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2020/01/17

<ライブレポート>マデオン、単独来日公演で壮大なセットを披露

フランス発の新進気鋭プロデューサー=マデオンが、ビルボード・ダンス/エレクトロニック・アルバム・チャートで1位を獲得したセカンド・アルバム『グッド・フェイス』を引っ提げ、来日した。

 朋友ポーター・ロビンソンと共演した【シェルター・ツアー】から約3年、単独では約7年ぶりとなるマデオンの来日公演【Good Faith Live】が、1月16日、東京・マイナビBLITZ赤坂で開催された。今回はDJセットではなく、ライヴ・セットによるパフォーマンスというのでも早くから話題を呼んでいたこの公演。イントロに続いてオープニング曲「オール・マイ・フレンズ」で幕を開けると、マイクを握っていたのはマデオン自身。ニュー・アルバム『グッド・フェイス』でもほぼ全曲でヴォーカルを担当していた彼が、ステージ中央の発光するマイクスタンドの後ろに立ち、ファンキーなサウンドに乗せて、はつらつとした歌声を響かせている。両脇にはキーボードなどの電子機材が設置され、後方に映像が映し出されると、演奏するマデオンの姿が影法師のように浮き上がる寸法だ。さらにステージの上下左右から多彩に表情を変えるライトの洪水が降り注がれ、まるで異次元の世界にいるかのよう。このサウンドと演奏、映像、ライティングがシンクロする様は、ほとんどVR体験のように思われた。

 ひと際ドリーミーだった「ドリーム・ドリーム・ドリーム」、足元から会場が揺れた「インペリアム」、少年合唱団のイメージを見事にアニメ化した「ノー・フィアー・ノー・モア」などハイライトは数えきれないが、全体を通して印象的だったのがやはりフィールグッドなサウンドという点だ。新作『グッド・フェイス』では、彼自身の幸せな現状を投影したかったというが、ライブではオーディエンスと共にその彼の幸せを分かち合い、体験しているかのよう。そんな恍惚感が常に満ち溢れる75分間のステージは、アンコールを迎える頃には、すっかり身体が軽くなり、フワフワと浮遊しているかのようだった。

 新作の制作にあたっては、様々な国を旅して、最終的には母国フランスからアメリカへ移住したというマデオン。そんな人生経験がたっぷり注ぎ込まれた新作やライブからは、彼の成長ぶりが伺えると同時に、パフォーマーとしての野心や冒険心も大いに伝わってきた。とはいえ、勿論シャイで謙虚なところは変わらず。ステージの合間や終演後に「東京、ありがとう!」と日本語で繰り返していたのが印象的だった。

 早熟の天才児として10代から持て囃されたマデオンもこの5月で26歳を迎える。この日のオープニング・アクトには、16歳のトラックメイカーのSASUKEが“マデオン”と片仮名で書かれたパーカーを着て登場したが、そんなSASUKEのプレイを見守りながら、きっと10年前の自身の姿を重ね合わせていたに違いない。生まれながらの創造性や才能を大切に育み、ワンマンで唯一無二のエレクトロニック桃源郷を誕生させたマデオン。その持久力やバイタリティにも恐れ入り、拍手を贈りたい夜だった。


Text by 村上ひさし
Photos by Masanori Naruse

◎来日公演情報
<東京>※終了
2020年1月16日(木)開場18:30/開演19:30
会場:マイナビ BLITZ 赤坂
<大阪>
2020年1月17日(金)開場18:30/開演19:30
会場:Zepp Osaka Bayside

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