2020/02/01 17:00
indigo la Endのオフィシャル・ライブレポートが到着した。
1月30・31日、indigo la End(以下、インディゴ)が【ONEMAN HALL TOUR 2019-2020『心実』】のツアーファイナルを中野サンプラザで開催した。昨年10月にリリースされた最新作『濡れゆく私小説』に伴う今回のホールツアーは、10月26日の大阪公演を皮切りに、昨年8本を敢行。初の中国ツアーを挟み、少し間を空けての開催となったこの2日間は、バンド結成10周年イヤーの幕開けということもあり、それぞれコンセプトを設け、異なるセットリストでライブが行われた。
初日となる30日は、「朱に染まった激しさと愛おしさ」をコンセプトとした【朱の音】。真紅の垂れ幕が下がるステージにメンバーが登場し、インディーズ時代の作品である『渚にて』に収録の「レナは朝を奪ったみたいだ」が始まると、8本のトーチに炎が灯され、「朱」のイメージを印象付ける。その後は、サポートメンバーのえつこのオルガンソロをフィーチャーした「魅せ者」や、佐藤栄太郎が手数多く叩きまくる“悲しくなる前に”といったアグレッシヴな曲と、「小粋なバイバイ」や「砂に紛れて」といった新作からの曲を織り交ぜながら進行。ライブの定番曲“瞳に映らない」と「名もなきハッピーエンド」では特に大きな盛り上がりを見せる。
ライブ後半では、バラードの名曲「通り恋」、巧みな転調や突然のジャズパートといった要素を盛り込みつつ、あくまでキャッチーに聴かせる「ラッパーの涙」など、再び新作からの曲を並べ、さらには先日YouTubeでの再生回数が1000万回を突破した人気曲“夏夜のマジック”を続けると、場内は大きな拍手と歓声に包まれた。
ここまでMCらしいMCはなく、ひたすら楽曲を演奏し続けたが、ここで川谷絵音がようやく口を開き、「今日のテーマは『朱』ということで、激しい曲を選んだんですけど……「レナは朝を奪ったみたいだ」っていつぶりにやったんだろう?自分でも歌詞の意味が全然わかんない」と笑う。そして、「インディゴは蒼のイメージだと思うけど、今日はやっぱりロックバンドっていいなと改めて思いました。最後に僕らの中で一番激しい曲をやります」と言って、ハードコア色の強い「実験前」を演奏。アウトロでは長田カーティスと川谷が順番にノイジーなギターソロをかき鳴らし、混沌としたラストを迎えた。
アンコールでは「もう一曲、ひさびさの曲を」と、デビュー作『さようなら、素晴らしい世界』に収録の「秘密の金魚」を披露。キーの高さが時間の経過を感じさせつつ、それでも確固たる世界観は当時から変わらない。最後に川谷がもう一度口を開き、「僕はいろんなことをやってますけど、インディゴは特別です。いいアルバムを作れてよかった、音楽をやっててよかった、こういう瞬間があるから、生きていけます」とオーディエンスに感謝を伝え、ラストに披露されたのは「Unpublished manuscript」。ギターの轟音と厚みのあるコーラスが、ストロボとともにサイケデリックな空間を作り出し、初日を締め括った。
2日目となる31日は「蒼き静けさと美しさ」をコンセプトとした【蒼の音】。「渚にて幻」でライブをスタートさせると、レーザーとスモークによって幻想的な空間が広がり、初日ではライブ後半のハイライトで演奏された「夏夜のマジック」が2曲目に披露されたりと、「蒼の音」ならではのオープニングが展開される。
その後もテーマに合わせて、長田がアコギを弾く「Midnight indigo love story」や、後鳥亮介のスラップベースが引っ張る“心の実”といった新作からの曲と、「心ふたつ」や「アリスは突然に」といった過去曲の中でも特に美しいメロディーの際立つ楽曲が続く。ライブ後半で「結び様」、「蒼糸」、「通り恋」と、ミドル~スローなナンバーが立て続けに演奏されると、会場を埋めたオーディエンスがすっかり「蒼」の世界へと引き込まれていた。
この日もラスト一曲を残して川谷が初めて口を開き、「今日のテーマは『蒼』ですけど、インディゴの曲は全部『蒼』とも言えるから、選択肢が広かったんです。でも、次の曲も含めた最後の4曲が僕の中のインディゴの「蒼」で、薄い蒼から段々と濃くなるセットリストにしました」と選曲の意図を明かす。さらに、「この10年の曲でセットリストを組んで、区切りではあるんですけど、2日間ライブをして、また新しい曲を作りたいと思いました。どうもありがとう」と感謝を伝え、バラードの“幸せが溢れたら”で本編を終えた。
アンコールでは「『蒼』をテーマにするって決めて、最初に浮かんだのがこの曲でした」と話して、インディーズ時代の唯一のフルアルバム『夜に魔法をかけられて』から「抱きしめて」を披露。そして、「この10年はメンバーがなかなか定まらなかったり、悔しい思いもたくさんしたけど、バンドがつまらないと思ったことは一度もなくて、だから10年続けてこれたんだと思います。サポートの2人も含めて、この6人で5年やってきたけど、もっともっと行けそうです。次の10年もよろしくお願いします」と語り、ラストに演奏されたのは「Play Back End Roll」。照明の青い光と白い光が神々しく照らされ、これからの未来を映し出しているかのようなエンディングだった。
終演後には、涼しくなる頃にMajor 6th Full Album『夜行秘密』をリリースすることもアナウンスされた。
TikTokで楽曲が人気となるなど、まもなく10周年をむかえる彼らから目が離せない。
TEXT:金子厚武
PHOTO:鳥居洋介
◎セットリスト
【indigo la End ONEMAN HALL TOUR 2019-2020 「朱の音」】
2020年1月30日(木)中野サンプラザ
01. レナは朝を奪ったみたいだ
02. 秋雨の降り方がいじらしい
03. 魅せ者
04. 愛の逆流
05. 悲しくなる前に
06. 鐘泣く命
07. はにかんでしまった夏
08. 小粋なバイバイ
09. 砂に紛れて
10. 想いきり
11. 瞳に映らない
12. 名もなきハッピーエンド
13. 夜汽車は走る
14. 花傘
15. 通り恋
16. ラッパーの涙
17. 夏夜のマジック
18. 実験前
EN.秘密の金魚
EN.Unpublished manuscript
【indigo la End ONEMAN HALL TOUR 2019-2020 「蒼の音」】
2020年1月31日(木)中野サンプラザ
01. 渚にて幻
02. 夏夜のマジック
03. 雫に恋して
04. 砂に紛れて
05. 花傘
06. Midnight indigo love story
07. 忘れて花束
08. 心ふたつ
09. ほころびごっこ
10. 心の実
11. 見せかけのラブソング
12. 藍色好きさ
13. アリスは突然に
14. ラッパーの涙
15. 結び様
16. 蒼糸
17. 通り恋
18. 幸せが溢れたら
EN.抱きしめて
EN.Play Back End Roll
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