2019/11/18 13:21
最新アルバム『アモ』が全英1位を獲得、日本ではソニー『Xperia 5(エクスペリア ファイブ)』のTVCMに出演中のブリング・ミー・ザ・ホライズン(以下BMTH)が、11月16日、17日にBABYMETAL【METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN】さいたまスーパーアリーナ公演にスペシャル・ゲストとして登場。兼ねてから交流を重ねてきた2バンドが、日本のステージで夢の競演を果たした。
これまでも度々BABYMETALのファンを公言してきたBMTHにとって、念願のステージとなった2DAYSでは、ヒット曲尽くしの約45分のセットを披露。初日11月16日公演のライヴレポートが到着したので下記にお届けする。
11月16日。BABYMETAL<METAL GALAXY WORLD TOUR>初日のさいたまスーパーアリーナ公演に、スペシャルゲストとしてBRING ME THE HORIZONが出演した。これは、8月に新木場スタジオコーストで単独ライヴを行って以来の来日公演となる。
『That’s The Spirit』、そして『amo』においてより一層明確になった、ロックバンドのオーセンティックなギターサウンドの「型」を突き破ろうとする姿勢。そうしてビートミュージックもダンスミュージックも喰らい尽くし、それに伴って幅を広げた歌のスケール感が、彼らが世界各地で受け入れられる間口となっているのは間違いないだろう。
トラップの隆盛以降ラップミュージックが現行のポップミュージックの覇権を握った時代に対応するサウンドメイク(この日の「MANTRA」でも改めて実感したが、中域の角を落とし、ウィスパーまで落とした歌を際立たせる音作りがキメ細やかだ)。さらに、そのテクスチャーに沿ったメロディの聴かせ方。双方において意識的な変化を果たした『amo』は改めて特筆すべきで、そのロックバンドを刷新する意識によって、ロックバンドのシーン自体が消失しかけている今もなお国境を超えて活動を拡大し続けている稀有な存在だ。
この日も同アルバムからの楽曲を主軸に据えたライヴでありながら、気候変動や人間の分断が最果てまで進んだ世界を舞台にしたPlayStationR4ゲーム『DEATH STRANDING (デス・ストランディング)』に提供した新曲「Ludens」で火蓋を切るあたりに、このバンドの異様な進化スピードを改めて実感する。
曲全体に通底するインダストリアルかつ無機質なビート。聴く人をハーフでジャンプさせるリズム(これもトラップを消化して以降の発想だろう)。さらに初期メタルコア時代を思わせるブレイクダウンで叩き落として肉体的なカタルシスを生んでクライマックスに向かう同曲は、世界中に蔓延する閉塞感と絶望の沸点を「落とす」ことで表現する現在のポップミュージックのトレンドに共鳴しながら、しかしエクストリームなハードコアを出自に持つ彼らでしか表現できないものも同時に提示されている。
退廃と再生がカラフルに表現されていく映像演出とともに、痛みを歌い続けてきた彼らが自覚的に「希望は消えない」というメッセージを世界へ投げかけた曲。その最新曲に自ら共鳴するようにして、ここへ集った人々へ自ら語りかけ、ステージを何度も降りては近づいて触れ合い、笑顔を見せながら熱狂と狂乱と巨大なモッシュピットを生んでいくライヴだった。
過去曲ももちろん多く披露されたが、それらが従来の鋭利なサウンドではなくアリーナを一瞬で巻き込むスケール感を誇るものにビルドアップされている点も、言葉が通じなくとも2万人以上を一瞬で引きずり上げていける要因だろう。革新を繰り返した過程と、変わらぬ肉体性。その両方が躍動し続けるライヴだった。
そのアクトで完全に着火したオーディエンスに対し、BABYMETALは、最新アルバム『METAL GALAXY』を中心にMCなしのハードコアなライヴを披露。ユーロビート、レゲトン、ボリウッド……世界中のダンサブルなリズムを食らい、マッシヴな音色と獰猛なモッシュパートを融合した同作は、まさにメタルを通じた世界の旅が音楽になっていた。
こうしてメタルの様式美自体を突き破る編成と活動がBRING ME THE HORIZONとも共鳴していることは誰もが理解しているだろう。だからこそ、これから先もこの2組の競演と、この2組が繋いだ絆によって世界規模での音楽越境が起こっていくだろう。そんな予感と高揚を放つ1夜だった。
(文=矢島大地)
今週は大阪へ移動し、11月20日、21日にBABYMETAL【METAL GALAXY WORLD TOUR IN JAPAN】大阪城ホール公演に登場する。なお、11月18日のBMTH単独公演@Zepp Bayside Osakaはソールドアウト。その勢いを益々増している。
◎ライブ写真
(c)Masanori Naruse
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