2019/05/31 17:11
6月には和楽器ユニットとコラボレーションする世界遺産ライブを控えるピアノトリオバンド“H ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)”が、アルバム再現ライブ2daysを5月28日、29日の2日間に渡ってBillboard LIVE TOKYO で決行した。
「完全なる試聴」と謳われたこのLIVEパッケージは今までに2015年の2ndアルバム『Beautiful Flight』と2017年の3rdアルバム『PIANO CRAZE』で開催されてきた。アルバムの曲順通りにライブを行うというこの少し変わった企画のライブは、毎回即完売する人気企画だが、今回は2日間に渡って開催され、1日目は最新作『Mysterious Superheroes』、2日目はなんと彼らのデビューアルバムである『★★★(三ツ星)』を再現するというスペシャル企画となった。
今回も即時ソールドアウトだったこの企画のライブレポートをお届けする。
1日目は昨年3月にリリースされた最新作『Mysterious Superheroes』。昨年はリリースツアーに始まり、ツアーファイナルには日比谷野音、追加公演は中国と台湾で開催され、夏には全国のフェスというフェスに出演。そして年末のホールツアーと、数多くのライブを経て、円熟味を増した収録曲がどのような姿となって届けられるのか、その瞬間を目撃しようと集まった会場には大きな期待が溢れていた。
東京の高層ビル群を一望できる大きな窓のカーテンが音もなく閉まり、会場の照明が落とされるといよいよ開演。メンバーがCDジャケットと同じ衣装で登場すると、その粋な演出に会場からは歓声が起きた。前述のとおり、このライブは“アルバム完全再現ライブ”ということで、もちろん1曲目はアルバムの1曲目「Mysterious Superheroes」。いきなり3人のパワフルな演奏が鳴り響いた。
続いて「What’s Next」、「Z ディスカバリー」と続く。曲順はアルバム通りなのだが、何かをなぞっている様子はみじんもなく、全ての曲が新鮮な響きで届いてくる。この感覚こそが彼らのライブの醍醐味だ。
即興性の高いアレンジが息つく間もなく繰り出され、MCも無くどんどん進んでいく演奏に客席は大盛り上がり。歓声と拍手が絶えないうちにラストの「MESHI KUTTTE YEAH!」へ突入した。
アンコールで再びメンバーが登場すると背景のカーテンがおもむろに開き、夜の暗がりに浮かび上がった六本木の夜景をバックにアルバムの“EXCITING FLIGHT”盤収録のボーナストラック「Playin’ Swingin’!!! H ZETTRIO!!!」が始まった。時が経つのを完全に忘れさせる、怒涛の70 分で観客を魅了した。
そして翌日は注目の『★★★(三ツ星)』再現ライブ。2013年12月にリリースされたデビューアルバムを今の彼らが演奏するとどうなるのか?まだバンドのスタイルも決まっていない頃の音源が、6年の時を経て成長したバンドによって再現されると、どのようなコトになるのか?ファンならずとも大きな期待が寄せられる企画だ。
昨日と同じように登場した3人だが、なんと活動初期の衣装で登場。コアなファンからは大きな歓声があがった。すでに大きな興奮が渦巻き始めている中、アルバムと同じように「みんなのチカラ」からライブが開始。出だしから、即興アレンジ満載で、自身の曲の成長した姿を魅せるH ZETTRIO。後にMC で語られたが、本人たちにとっても久しぶりに演奏する曲もあり、かなり新鮮な感覚だったそうだ。
デビュー当時から大きく進化した面もあれば、最新楽曲と比べても変わらないものを感じさせる面もある。バンドの魅力が改めて現れる演奏に客席には終始、興奮と感嘆の空気が溢れている。
「PARTY TIME」や「世界は廻るよ」では怒涛のソロ回し。「黄昏ウィークエンド」ではシックな空気で魅せる。ラストの「YOU」ではその美しいメロディーが客席を包み、会場は幸せな空気で満たされた。
この日も満員の会場からのアンコールに応えたH ZETTRIO。MCで、本当はデビューアルバムの衣装で登場したかったようだが「服というのは置いておくだけで縮むんですね」と笑いを取る。そしてデビューアルバムとの対比として、最新作を演奏。今年は1月から12か月連続でシングルを配信・リリースしている彼らだが、1部のアンコールでは5月1日に配信された「Virtual World (Jazz)」、2部では6月1日にリリースされる「気分上々 - Woo - he !! - 」を披露。バンドの進化というものをまさに体感できる、1日だけの特別な夜は大興奮の中、幕を閉じた。
次回の彼らの公演は、つい先日発表され話題を呼んでいる【「響」× 「娯」世界遺産
奉納コンサート THE SOUNDS OF JAPAN】だ。
これは、今年2月にバンド史上最大規模で開催された静岡グランシップ公演での共演も記憶に新しい、伝統と革新の和楽器演奏ユニット「AUN J クラシック・オーケストラ」との世界遺産でのコラボレーションライブとなっている。
6月29日には福岡県 宗像大社、7月28日には奈良県 金峯山寺蔵王堂と日本が世界に誇る世界遺産でジャズと和楽器という前代未聞のコラボレーションライブを繰り広げる。この特別な企画は日本最大級の訪日外国人向けポータルサイト“MATCHA(マッチャ)”にてYoutubeライブ配信が決定しており、全世界に向けて発信される。
それらが終わるとすぐに7月から年末まで全国25か所を回るホールツアーも決定しており、すでに完売の会場も出ているという。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの彼らの力強い演奏を是非生で体感してみてはいかがだろうか。
写真撮影:Yuta Ito
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