音楽活動はボーダレスである。
2020年、還暦を迎え、10月21日にクレイジーケンバンドとしてブランニューアルバム『NOW』をリリース。10月30日には日本武道館公演を予定している。
https://www.crazykenband.com/
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