2019/06/19
夏が近づくと身体が欲する音楽がある。海を見るとカラパナが聴きたくなる。70年代を代表するハワイ結成の元祖サーフ・ロックバンド、カラパナが来日しており、6月16日・17日の2日間、ビルボードライブ大阪でライブを行った。
昨年末、オリジナル・メンバーのマラニ・ビリュー(vo)がこの世を去るも、バンドはその意志を引き継ぎ、今も尚精力的に活動を続けており、バンドとしては昨年7月以来の来日となる。
波の音のSEにのってメンバーがステージに登場し、フロアに「アロハ!」と呼びかける。「アロハ!」という声と共に大きな拍手で応えるオーディエンス。波音に揺られながら、夜の闇を緩やかに彩るハワイアンビートがスタート。序盤ではサポート・メンバーのジョニー・バレンタインがボーカルを取り、ステージを美しく彩った。(ちなみに彼はブルーノ
・マーズの叔父にあたるそうだ)
中盤では「スペシャルゲスト!」とボーカリストのアルデン・レヴィが登場。プロデューサーとしてレイラニ・リベラ・ボンド、ライアテア、アネライカラニを手掛け、ハワイアンミュージックをリードするミュージシャンとしても名高い、彼の歌声がオーディエンスを魅了した。波間をたゆたうようなスムージーなAORサウンド、ある時は眩いハワイの青空を思わせるような華やかなロックナンバーまで、鮮やかかつハートウォーミングに聴かせるステージングはカラパナならでは。曲を経る度、大きな拍手とメンバーを呼ぶ声がフロアから沸き起こる。
後半では、サノ・ケンジ(ba)がマラニについて話す場面も。かつてマラニが立っていた中央のマイクには2日目の公演では赤いレイがかけられており、サノ曰く、足元にはマラニが好きだった某外食チェーンのテイクアウトも置かれていたそうだ。そんなユニークな一面を垣間見せつつ、生前のマラニが日本のファンを愛していたことを伝えると、フロアではそっと目尻を拭う人の姿も見られた。
そしてステージ後方にスクリーンが登場し、マラニの姿が投影される。在りし日のマラニの歌声と共に演奏するメンバーの目には、時に涙が浮かびながらも、それでもバンドとして歩み続けることを選んだ、強い決意が宿っていた。マラニと培ってきた年月、育んできた音楽を愛し、そして守りながら、これからも「カラパナ」として音楽を生み出し続けることを誓うかのような生命力あふれるパフォーマンスに、メンバーがステージを降りた後も惜しみない拍手が送られた。
カラパナは本日6月19日・20日の2日間、ビルボードライブ東京で公演を行う。新たな歴史を刻み始めた「カラパナ」のサウンドを、爽やかなハワイの風をぜひ感じて欲しい。
Photo by Kenju Uyama
Text by 杉本ゆかり
◎公演情報
【カラパナ】
2019年6月16日(日)・17日(月)※終了
ビルボードライブ大阪
2019年6月19日(水)・20日(木)
ビルボードライブ東京
1st ステージ 開場17:30 開演18:30
2nd ステージ 開場20:30 開演21:30
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