2019/07/06 12:00
ユニコーンが開催した日本武道館2Daysのオフィシャル・ライブレポートが到着した。
4月から12月までで39箇所・50本を回る、ユニコーンの100周年ツアー(再始動から10年+ABEDONが加入した『服部』から30年+川西幸一生誕60年=100周年)『百が如く』。その前半の山場を迎える、日本武道館公演が、7月3・4日の2日間に渡って行われた。
3月27日発売のニューアルバム『UC100V』を携えてのこのツアーは、ユニコーンが結成以来初めてツアーで訪れる奈良県(6月23日・なら100年会館)や、沖縄のみの特別公演として、MONGOL800との対バンで行う野外ライブ(8月31日・沖縄宜野湾海浜公園屋外劇場)や、川西幸一と手島いさむの地元、広島県呉市(10月12&13日・呉信用金庫ホール)など、「100周年」ならではの開催地も含まれている。
『働き方改楽 なぜ俺たちは楽しいんだろう』というスローガンを掲げたこのツアーは、事前からメンバーが「100周年だから100分で終わる」と宣言。開演から100分が経つと『服部』のオープニング曲である「ハッタリ」が鳴り響き、その時点で強制的にライブが終了する、というルールで、前半の26本を回った。
7月3日の日本武道館1日目は、「10Nuts」をSEに使ったのをはじめ『UC100V』から9曲、それ以外の再始動以降の曲が4曲、解散前の曲は「働く男」「自転車泥棒」「ヒゲとボイン」の3曲、というセットリスト。中盤では、『服部』の「ジゴロ」「服部」「デーゲーム」「パパは金持ち」「人生は上々だ」「君達は天使」をメドレーで聴かせるコーナーも設けられ、超満員のファンを喜ばせた。
また、この日は、先行配信リリースされたばかりの新曲であり、8月28日にシングルCDが発売される、映画『引っ越し大名!』の主題歌である「でんでん」を、ライブで披露した。「みなさん、歌えるとこは歌えると思うんで」と、奥田民生がやんわりとシンガロングを求め、オーディエンスがそれに応える。
『UC100V』は、EBIがボーカルの曲はABEDON・奥田民生がベース、川西幸一がボーカルの曲はABEDONがドラム、というシフトで作られていたが、ライブでもそれをトレース。EBIがアコースティック・ギターを手にして歌う「大航海2020」ではベースをABEDONが、川西幸一がハンドマイクでステージの端から端まで行きながら歌う「気まぐれトラスティーNo.1」ではドラムをABEDONが務める。曲が終わり、疲労困憊のABEDONを、川西がハグしてねぎらった。
左右に振られる手旗で客席が埋まり、ステージから金テープが発射された「SAMURAI 5」(“ちょっと”【待】【侍】【持】の3種のABEDON仕様の小旗が販売された)、ABEDONの弾くイントロで会場が湧いた「ヒゲとボイン」、曲の前半は打ち込みのダンス・トラックで、途中からバンドの生演奏に変わる「ZERO」、の3連打で、本編が終了。
時間節約のため、メンバー同士でハグしたりハイタッチしたりして「いったん終わった感」を表し、ステージから去って戻ってくる段取りを省略する5人。そしてアンコールでプレイされたのは、「10周年」の再始動アルバム『シャンブル』の1曲目、ABEDONが作詞作曲し奥田民生が歌う「ひまわり」だった。ステージ後方の画面に、『シャンブル』のジャケットのロウソクが燃え続ける映像が映し出される。
その後は、銀ラメジャケットを着たABEDON曰く「100分の残りの時間をユニコーンと遊びたい」のコーナー。「英語禁止」というルールで、メンバーひとりひとりに今日の感想を言わせる、失敗したら感電、という、ゆるく楽しいトークがくり広げられた。
フジテレビTWOで完全生中継も行われた、日本武道館2日目の7月4日は、3曲目が「あなたが太陽」から「風と太陽」に、7曲目が「うなぎ4のやきとり1」から「1172」に、13曲目が「すばやくなりたい」から「頼みたいぜ」に変わっているのが、セットリストにおける1日目との相違点。
SEの「10Nuts」に合わせてメンバーが歌い、奥田民生が鳴らすハト時計から始まる「OH! MY RAD10」で、ライブがスタート。「働く男」のブレイク部分で奥田民生が「はい!」と呼びかけると、オーディエンスから大きなシンガロングが起こり、3曲目「風と太陽」では手島いさむがシンセを弾く。なお手島、「365歩のマッチョ」では、ギターを提げたままハンドマイクで左右に移動しながらボーカルをとり、間奏になるたびにサッとマイクを脇の下にはさんでソロを弾く、という技を見せた。
最初のMCで奥田民生、「今日は100周年を記念しておりますので、お客さんちょうど100人! 100人とは思えない歓声です!」と、今日も好調。「1172」の後に1階席から飛んだ「ABEDONありがとうー!」という声に、「おい! 俺が歌うたんじゃ!」と瞬時に返し、武道館が爆笑で包まれる一幕もあった。
後半の「SAMURAI 5」のブレイク部分での、ABEDONの持つ旗の、「ちょっと待て」の「待」の字が「持」、次は「侍」になっている、それを奥田と手島に持たせて遊ぶ、という小ネタのコーナーで、今日はABEDON、突然「VW」と書かれた旗を持ち出す──というくだりから、10月2日にニューアルバム『UC100W』をリリースすること、10月から始まるツアーの後半日程はその新作も携えて回ることを、発表する。驚きに包まれる日本武道館。「内容は?」と民生が問うと、ABEDON「内容は、まだないよう」。これからレコーディングする、とのこと。
本編ラストの「ZERO」を歌い終えた時、ABEDONは「サンキューありがとう! 武道館、愛してるぜ!」と叫んだ。アンコールの「ひまわり」が終わり、ステージを去る時に、ABEDONはカメラマンを呼び込み、武道館の天井の日の丸をバックに写真を撮った。
30年前、『服部』のツアーで初めてワンマンを行って以降、何度もステージに立ってきた思い出深い場所であり、ビートルズやレッド・ツェッペリン等が公演を行ってきた伝統ある会場である、この日本武道館が、改修工事のため2019年9月から約1年間使用できなくなること惜しみ、感謝の意を届けているようだった。
「気まぐれトラスティーNo.1」でABEDONがドラムを叩く時、スティックの代わりにネギを持つ→大根を持つ→というボケを差し込んでいたが、1日目も2日目もそこに「竹刀を持つ」を追加していたのも、日本武道館へのオマージュだと思われる。
これ以降、ユニコーンは『UC100W』のレコーディングに突入。8月28日には「でんでん」を含むニューシングルを発売、8月31日の沖縄野外ライブを経て、10月2日にニューアルバム『UC100W』をリリース、10月5日東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールから、ツアー『百が如く』の後半日程に突入する。
TEXT:兵庫慎司
PHOTO:三浦憲治&チームライトサム
◎セットリスト
【ユニコーン100周年ツアー「百が如く」】
2019年7月3日(水)日本武道館 Day1
SE 10Nuts
01. OH!MY RAD10
02. 働く男
03. あなたが太陽
04. 大航海2020
05. 365歩のマッチョ
06. 気まぐれトラスティーNo.1
07. うなぎ4のやきとり1
08. 自転車泥棒
09. でんでん
10. 服部メドレー
11. 青十紅
12. 55
13. すばやくなりたい
14. SAMURAI 5
15. ヒゲとボイン
16. ZERO
ENCORE
01. ひまわり
2019年7月4日(木)日本武道館 Day2
SE 10Nuts
01. OH!MY RAD10
02. 働く男
03. 風と太陽
04. 大航海2020
05. 365歩のマッチョ
06. 気まぐれトラスティーNo.1
07. 1172
08. 自転車泥棒
09. でんでん
10. 服部メドレー
11. 青十紅
12. 55
13. 頼みたいぜ
14. SAMURAI 5
15. ヒゲとボイン
16. ZERO
ENCORE
01. ひまわり
◎リリース情報
アルバム『UC100W』
2019/10/2 RELEASE
<初回生産限定盤(CD+DVD)>
KSCL-3188~89 4,800円(tax out)
<通常盤(CD)>
KSCL-3190 3,000円(tax out)
2019/11/6 RELEASE
<アナログ盤>
KSCL-6210 3,500円(tax out)
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