2020/02/17
日本を代表するギタリスト・小倉博和の生誕60周年を記念したイベント【小倉博和 60th Anniversary LIVE ~No Guitar , No Life~】が、2020年1月30日に六本木・ビルボードライブ東京にて開催された。本稿では、2ndステージの模様をレポートする。
ギター、ベース、キーボード、パーカッション、そしてドラムセットが2台。所狭しと並ぶ楽器を背に、小倉がステージに登場する。まずは挨拶代わりのソロギターからライブはスタート。アコースティック・ギターのなめらかな音色が、会場を優しく包み込む。曲の後半では、ルーパーを駆使しながら順々に音を重ね高揚感を煽ると、フロアからは自然と手拍子が巻き起こった。
「1月28日、無事に還暦を迎えました!」と小倉が挨拶をすると、客席から「おめでとう!」と歓声が次々と上がる。続けて、佐橋佳幸(g)、斎藤有太(key)、三沢またろう(perc)、亀田誠治(b)の4人がステージに登場。佐橋は“60歳=12×5歳”ということで、12弦ギターの弦5セットを小倉にプレゼント。亀田は、「小倉さんは僕が駆け出しだった頃、ミュージシャンで初めて飲みに連れていってくれた方なんです」と、思い出のエピソードを語りながら、小倉の還暦を祝福した。そんな和気あいあいしたメンバー紹介から披露された「春」では、MCのリラックスしたムードがそのままアンサンブルに反映されており、演者同士アイコンタクトを取り合いながら、演奏を楽しんでいる様子が窺えた。特に小倉と佐橋の2本のギターが入れ替わり立ち替わり絡み合う様は、独特の心地よさを生み出していた。
日本屈指の名プレイヤーの演奏が一度に楽しめるのも、この日のライブの見どころだった。3,4曲目には、大貫妙子(vo)、有賀啓雄(b)、林立夫(dr)を迎え、大貫の名曲「都会」をグルーヴィーにアレンジ。さらに、小倉と佐橋によるギターデュオ・山弦と、大貫が共作したバラード「あなたを思うと」では、印象的なシンコペーションが楽曲をドラマティックに彩る。また、小倉と井上鑑(key)の2人のパートでは、井上が小倉と演奏するために作ったというインストゥルメンタル曲を披露。ギターとピアノ、両者とも一歩も譲らないユニークなフレーズの連続に、オーディエンスの目は釘付けになっていた。
後半は、小倉がエレキギターに持ち替え、井上鑑(key)、山木秀夫(ds)、髙水健司(b)、今剛(g)、三沢またろう(perc)、山本拓夫(sax/fl)の計7人でオンステージ。「ここからは私の最新の曲を聴いてください」と、前半のソロやデュオ、歌モノ楽曲とは異なる“攻め”のアプローチで、アンサンブルをリードしていく。軽快なカッティングが映える「Clean Up」から、ラテン調の情熱的なナンバー「Feliz Amigo」へ。各々の卓越したプレイが堪能できるソロパートが続き、会場の温度はぐんぐん上昇。クライマックスに向けて一気に加速していく。
そしてラストソングには、この日の出演者が全員集合。「今日のために作った曲を」とこの日のライブのタイトルでもある「No Guitar , No Life」で大団円を飾った。総勢13人による賑やかなセッションは、迫力があるのはもちろん、祝祭感に満ち溢れていた。
アンコールは、小倉と佐橋の2人が再びステージへ。楽曲は、1998年にリリースされた山弦の1stアルバム『JOY RIDE』より「SONG FOR JAMES」をチョイス。そして最後は、小倉が1人残り、「これからもギターを相棒に、楽しんで参りたいと思います。みなさま、よろしくね! といいつつ、こんな楽器(ハープウクレレ)持ってますけど(笑)」と挨拶し、「Moon River」でこの日のライブを締めくくった。六本木の夜景がぴったりなハープウクレレの幻想的な音色に、オーディエンスは静かに耳を傾ける。演奏終了後、小倉はその余韻を残すように、何も言わずにお辞儀をし、ステージを後にした。
Photo:岩佐 篤樹
◎公演詳細
【小倉博和 60th Anniversary LIVE ~No Guitar , No Life~】
六本木・ビルボードライブ東京
2020年1月30日(木)
〈Member〉
小倉博和
有賀啓雄(b)/ 井上鑑(key)/ 大貫妙子(vo)/ 今剛(g)/ 斎藤有太(key)/ 佐橋佳幸(g)/ 髙水健司(b)/ 林立夫(ds)/ 三沢またろう(perc)/ 山木秀夫(ds)/ 山本拓夫(sax/fl) / 亀田誠治(b)※2ndステージのみ
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