2019/08/12
いよいよヒゲダンことOfficial髭男dismの勢いが止まらなくなってきた。今週のHot100では、2位に「Pretender」、7位に「宿命」、19位に「ノーダウト」という3曲に加え、100位以内に5曲ランクイン。昨年4月リリースのアルバム『エスカパレード』も29位にまで再浮上している。こういったアーティスト全体が盛り上がりつつある現象は、星野源、米津玄師、あいみょんなどにも通じ、すでにトップアーティストの仲間入りを果たしたといっても過言ではないだろう。
とりわけ「Pretender」の動きは特筆すべきだ(【表1】)。この曲は5月15日のCDリリースに先駆けて、4月17日に先行配信されているが、4/29付で早くも26位にまで上がってじわじわと上昇を続け、フィジカルのリリースタイミングである5/27付で一気に3位にまで浮上。そこからは多少の上下はあるものの安定したチャートアクションとなっており、今週の時点で13週連続トップ10入となっている。
この動きを見ていて感じるのは、フィジカルのCDと実際のチャートとのギャップだ。CDに関しては最高位が9位で、その後はじわじわと下降してるので、けっしてCDが売れているわけではない。ただ、ストリーミングは圧倒的な強さで、なんと11週連続1位を記録している。勢いは一向に衰える気配はないし、新曲「宿命」との相乗効果でまだまだこのまま突っ走っていくだろう。加えて、ダウンロードや動画の再生数なども安定して上位をキープしていると同時に、6月中旬からはカラオケのポイントもアップ。5週連続3位となっているのも追い風となっていることがわかる。
こういった一連の動きは、あいみょんの「マリーゴールド」にも近い。この曲も同じような手順を踏んでブレイクしていったし、ストリーミングにおいては50週以上もの間ベスト5をキープ中でまったく衰えが見えないのだ。もちろん、ストリーミングだけでヒットを作るのは難しいが、様々な要因をストリーミングに集約するというのは、今ヒット曲を作る上では定石ともいえる。「Pretender」が今後どのようにして息の長いヒット曲に成長していくのか、じっくりと見守りたいと思う。Text:栗本斉
栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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