2020/01/21
古き良き60年代ソウルへの敬愛に満ちたボーカルと骨太なギター・ロック・サウンドを融合させ、15年にはドン・ウォズに見初められて名門ブルーノートが契約した史上初のロック・バンドとしても大きな話題を集めたヴィンテージ・トラブル。ビルボードライブには17年4月以来の2度目の登場となった彼らだが、ライブを重ねる一方で、すでにライブに欠かせないキラー・チューンと化した新曲も挟みながらより熱狂度を高めたステージは、バンドの好調ぶりと進化を鮮烈に伝えてくれた。
水色のスーツをビシッと着こなし、往年の偉大なソウル・シンガーを彷彿させるボーカルのタイ・テイラーを筆頭とするメンバーたちが登場し、オープニングからラウドなブレイクとソウルフルなシャウトの連発で熱気を高めると、序盤の「Strike Your Light」から激しいハンドクラップを求めて観客を立ち上がらせて一気に興奮の坩堝へ。「聞こえないぜ!」と何度もオーディエンスを煽りながら、曲後半にはステージ前のテーブルに飛び乗って歌うハイテンションさで場内を沸かせると、18年に発表した「Chapter Ⅱ-EP 1」に収録されたメロウなラヴソングなども挟みつつ、オルタナティヴ・ロック以降の鋭利さとヴィンテージ・ソウルの甘美さを兼ね備えた彼らならではの音で魅了した。
テイラーのソウル色が強い歌声の持ち味が映える「Doin' What You Were Doin'」でもコール&レスポンスを成立させて観客との一体感をより高め、中盤にはグルーヴィーな新曲も繰り出しながらステージを進行。そして、代表曲の「Run Like The River」ではステージ中央に女性コーラスを含む5人のメンバーが集まって椅子に座ってブルージーに幕を開けながらも、途中から前方にいたファンたちを次々とステージに上げてその椅子に座らせ、やがてビートとテンションを加速させてラウドに転じ、後半にはテイラーが客席フロアをハイタッチしながら巡回するという展開も。終盤は、観客が携帯電話のライトをかざして応えるバラード調のナンバーから、ロッキンなインスト曲を挟んで再びハンドクラップを求めてラウドに疾走する「Knock Me Out」で締め、起伏に富んだセットを駆け抜けた。
ジェイムス・ブラウンやウィルソン・ピケットなどといったソウル~ファンク界の大御所たちの遺伝子を継承したボーカルと、レッド・ツェッペリンからジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンあたりまで連なるラウド・ロックの痛快さを独自の形でブレンドしつつ、来日する度にさらなる新境地を示し続けるヴィンテージ・トラブル。大阪から東京へ場を移し、21(火)・22(水)日の2daysでビルボードライブ東京で行われる興奮必至のステージをお見逃しなく!
Text:Hidesumi Yoshimoto
Photo:Kenju Uyama
◎公演情報
【ヴィンテージ・トラブル】
2020年1月20日(月)※終了
ビルボードライブ大阪
2020年1月21日(火)・ 22日(水)
ビルボードライブ東京
1stステージ 開場17:30 開演18:30
2ndステージ 開場20:30 開演21:30
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