2020/06/05
ザ・ビートルズでもお馴染み、ロンドンの伝説的レコーディング・スタジオ“アビイ・ロード・スタジオ”が6月4日に営業を再開した。第二次世界大戦中もオープンしていた同スタジオは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今年3月24日より史上初めての閉業を余儀なくされていた。
再開後初のレコーディング・セッションは仏在住アメリカ人ジャズシンガー、メロディ・ガルドーとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が行なったという。両者は当初予定していたレコーディングを新型コロナウイルスの感染拡大によりキャンセル。今回はソーシャル・ディスタンスのルールを守りつつ、安全な環境でのセッションが実現した。また、今回の録音はロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団にとってもロックダウン以降初のリユニオンとなった。
同レコーディングは、メロディ・ガルドーがパリから、プロデューサーのラリー・クラインがロサンゼルスからリモートで参加し、ロンドンのスタジオ内のミュージシャンやエンジニアと作業を進めていくという国際的なものとなった。密閉されたスタジオ内にミュージシャンが集結するという環境の中、イギリス政府のガイドラインを遵守するため、スタジオ・チームは新型コロナウイルス下での新たな基準を設定。ミュージシャンやスタッフの安全を最優先とし、ソーシャル・ディスタンスと可能な限り安全なレコーディング環境を提供するガイドラインを策定した。
アビイ・ロード・スタジオのマネージング・ディレクターであるイザベル・ガーヴェイは、「音楽は厳しい時間を乗り越える手助けをしてくれ、昨今の環境においてはこれまで以上に重要なものとなっています。アーティストが新しい音楽を作り上げ、このような環境における感情を共有したいという欲求を持っているのを私たちは知っていましたし、スタジオを再開してほしいというリクエストを数多く受けていました。安全のための新たな基準を設けたうえで今回スタジオを再びオープン出来ることをとても嬉しく思っています」と述べている。
また、メロディ・ガルドーは「今回アビイ・ロード・スタジオ再開後初のレコーディングを担当することが出来てとても光栄です。90年の歴史の中で第二次世界大戦の間ですらオープンしていたスタジオが、今回新型コロナウイルスの影響で初めて閉業していたと知りました。そして今回ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とレコーディングすることで、録音にかかわるすべての人々の安全を前提にアーティストのコミュニティが復帰出来る助けとなれたのではと思います。まるで歴史に触れているような感覚です」と話している。
(c)Carsten Windhorst
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