2020/02/24 13:00
ジャスティン・ビーバーの復帰作『チェンジズ』が初登場1位を記録した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作『チェンジズ』は、2015年11月に発表した前作『パーパス』から約4年ぶり、5枚目のスタジオ・アルバム。これまでの4作に加え、リミックス・アルバムとして発表した『ネヴァー・セイ・ネヴァー』(2011年)と『ビリーヴ~アコースティック』(2013年)の2枚を含む、同チャート7作目のNo.1デビューとなる。
7枚のアルバムを1位に送り込んだソロ・アーティストとしては、1961年時点で26歳だったエルヴィス・プレスリーを超える、史上最年少記録(25歳)。グループを含めた記録としては、7作目を獲得した1966年時点でメンバー全員が25歳以下だった、ビートルズが歴代トップ。
首位獲得は7枚目だが、TOP10入り総数としては9作目に記録を更新。
『マイ・ワールド』(2010年 / 5位)
『マイ・ワールド2.0』(2010年 / 1位)
『マイ・ワールド・アコースティック』(2010年 / 7位)
『ネヴァー・セイ・ネヴァー』(2011年 / 1位)
『アンダー・ザ・ミスルトウ』(2011年 / 1位)
『ビリーヴ』(2012年 / 1位)
『ビリーヴ~アコースティック』(2013年 / 1位)
『パーパス』(2015年 / 1位)
『チェンジズ』(2020年 / 1位)
『チェンジズ』の初動ユニットは231,000で、そのうち126,000がダウンロード数、101,000がストリーミングによるユニット(SEA)、4,000が楽曲単体によるユニット数(TEA)だった。セールスには、公式ウェブサイトでのグッズ販売や、ライブ・チケットの償還による売り上げも含まれている。ストリーミングの週間視聴回数は1億3,5000万回で、いずれも安定したポイントを獲得した。
2020年度のチャートでは、2月1日付で1位に初登場したエミネムの『ミュージック・トゥ・ビー・マーダード・バイ』(279,000)、同日3位にデビューしたホールジーの『マニック』(239,000)に次ぐ、3番目に高い週間ユニット数。なお、前作『パーパス』は2015年12月5日付チャートで649,000ユニットを記録し、No.1デビューを飾っている。1位獲得の記録は更新したものの、数字は大幅に落としていることが分かる。
続いて2位には、エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディの新作『アーティスト2.0』が初登場。初動ユニットは111,000で、そのうちストリーミングによるユニット(SEA)が106,000と、ユニット数のほとんどをストリーミングが占めた。なお、週間ストリーミング数は1位のジャスティンを超える1億4,900万回を記録している。一方、アルバムの純粋な売上枚数は3,000と極少数。これは、ストリーミングの強い若手ラッパーの傾向ともいえる。
本作『アーティスト2.0』は、自身初のNo.1をマークした前作『フーディ・シーズン』(2018年)から約1年ぶり、3作目のスタジオ・アルバムで、1stアルバム『ザ・ビガー・アーティスト』(2017年 / 4位)、『フーディ・シーズン』の3作全てがTOP10入りしている。『フーディ・シーズン』も初登場(2019年1月5日付)は2位だったが、3週間後に1位へ上昇し、計3週のNo.1をマーク。2019年の年間アルバム・チャートでは、10位にランクインする大ヒットを記録した。
TOP3は全て新作で、3位にはオーストラリア出身のロック・バンド=テーム・インパラの『ザ・スロウ・ラッシュ』がデビューしている。本作は、2015年の3rdアルバム『カレンツ』から約4年半ぶりの新作で、アメリカではその『カレンツ』(最高4位)を上回る自己最高位を更新した。本国オーストラリアでは、前作に続き2作目の首位獲得、デビュー・アルバム『インナースピーカー』(2010年)から4作連続のTOP10入りを果たしている。
『ザ・スロウ・ラッシュ』の初動ユニットは110,000で、そのうちアルバムの売上枚数が80,000枚と、前者とは対照にセールスが圧倒的に強かった。80,000枚のうち、26,000枚分がLPによる売り上げで、全体の32%を占めている。ニールセン社が集計を開始した1991年以降、LPの初動売上としては7番目に高い記録で、初動枚数(ユニット)としても自己最高を更新した。なお、歴代のLP週間売上トップは、2014年にジャック・ホワイトが『ラザレット』が記録した40,000枚。
今週5位に初登場したのは、K-POPグループ=MONSTA Xの『オール・アバウト・ラヴ』。昨年<エピック・レコード>に移籍して以降初のアルバムで、全米でのTOP10入りも初の快挙となる。なお、Billboard 200でTOP10入りしたのは初めてだが、ワールド・アルバム・チャートでは、これまで9枚のアルバムをTOP10入りさせている。
『オール・アバウト・ラヴ』の初動ユニットは52,000で、そのうち50,000がアルバムのセールスだった。売り上げが好調だった理由として、メンバーごとの異なる複数のパッケージ・エディション、公式ウェブサイトでのグッズ販売、コンサート・チケットの交換特典等が挙げられる。K-POPのアーティストは、同様の手法で売り上げを伸ばす傾向にある。
先週7位に初登場した、ポップ・スモークのミックステープ『ミート・ザ・ウー2』は8位にダウンしたものの、週間ユニット数は11%増の40,000を記録している。ポップ・スモークは、2月19日に自宅で何者かに銃で殺害され、大きな話題となった。今週ストリーミングが上昇したのは、その訃報を受けてのもの。共演したニッキー・ミナージュやミーゴスのクエイヴォ等、人気アーティストたちがSNSで追悼メッセージを残している。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、2月28日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『チェンジズ』ジャスティン・ビーバー
2位『アーティスト2.0』エイ・ブギー・ウィット・ダ・フーディ
3位『ザ・スロウ・ラッシュ』テーム・インパラ
4位『プリーズ・エクスキューズ・ミー・フォー・ビーイング・アンチソーシャル』ロディ・リッチ
5位『オール・アバウト・ラヴ』MONSTA X
6位『ハリウッズ・ブリーディング』ポスト・マローン
7位『ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?』ビリー・アイリッシュ
8位『ミート・ザ・ウー2』ポップ・スモーク
9位『ミュージック・トゥ・ビー・マーダード・バイ』エミネム
10位『マニック』ホールジー
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像