2019/12/06 18:00
12月1日に千葉・幕張メッセ 国際展示場9-11ホールにて、2010年より毎年開催されているライブイベント【REDLINE】の10周年を記念した1DAY SHOW【REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~ Supported by Sammy】が開催された。
日本の様々なロックやパンク、メタルなどの計23バンドが勢ぞろいした本イベント。〈REDLINE STAGE〉〈BEGINNING STAGE〉〈BODY STAGE〉〈SOUL STAGE〉のステージに加え、〈BODY STAGE〉と〈SOUL STAGE〉共通のフィールドの中央に位置した〈RIOT STAGE〉と、5つのステージでアクトが展開された。
本イベントのトップバッターを飾ったのは、〈REDLINE STAGE〉に登場したCrystal Lake。第一音に「Matrix」をチョイスし、続けて、間髪を入れず「Mercury」が投下されれば、オーディエンスもバウンスからモッシュ、フィストアップやヘドバンまで、全員を駆使したムーブで迸る熱気に応える。 「REDLINE史上最もヘヴィな音を喰らわせる」と宣言したバンドは、その意気込みに恥じない凶悪なハードコア・ナンバー「Six Feet Under」、Djentやデスコアなど、モダンでテクニカルな音楽性も覗かせる「Aeon」をプレイ。さらに感謝と祝詞を述べたあとも、「Lost In Forever」「Appolo」「Prometheus」と、グローバルな活動で鍛え上げられたエクストリーム・サウンドで終始、昂然としたフロアを制圧し続け、日本が世界に誇る驚異のメタル・アクトを見せつけた。
〈BEGINNING STAGE〉に集まった大観衆が待っていたのは、このステージ2番手で登場したフォーリミの面々だった。サウンドチェックの時点であちこちでモッシュが起こるほどの熱狂は、大名曲「monolith」から始まった本編で大加速。その後もレーザーが宙を貫くなか、「message」「fiction」「Alien」とメロディックチューンをノンストップで繰り出す。もちろん、ドライブしまくりの演奏や、よく通るGEN(B/Vo)のハイトーンボーカルも素晴らしかったのだが、何より、ステージとフロアの間でナチュラルに成立している信頼関係、【REDLINE】という場が与える安心感、ホームだからこその緊張感……そういった要素がこの35分間をより濃密なものにしていたのではないだろうか。
このイベントで最も異質なステージである〈RIOT STAGE〉には、埼玉県越谷発の4ピース、KOTORIが登場。そのユニークなセットに対する好奇心で浮ついた心中も、「高鳴る胸に鐘をならせ」「素晴らしい世界」と疾走感のあるナンバーが続けば、エモーショナルで瑞々しいサウンドをゼロ距離で浴びる興奮が加速度的に広がっていく。そんなフロアライブじみたハイエナジーのスタートダッシュを経て、この【REDLINE】の仕掛け人、鈴木健太郎(JMS)との出会いの曲として捧げられた「19才」以降は、フロントマン横山優也が高らかに歌い上げる情緒的なメロディーに心奪われ、グッと静かに噛み締めたくなるようなパフォーマンスも素晴らしかった。
本イベント中盤の〈SOUL STAGE〉と〈BODY STAGE〉には、それぞれyonigeとtricotが出演した。yonigeの牛丸ありさ(Vo/Gt)は声を荒立てることのないタイプのボーカリストだが、その歌声は時に暴れ回るバンドサウンドを大きく呑み込み、平熱ゆえの狂気が感じられる。牛丸がギターを掻き鳴らし「さよならアイデンティティー」を歌い始めた途端、みんな心を奪われてぐっと聴き入る。最後の曲「最愛の恋人たち」を演奏すると、残響音を残したまま、メンバーは去っていった。対するtricotも、鳴り響くギターやベース、そしてドラムの中で軽やかながらも内面の深層に絡んでいく中嶋イッキュウ(Vo,Gt)の歌声が印象的だ。高い興奮の中でも、吐息すら魅せてくる中嶋の歌は違う鋭さを持ってオーディエンスに届いていた。
【REDLINE】も終盤に差し掛かるころ、〈BEGINNING STAGE〉には前日に初のアリーナツアーをさいたまスーパーアリーナで完遂したMY FIRST STORYが立った。2012年、【RED LINE BEGINNING TOUR】の東京公演でOAを務めた彼ら。「不可逆リプレイス」「Black Rail」と連打したオープニングでは、激しく情緒的なサウンドの中にそんな7年間の感慨が滲んでおり、続く「mine」や「無告」は、アリーナ規模のステージで闘う彼らの最新型アンセムで、その成長をダイレクトに感じ取ることもできた。その後、〈REDLINE STAGE〉にはクリープハイプが登場し、新曲「愛す」(読み:ブス)を披露。8ビートのベースラインと後ろに突っかけるようなビートが特徴的な、これまでにないタイプの曲だった。また、ラストの「HE IS MINE」は「今日はサガミ(※相模ゴム工業株式会社。コンドームの製造をしている)がスポンサーに入ってるから」と例の箇所を2回やる仕様。
各ステージにはトリのアーティストが出演し始める。〈BODY STAGE〉のトリには【REDLINE】最多出場を誇るCOUNTRY YARD、〈SOUL STAGE〉のトリには2010年の初開催以降、幾度も【REDLINE】のステージに上がり続け、2018年11月に約3年ぶりの活動再開を発表したEGG BRAINが登場。キャリアがある中でも、常に前へ進む姿勢を見せる2バンドは本イベントのトリを務めるにふさわしいライブアクトを披露した。
5ステージの中で最も大きい〈BEGINNING STAGE〉のトリを務めたのはMAN WITH A MISSION。「Get Off of My Way」などでは、ステージの照明が至るところに矢継ぎ早に光を照すなか、相乗効果的にMAN WITH A MISSIONのサウンドがオーディエンスにランダムな思い思いの盛り上がりを与える。ラスト2曲では思わず隣の人と歌いたくなる「Remember Me」と思わず隣の人とリズムをとりたくなる「FLY AGAIN 2019」を披露。"人間ども"に原始的な快感を持った音楽体験をもたらし、大きな連帯感を生み出したライブだった。
「これが俺らとJMSが歩んできた道のりです。俺ら以外にトリできるやつ、どこにいんだ!」——。大トリとして長い1日を〈REDLINE STAGE〉で締め括ったのは、こちらも【REDLINE】最多出場を誇るSiM。「今日の主催のJMSと世に出した曲を1個ずつやっていくぜ!」というMAH(Vo)の宣言通り、彼らは『SEEDS OF HOPE』(2011年)から『THE BEAUTiFUL PEOPLE』(2016年)まで、ほぼ全作品の収録曲を時系列順に演奏した。そのため1曲目がいきなり「KiLLiNG ME」だし、全員がその場にしゃがんで一斉にジャンプする演出を早速やるし、滑り出しから超弩級。レゲエパンクを標榜し、対極的ジャンルを剛腕でミックスするバンドサウンドの異端児ぶり。異端で独自な彼らの音楽を面白がり、世に拡めようと尽くしたJMSの誇りと気概。それらが実り、今この場所でフロア一面キッズが熱狂しているという状況。この8曲が全てを物語っていた。「俺たちがREDLINE大トリ、SiMだ! 文句あるか!」って文句なしに決まっているだろう。MAHの高笑いとバンドの轟音が痛快に響いたのだった。
Text by Billboard JAPAN
Top Photo by Takashi Konuma
◎イベント情報
【REDLINE ALL THE BEST 2019 ~10th Anniversary~】
2019年12月1日(日)
千葉・幕張メッセ 国際展示場9-11ホール
OPEN 10:30 / START 12:00
出演者:My Hair is Bad、クリープハイプ、ハルカミライ、SiM、SHANK、yonige、KOTORI、FOMARE、04 Limited Sazabys、HEY-SMITH、Nothing’s Carved In Stone、COUNTRY YARD、Crystal Lake、NAMBA69、NOISEMAKER、Northern19、SHADOWS、EGG BRAIN、FOR A REASON、tricot、MAN WITH A MISSION、MY FIRST STORY、ROTTENGRAFFTY
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