2012/11/16 15:05
アコースティック・ソロ・アルバム第2弾のリリースを控える中川敬が、11月17日の東京 Zher the ZOO YOYOGI公演より【中川敬セカンド・ソロ・アルバム『銀河のほとり、路上の花』発売記念ツアー】を開催。会場にて同作の先行販売を開始する。
業界関係者や同業者の中にも多くのファンを持つ日本屈指のロック・バンド、ソウル・フラワー・ユニオンの中心人物である彼が、初のアコースティック・ソロ・アルバムをリリースしたのは昨年6月。あれから約1年半ぶりの新作となるのが、11月23日リリースのニュー・アルバム『銀河のほとり、路上の花』だ。
収録曲は新曲からソウル・フラワーの名曲、高田渡や二階堂和美のカバーまで色とりどり。選曲についてはコンセプトがないのがコンセプトで、その時に思いついた楽曲を順に録音するという“中川敬の日常を切り取る”形で制作は進められた。では、彼の日常とはどういったものなのか。
<デモ、東北。中川敬の日常>
「カウントしたら、今年だけで40回以上デモに行ってた」 これは10月末までに、中川が原発再稼働に対する抗議活動や反原発デモに参加した数だ。2011年3月11日の東日本大震災直後より支援物資の郵送など後方支援を開始した彼は、同年5月には仲間を引き連れて被災地へ、“ソウル・フラワー・みちのく旅団”として出前ライブを始めた。
また、各地で行われる反原発のデモ活動にも積極的に参加。以降の中川のスケジュールは、ライブとレコーディング以外の殆どが東北とデモで埋まった。2012年の夏には坂本龍一の呼びかけから始まったフェス【NO NUKES 2012】へ出演したが、この時、“原発廃炉でエエジャナイカ”と記したプラカードを手に代表曲を畳み掛け、大盛況を巻き起こしたのも彼らだった。
しかし大阪に居を構えていることもあり、そうした活動が続けば生活は厳しいものになる。以前より“唯一の信仰”と冗談を飛ばすほどに愛してきた阪神タイガースの試合も、この1年半はまったく観なかったそうだ。キツいとは思わないのか、そんな質問に中川は苦笑いする。「何か、遊んでたらあかんような気がすんねん。特に、東北の日々奮闘してる仲間達のことを想うとね」
<ありがとうね、お兄ちゃん。音楽っていいね>
中川は前身ニューエスト・モデルのフロントマンだった80年代から反原発を訴え、時にはライブと連動したイベントなども行ってきた。95年の阪神淡路大震災時には震災基金を立ち上げると共に、電源を必要としないチンドン・ユニット、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットを結成。労働歌や民謡、演歌など、子どもからお年寄りまで広く楽しめる楽曲を被災地で歌い続けた。
被災地でのライブでは、オリジナル曲をあまり歌わないという。「そこには常に過酷な日常がある。せめてその1時間はすべてを忘れて、民謡や古いはやり唄で一緒に音楽で遊びたい」、そんな信念があるからだ。去年の5月、被災者がまだ避難所での共同生活を余儀なくされていた頃に女川で出張ライブを行った中川は、ライブ後にある男性から握手を求められた。
「60代の男性が、“ありがとうね、お兄ちゃん。音楽っていいね。音楽っていいね”って繰り返した後に、握手したまま大号泣し始めてね」 後で知った所によると、その男性は津波で家族も仕事も家も失ったそうだ。「人の感情を動かす仕事をしてるんやね。被災者は自分のことだけではなくみんなのために動かなければならない日常があるから、そうそう泣いてる訳にもいかない。演奏後に“泣かせてくれてありがとう”って言われたり。古今東西、人間はみんな音楽が好きなんよね」
11月17日の東京 Zher the ZOO YOYOGI公演よりスタートする新作発売記念ツアーは、東北の出張ライブも共にする鍵盤奏者 リクオと2人で、東京や名古屋、京都を巡ることになる。前述通り、会場で新作『銀河のほとり、路上の花』を先行発売し、ライブでは収録曲の披露も予定しているという。中川敬が刻んできた“日常”は、どのような音楽に昇華していったのか。ぜひ会場で耳にして欲しい。
◎『銀河のほとり、路上の花』[Trailer] 中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)
http://youtu.be/PjsGhmXCZ4k
◎【中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)×リクオ ~中川敬セカンド・ソロ・アルバム『銀河のほとり、路上の花』発売記念ツアー~】
11月17日(土) 東京 Zher the ZOO YOYOG
ゲスト:BAN BAN BAZAR
11月18日(日) 東京 Zher the ZOO YOYOG
ゲスト:Dr.kyOn
11月21日(水) 名古屋 得三
ゲスト:Dr.kyOn
11月23日(金・祝) 京都 磔磔
ゲスト:山口洋(HEATWAVE)
11月24日(土) 京都 磔磔
ゲスト:BAN BAN BAZAR
11月25日(日) 京都 磔磔
ゲスト:Dr.kyOn
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取材・文 杉岡祐樹
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