2019/06/24 15:15
2008年にユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの大規模火災により、約50万曲分の貴重なマスター・テープが焼失していたとされる問題で、複数のアーティストやアーティストの遺産管理団体などがユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)を相手取り推定集団訴訟(putative class action lawsuit)を起こした。
提訴したのはサウンドガーデン、故2パック(トゥパック・シャクール)の遺産管理団体、故トム・ペティの元妻ジェーン・ペティ、ホール、スティーヴ・アールだ。UMGに支払われた全ての賠償金と保険金の半分、またこれらの賠償金や保険金によって補償されなかった損失額の半分を回収することを求めている。訴状によると、焼失したマスター・テープの価値を補てんするために火事後にUMGに支払われた賠償金や保険金は1億5,000万ドル(約160億円)にのぼったとされるが、アーティストに分配されることはなかった。
訴状には、「UMGはその巨額の回収金を原告側から隠し、裁判所に提出した書類や極秘の和解契約に真実を埋没させることでそれを全て独り占めできるとどうやら考えていたようだ。さらに重要なのは、レコーディング契約の条件により、これらの収益金や支払金の50%を受け取る資格が(原告側に)あるにもかかわらず、UMGはその回収金を、火事でライフワークが破壊された原告側と全く共有しなかった」と記載されている。
また、UMG側が“不当表示や不当説示の組織的で詐欺的な仕組み”を通じてマスター音源の喪失を隠蔽しようとしていたと主張し、当時の報道記事などを引き合いに、同社の広報担当者たちが火事による損害を大幅に矮小化する声明を出していたと指摘している。
また、“類似エリアが1990年に起きた類似火災で破壊された”にもかかわらず、“火災時に避難が困難な建物であるユニバーサル・スタジオのバックロットの倉庫に、マスター音源を保管するという怠慢”によりアーティストをケアする義務にUMGが違反したと原告側は訴えている。皮肉なことに、過去にUMGがバックロットの貸与業者NBC Universalに対して起こし、2013年に和解した訴訟でも、怠慢による火災被害の拡大を訴える類似の主張がなされていた。
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