2019/09/23
滋賀ふるさと観光大使を務める西川貴教が2019年9月21日、22日の2日間、滋賀県草津市の烏丸半島芝生広場で大型野外フェス【イナズマロック フェス2019】を開催。ここでは、2日目のライブレポートを紹介する。
最終日の2日目は、石田三成の甲冑姿で登場した三日月大造滋賀県知事が開会宣言。RISING ACTは東海エリア出身・在住の10人のメンバーで結成されたユニット、BOYS AND MENがつとめた。2016年のオープニングアクト以来2度目の出演となる彼らは、トレードマークである学ランをまとって元気いっぱいのパワフルなステージで「進化理論」「炎・天下奪取」などを披露。今回の出演は「西川の兄貴に直接お願いして出演権を掴んだ」という。最後はT.M.Revolutionの「HOT LIMIT」のイントロに乗って学ランを脱ぎ、黒ガムテープであつらえた「HOT LIMIT」スーツ姿に変身。「YMCA」をT.M.Revolutionにちなんで「TMCA」に変えて歌い、会場を盛り上げた。
トップバッターは2年連続で通算6回目の出演となる、西川貴教がボーカルをつとめるバンドabingdon boys school。「a.b.s.が一年振りに、この地に何かを残しに帰ってきたぞ」とライブをスタートさせた。「キミノウタ」「PINEAPPLE ARMY」に続いて「DOWN TO YOU」では、イナズマ出演11年皆勤賞のMICRO(HOME MADE 家族)もステージに登場、西川と阿吽の呼吸を見せた。ラストナンバー「JAP」まで全5曲、音の厚いパフォーマンスでバンドの実力を見せつけた。最後に西川が「来年ツアーやります」と発表すると、客席から大きな歓声が上がった。
続いてはイナズマ初登場、2004年に結成されたスリーピースバンド、打首獄門同好会。うまい棒を歌った「デリシャスティック」、おなじみの菓子をテーマにした「きのこたけのこ戦争」など、ゴリゴリのメタルサウンドにユニークな歌詞、そしてステージ両脇のモニターに映し出されるユニークなPVで、観客をあっという間に虜にする。「夏の曲と冬の曲、どっちがいいですか」と客席に意見を求めてプレイを決めた「なつのうた」、いろんな海の魚と魚料理を連呼した「島国DNA」、カバー曲「おどるポンポコリン」など全7曲を披露。幅広い年齢から愛される、バンドの魅力が全開のステージだった。9月25日には、結成15周年ベストアルバム『獄至十五』がリリースされる。
2009年結成、2014年にメジャーデビューした5人組ロックバンドのキュウソネコカミは、2015年以来2度目の出演。15時40分の出番になると激しい雨が降りはじめたが、「メンヘラちゃん」「推しのいる生活」をはじめ、今年5月に配信リリースした「ギリ昭和 ~完全版~」など、全7曲を雨に負けない高いテンションでプレイした。ラストナンバー「TOSHI-LOWさん」では、ヤマサキ セイヤ(Vo&G)が上半身裸になり、黒ガムテープで作った「HOT LIMIT」スーツ姿を披露。観客に足を支えられながら客席の上を歩く、彼らのライブではおなじみのパフォーマンスを繰り広げ、強い存在感を残した。
先週デビュー5周年ライブを行ったゲスの極み乙女。は、2016年以来2度目の出演。独特なポップセンスを持つ楽曲に、ちゃんMARI(Key)が奏でる鍵盤が独特の奥行きを出す。川谷絵音(Vo)は「T.M.Revolutionは姉のカセットテープに入っていたアーティスト。音楽を好きになったきっかけだった。呼んでいただいて感謝しています。西川さんのファンの前でプレイできること、姉が一番驚いています」と話した。実は2016年のイナズマは、ゲスの極み乙女。の出演直後に会場付近に雷雲が発生し、ここでイベントが中断、中止となった。「(あの時)僕らで終わっちゃったのがすごく気まずくて。今日は最後まで楽しんで」と、「猟奇的なキスを私にして」「ロマンスがありあまる」をはじめ、6曲をプレイ。最後は「キラーボール」で客席を揺らし、無事に次のバンドにバトンを繋いだ。
2日目に出演予定だったGRANRODEOは、メンバーのKISHOW (谷山紀章)の怪我でキャンセル。急遽代わりに出演することが決定したのが、西川貴教である。1日目と同じ衣装、同じ曲順ではあるものの、パフォーマンスはさらに進化、ますます攻めたプレイで聴かせる。西川は、途中で雨がパラパラと降ってきたのをものともせず、雨雲を動かすほどの力強い歌声で「この雨、最高の俺への演出だろ」とニヤリと笑ってみせた。そして「来るはずだったGRANRODEOの分まで暴れさせてもらいます」「GRANRODEOがいてくれないのが本当に寂しいですが、治して戻ってきて」とエールを送った。
続いては2011年以来、2度目の出演となったミクスチャー・ロックバンドのDragon Ash。暗くなった空のもと、楽器と声が奏でる音楽に、ダンサーメンバーのDRI-VとATSUSHIが感情を体現してゆく。「AMBITIOUS」から始まり、「Mix it Up」、hideのカバー曲「ROCKET DIVE」のほか、7月配信の最新曲「FLY OVER」など全7曲を披露、客席もパフォーマンスを受けて思い思いに体を揺らした。本番前、Kj(V&G)が西川に「ご迷惑をおかけしました」と伝えたところ、「いいんだよ、待ってた。迷惑かけたと思うなら、いいライブで返して」と言われたエピソードも披露。「誠心誠意、身を削ってやらせてもらう」とパワフルなステージを届けた。
2日間の大トリを飾るももいろクローバーZ は、3年ぶり4回目の出演。客席に無数のメンバーカラーのペンライトが輝く中、太い歓声に迎えられて登場した。キュートな声に力強いダンスの「労働賛歌」や「サラバ、愛しき悲しみたちよ」、ロックなパフォーマンスを見せる「あんた飛ばしすぎ」、しっとりした歌とクールなダンス「天国のデタラメ」、代表曲のひとつ「走れ!」など全7曲をノンストップでプレイ。会場を熱く盛り上げ、一つにした。
アンコールで「笑ー笑」をプレイしたあと、高城れにが「今日のビッグイベント、私たちが大トリってキツくない? 神様……あの人の夢を見させて…」と天に祈ると、T.M.Revolutionのバラードナンバー「Meteor -ミーティア-」のイントロが始まり西川貴教が登場。歌い上げる西川の周りでももクロのメンバーがしっとりと踊るコラボレーションが実現。客席からも大きな歓声が上がった。西川が「(大トリを)この4人に頼んで本当によかったです。せっかくなんで、もう1曲やらせてもらっていいですか」と、会場に残っていたMICRO、BOYS AND MEN、打首獄門同好会、キュウソネコカミもステージに呼び込み、毎年イナズマのラストを飾っているナンバー「Lakers」を全員でプレイ。最後には西川がBOYS AND MENのメンバーに胴上げされるというハプニングもあり、西川本人もびっくりしたようだった。
時折雨の降る曇り空の2日間ではあったが、出演者が退場した後の空には大きな花火が打ち上がり、無事に2019年のイナズマは幕を閉じた。
西川はイベント終了後に「決意と覚悟のDay1 宿命と試練のDay2 それぞれに、それぞれしかないドラマがありました! 出演いただいたアーティスト、芸人、パフォーマーのすべての皆様、 関係者、スタッフの皆様、そしてお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。」とツイートした。
9月30日から始まる2019年度後期のNHKの連続テレビ小説『スカーレット』に出演する西川。滋賀県が舞台となるドラマで、役者としても地元を盛り上げていく。
TEXT:フジタアヤコ
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