2019/06/10 19:15
2019年6月4日、東京・新木場スタジオコーストにて眉村ちあきの【3rdワンマンライブ「東京湾へダイビング!」】が開催された。
「弾き語りトラックメイカーアイドル」というユニークな肩書きを持つ眉村。その肩書きが持つ全方位感、平たく言えば「何でも“ひとり”でこなしてしまう」感が、とても印象的なライブだった。ライブ冒頭から「恐竜と戦う」というストーリーがあったり、曲によってはキッズダンサーや、詳しくは後述するが、大掛かりなセットや豪華ゲストも登場し、フロアの真ん中には孤島状のセカンド・ステージなどもあったものの、基本的には眉村ひとりだけのステージ。カラフルなライティングも含めて、そんなことを全く忘れさせてしまうような、エネルギーと楽しさに溢れたステージであると同時に、“ひとり”の眉村と、その歌でしっかりと繋がるようなパーソナルな感触も残る、不思議なライブだった。
序盤「ほめられてる!」では、前述のキッズダンサーたちが活躍。一方でバンド等は一切おらず、ステージ上に置かれたPCで自らのトラックを再生し、それに合わせて眉村も踊り歌う。「スクワットブンブン」ではトラップ調のベースが強調されたトラックに乗せて、観客と一緒に眉村も肩を大きく回す。「荻窪選手権」ではクリトリック・リスことスギムがゲスト出演。その直前に眉村も宙吊りにされたリフトに吊り上げられて、空中で月役として舞った。
そうした賑やかな演出の曲と対照的に、しっかりと歌い上げるタイプの曲でも会場を魅了した。ギターの弾き語りで届けた「おじさん」などはその代表的な一曲。 声量が大きく喉を震わせるように歌う眉村は破天荒なイメージとは真逆の、本格的なシンガーソングライターとしての器量の大きさを感じさせた。もちろん、自ら作曲やトラックメイクも行い、ハイパーなサウンドを届けるクリエイターとしての顔と、よりアコースティックなパフォーマンスでも魅せられるポテンシャルの高さの両方が備わっていることが、いまの眉村のアーティストとしての強みと直結していることは間違いない。その才能が今後どのような道筋を辿るのか、非常に興味深く感じるライブでもあった。
そして何より「パーソナルな感触」を感じざるを得なかったのは、彼女がステージ上で観客に語った言葉の数々からだ。眉村はこの日何度も「大好き!」と連呼していた。それは2,000人規模の会場で演奏を届ける「アーティスト」の言葉としては、無防備に感じられるほど真っ直ぐに響いていた。ステージで眉村は「言葉では上手く伝えられないから歌を歌っている」ということを語っていたが、コミュニケーションへの飽くなき欲求や希望が、その表現力の根底にあることが痛いほどに感じられるステージだった。それはこの日披露された楽曲たちの振り幅が非常に大きく、眉村があらゆる方向の表現を模索しているのだろうと感じられたことと同じように、誰も置き去りにしない、というメッセージとしてさえ捉えられるように思えた。彼女が言う「もっと売れたい」という言葉をファンの誰もが寂しく感じているように見えなかったことは、きっとそんな信頼感があるからなのだろう。
それを観る人たちが元気をもらえるような気持ちの良いライブを届けた眉村ちあき。その模様は7月21日(日)に日テレプラスで放送の特番『眉村ちあき。~上には上がいるけど、私いじょうに私はいないし!~』でオンエアされる。さらに今後、9月20日大阪・BIG CATと10月21日東京・リキッドルームでの新たなワンマンライブも控える。文字通り先の読めない才能。その一挙手一投足から目の話せない日々が続きそうだ。
Photo:I.ITO・KOHARU
◎公演情報
【3rdワンマンライブ「眉村ちあき 3rd ワンマンライブ~東京湾へダイビング!~」】
2019年6月4日(火)東京・新木場スタジオコースト
【眉村ちあき BIGCAT -BIGLOVE-】
2019年9月20日(金)大阪・BIGCAT
【眉村ちあき LIQUIDROOM -過剰なダブルピース-】
2019年10月21日(月)東京・恵比寿LIQUIDROOM
◎テレビ番組情報
日テレプラス『眉村ちあき。~上には上がいるけど、私いじょうに私はいないし!~』
2019年7月21日(日)22:30より
URL:https://www.nitteleplus.com/program/music/mayumurachiaki.html
◎リリース情報
アルバム『めじゃめじゃもんじゃ』
2019/05/07 RELEASE
TFCC-86657 3,000円(tax in.)
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