2019/10/31
フィンランドを感涙と爆笑で包み込み、【SXSW 2018】で上映されると高評価を獲得。その後、世界中の映画祭で喝采を浴びた話題作『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』が、12月27日よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかで劇場公開する。
世界最大のメタル超大国フィンランド発にして、同国映画史上最大規模の巨費を投じたメタルコメディ映画の本作。主人公はフィンランドのド田舎に住むトゥロ(Vo)率いる4人組ヘヴィ・メタルバンド、“インペイルド・レクタム(Impaled Rektum/直訳:直腸陥没)”だ。
結成12年ながらオリジナル曲やバンド名はなく、ライブ経験もない彼らだったが、ひょんなことからノルウェーの巨大メタルフェス出演のチャンスを掴む。バンド名もインペイルド・レクタムに決まり、フェスに備え地元で初ステージに挑むも、極度のあがり症のトゥロは緊張のあまりステージ上で大嘔吐する始末。前代未聞の惨劇に終わり、フェス出演も水の泡と化したバンドは敢え無く解散する。
そこへドラマーが車で事故死する訃報が届くと、自身の不甲斐なさを恨んだトゥロは奮起しバンドを再結成。3人はバンを盗み、墓地から掘り起こしたドラマーの棺桶を乗せ、新ドラマーを精神病院から誘拐し、いざノルウェーへと向う。道中、両国の警察に追われ、国境では“デルタ部隊”が待ち構えるものの、インペイルド・レクタムは夢を掴むため巨大フェスを目指す…。といったストーリーだ。
ドタバタ劇の中に潜む爆笑要素に、思わずふいてしまう場面は多々。自然に囲まれたド田舎でゆったりした時間を過ごす生真面目なメンバー達が、ハイウェイのスピード取締機を使って自らのアーティスト写真を撮る姿や、物静かな図書館員ながら白塗りブラック・メタル・スタイルへと覚醒するベーシストが、自分たちのジャンルを“終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル”と、事ある毎に説明するシーンなどは特に笑えるだろう。(コメディながら際どい表現やワードも随所で飛び出し、本作は映倫審査によりR15+指定となった様子)
また、ヘヴィ・メタルを真摯に愛するメンバー達を面白おかしく、かつメタルファンの本質を良く理解して捉えた本作は、音楽映画ながらコメディそのもの。メタルを良く知らない人へ誤解を与え得る内容ではあるが、懐が深いメタルファンならば一緒に笑って楽しめるだろう。
それこそ、劇中の音楽を担当するのはフィンランド出身のメタルバンド、ストラトヴァリウス(Stratovarius)のラウリ・ポラーであることから、“インペイルド・レクタム”が奏でるデスメタルチューンや、劇中で流れるドラマティックなメタルチューンも全て本格的。一世風靡した映画『ボヘミアン・ラプソディ』の時のように、本作を機にメタルの魅力が広まってくれたら本望だ。
ちなみに本作のサウンドトラックは現時点で日本未CD化ながら、『Hevi reissu - Heavy Trip』というタイトルでストリーミング他、デジタル配信されているので、気になった方はぜひチェックして頂きたい。ラウリの曽祖父はあのクラシック作曲家のシベリウスであることも付け加えておこう。
映画レビューサイト“Rotten Tomatoes”のTOMATOMETERで現在も93%の高評価をキープし続けている(10月31日時点)映画『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』は、12月27日公開。
◎公開情報
映画『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』
12月27日公開
プロデューサー:カイ・ヌールドベリ、カールレ・アホ
監督:ユーソ・ラーティオ、ユッカ・ヴィドゥグレン
脚本:ユーソ・ラーティオ、ユッカ・ヴィドゥグレン、アレクシ・プラネン、ヤリ・ランタラ
主演:ヨハンネス・ホロパイネン、ミンカ・クーストネン、ヴィッレ・ティーホネン、マックス・オヴァスカ、マッティ・シュルヤ、ルーン・タムティほか
原題:Hevi reissu/ Heavy Trip
提供:キングレコード+スペースシャワーネットワーク
配給:SPACE SHOWERFILMS
※<R15+>での上映
◎サウンドトラック情報
『Hevi reissu - Heavy Trip』/Various Artists
音楽:Lauri Porra(Stratovarius)
(c)Making Movies, Filmcamp, Umedia, Mu tant Koala Pictures 2018
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