セロニアス・モンク、キング牧師暗殺事件直後に高校で行った感動の未発表ライブ音源が発掘

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2020/06/22

　ジャズ界の鬼才、セロニアス・モンクの未発表ライヴ音源が発掘され、7月31日にライヴ・アルバム『パル・アルト～ザ・ロスト・コンサート』としてリリース。先行配信曲「エピストロフィー」が解禁され、ティザー映像が公開された。

　本アルバムには、1968年に行われたライヴの音源を収録。同ライヴ音源は、まだ人種差別が色濃かった時代に、音楽の力で人種の垣根を超えることを願った一人の高校生が企画し、カルフォルニア州の普通の高校で行われたもの。録音は同校の用務員が行った。

　当時、アーティストとして成熟期を迎えていたモンクが、ライヴ・ハウス以外で演奏をすることは珍しく、同ライヴはマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが暗殺された直後で、人種間緊張が高まっていた時代に起こった奇跡のライヴと言える。

　本アルバムの音源は、同ライヴの発案者で当時高校生だったダニー・シャーの自宅屋根裏で今日に至るまで保管されていた。音源を聴いたセロニアス・モンクの息子でありドラマーのT.S.モンクは、「この演奏は、今まで聴いたセロニアスのライヴ音源の中でも、最高のものだ」、「自分の父親が高校で行われたギグに参加していたなんて、全く知らなかったけれど、確かに彼らはそこにいたんだ。初めてテープを聴いた時、一音目で父の気分がいい時の演奏だということがわかったよ」と語っている。

　なお、アルバムには音楽的にも評価の高いチャーリー・ラウズ（ts）、ラリー・ゲイルズ（b）、ベン・ライリー（ds）とのカルテットで演奏したモンクの代表曲「ルビー・マイ・ディア」、「ウェル・ユー・ニードント」「ドント・ブレイム・ミー」「ブルー・モンク」「エピストロフィー」「アイ・ラヴ・ユー・スウィートハート・オブ・オール・マイ・ドリームス」の6曲が収録される。

◎ライヴが実現するに至ったストーリー

時は1968年、公民権運動の立役者であり、黒人解放運動のシンボルでもあったマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が暗殺され、人種間の緊張が高まり、いつどこで何が起きるかわからない不穏な空気が全米を支配していた。彼の死をきっかけに同人種間でも派閥闘争が生まれ、もはやありとあらゆるコミュニティは分裂の危機を迎えており、カルフォルニア州にある町、パロ・アルトも、この出来事とは無縁ではなかった。そんな中、モンクの大ファンだった高校生、ダニー・シャーは「自由」を象徴するジャズで再び人々の結束を高めようと、当時、絶大な人気を博していたモンクを高校に呼ぼうと試行錯誤を重ねる。当初はモンクが高校でライヴをすることを真に受けない人も周囲にはたくさんおり、様々障害が立ちはだかったが、ダニーの思いはモンクへ届き、牧師の死から半年後の10月27日、ついにライヴは行われ、大成功を収めることとなった。

◎ティザー映像
セロニアス・モンク『パロ・アルト ~ザ・ロスト・コンサート』ティザー
https://youtu.be/I9rF3HWo3A8

◎release情報
アルバム『パロ・アルト　～ザ・ロスト・コンサート』
2020/7/31 RELEASE

(c)Jim Marshall