2020/02/29
今週のHot100は、ヒゲダン、LiSA、King Gnuといったロングヒットの強豪を抑えて、日向坂46の新曲「ソンナコトナイヨ」が首位を獲得した(【表1】)。この作品は彼女たちにとって4作目のシングルで、デビューしておよそ1年経った節目といっってもいい。
ただ、彼女たちのヒットの傾向は、1年前と比べると少し変化が出てきている。というのも、「ソンナコトナイヨ」のチャートの構成比を見てみると、フィジカルのCD売上がおよそ8割を占めているのに対し、昨年3月にリリースされた彼女たちのデビュー曲「キュン」は、比較的バランス良くすべてのポイントが上位となっている(【表2】)。もう少し具体的にいうと、「キュン」の初動が、フィジカルが1位、ダウンロードが3位、ストリーミングが11位だったが、「ソンナコトナイヨ」の初動では、フィジカルが1位、ダウンロードが4位、ストリーミングが49位となっている。フィジカルとダウンロートはそれほど変化はないが、ストリーミングの順位が下がっているのがわかるだろう。
このことから気付くのは、デビュー当初いかに全方位で大々的なプロモーションをしていたかということ。コアファンは確実にCDを買い、有料ダウンロードを利用するだろうが、グレーユーザーに対しては少しでもストリーミングでちょい聴きさせられれば、ひとつのハードルをクリアしたといえる。そこに関しては、デビュー時は徹底されており、テレビやラジオなどメディアの露出が多かったことも後押しして、かなり多くのユーザーを巻き込むことに成功した。
しかし、この結果はけっして悲観することではない。ストリーミングの順位が下がったのは、この1年で多くのアーティストが解禁し、他アーティストのストリーミング数が伸びた結果、相対的に下がったかもしれないからだ。どのアーティストも、常にライト層を取り込むのは非常に難しいわけだし、何よりフィジカルとダウンロードのいずれにも強く、それで総合1位になっているのは大きな結果だ。今後はタイアップなどで話題性を作り、いかにファン層の裾野を広げるかが課題だが、彼女たちのこの勢いがあれば、それはなんら難しくない気がする。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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