2019/09/16 12:00
毎週入れ替わりの激しいHot100だが、激戦をかき分けるようにしてmiwaの「リブート」がじわじわとチャートを上昇し続けている(【表1】)。この曲は7月19日から始まったドラマ『凪のお暇』の主題歌として発表され、8月2日に先行配信が開始。8月14日にフィジカルのCDがリリースされた。
チャートの変遷を見ると、配信タイミングの8/12付では43位だが、翌週は25位まで上昇。さらにその翌週8/26付ではCDリリースタイミングということもあって、14位まで浮上した。9/2付でいったん20位に落ち着いたが、先週9/9付では16位、そして今週は15位となっている。通常はゆるやかなカーブで下降してもおかしくないのだが、この曲に関しては非常に粘り強いという印象を受ける。
その理由のひとつとして、ドラマ・タイアップの影響は大きいだろう。miwaはこれまでもドラマやアニメを始め多くのテレビ番組に楽曲を提供してきた。それは彼女の楽曲のハマり具合の良さゆえだろうが、今回もドラマの内容にうまくマッチした結果となり、視聴者の共感を得ていることが予想される。なぜならば、チャートの構成要素でいうと、ストリーミングと動画再生数が安定して上昇しているからだ。これらは比較的グレーユーザーの比率が高いが、逆に言えば楽曲がひとり歩きし始めているともいえる。ストリーミングでは20位台からじわじわと9位にまで上昇したし、動画再生数は急激に伸びて、先週の51位から一気に29位にまで浮上した。
ドラマは9月末までの放映なので、その後どこまで伸ばせるかというのは大きな鍵となる。ドラマでの実績をもとに、テレビ番組やラジオ、またはウェブ上も含め、どれだけチャート上で上位をキープするのかは、本人の発信とプロモーションの手法にかかっている。すでに新曲のアナウンスもあったこともあり、miwa本人の話題性は尽きないが、「リブート」を自身の代表曲として定着させるには、もうひと踏ん張りといったところだろう。せっかく激戦のなかここまで来たのであれば、さらに手厚くプロモーションを広げて頑張ってもらいたいと思う。Text:栗本斉
栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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