2019/11/29
2018年に逝去したジャズピアニスト/作・編曲家の佐山雅弘氏をリスペクトするアーティストが集結した【My Favorite Songs 佐山雅弘メモリアル・コンサート】が、11月16日にミューザ川崎シンフォニーホールにて開催された。
ミューザ川崎のホールアドバイザーを務め、川崎市と縁の深かった佐山氏。生前はPONTA BOXのオリジナルメンバーとしてのみならず、RCサクセションなど様々なアーティストからの信頼も厚く、本公演には15名ものアーティストが集結した。開演前には出演者から佐山氏へのメッセージが配布され、客席でもそれぞれの思い出を語り合う様子が見受けられた。
第1部のテーマは「佐山雅弘が育てた若手ミュージシャン」。高校生の時から佐山氏が、その才能を高く評価していた寺久保エレナ(As.)、馬場孝喜(G.)、中林薫平(B.)、福森康(Ds.)が登場した。まずは、寺久保にとって初のツアーであり、初のレコーディングとなったアルバム『Red Zone』より「Dead Zone」からスタート。それぞれが息を合わせながら、軽快に音を重ねていく。1曲目を終えて、寺久保は「沢山のお客様に囲まれて、少し緊張しますが」と客席を和やかに笑わせつつ、メンバー紹介。そして、馬場によるギターアレンジが光る「How High the Moon」、寺久保の艶やかなソロが魅力の「Flamingo」を披露。佐山氏との共演を通じて教えられた想いを胸に、最後は「P-Bop」(作曲:佐山雅弘)で幕を閉じた。
続く第2部のテーマは「ジャズ・ピアノ6連弾の仲間たち」。2005年、佐山氏がミューザのこけら落としで立ち上げ、その後メンバーチェンジやゲストを迎えた『ジャズ・ピアノ6連弾』のメンバーによるステージだ。2014年以降のレギュラー・メンバーである佐藤允彦、小原孝、塩谷哲が登場した。なお、デビュー頃から佐山氏と親交が深かった国府弘子も出演を予定していたが、リハーサルも行われていたにも関わらず、体調不良により惜しくも出演キャンセルに。急遽プログラムが3名に変更されたこともあってか1曲目「かわさきリボーンブルース」は、2台のピアノを3人のピアニストが入れ替わり立ち替わり演奏するというサプライズに溢れた演奏によって会場を沸かせた。2曲目からは、それぞれのピアニストが佐山氏との思い出の曲をピックアップ。小原孝は、生前に佐山氏から直筆譜をプレゼントされたという作曲:佐山雅弘、作詞:忌野清志郎による「Hymm for Nobody」を弾き語りで披露し、「限りある 生命が やがて 幕をとじても」と温かい歌声でホールを包み込んだ。そして最後は「サヤ・マンボ」。三者三様の音色を響かせながら、ピアノという楽器の持つ無限の可能性が存分に伝わった第2部が、幕を閉じた。
最後となる第3部のテーマは「佐山雅弘トリビュートバンド」。これまで、佐山氏と共演を重ねてきた三木俊雄(Ts.)、中川英二郎(Tb.)、岡崎好朗(Tp.)、川村竜(B.)、大坂昌彦(Ds.)、May J.(Vo.)、そして息子の佐山こうた(Pf.)によるスペシャルバンドだ。まずは「I remember Clifford」で幕開け。ゲストヴォーカルのMay J.は、佐山氏との出会いをきっかけに歌い始めたという「Smile」や「What A Wonderful World」を、丁寧かつ情感豊かに歌い上げた。そして本編最後は、佐山氏が初の海外レコーディングを行った「Above Horizons」。白熱したセッションで、場内を大いに沸かせた。
アンコールは、なんと全3部のアーティスト達が組み合わせを変えて登場。May J.が選んだのは「You'd Be So Nice To Come Home To」だ。久々の再会となった寺久保との演奏に、思わず「楽しかった!」と声を上げるほどの熱のこもったセッションを披露し、客席を沸かせた。そして最後に選ばれたのは、やはり佐山氏の曲をと「Love Goes Marching On」。第二部のピアニストと、息子の佐山こうたが1台のピアノを弾き合うという、この日ならではのセッションが繰り広げられ、3時間強のステージが幕を閉じた。佐山氏との出会いをきっかけに生まれた、この日のステージ。佐山氏の音楽はこれからも愛され続け、生き続けるのだということを証明してくれた一夜となった。
◎公演情報
【My Favorite Songs 佐山雅弘メモリアル・コンサート】
2019年11月16日(土)
ミューザ川崎シンフォニーホール
出演:
第1部:寺久保エレナ(As.)、馬場孝喜(G.)、中林薫平(B.)、福森康(Ds.)
第2部:佐藤允彦(Pf.)、小原孝(Pf.)、塩谷哲(Pf.)
第3部:三木俊雄(Ts.)、岡崎好朗(Tp.)、中川英二郎(Tb.)、佐山こうた(Pf.)、川村竜(B.)、大坂昌彦(Ds.)
ゲスト・ヴォーカル:May J.
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