2019/05/20
H ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)のピアニスト“H ZETT M”が5月18日と19日、【ピアノ独演会】をそれぞれ愛知県岡崎、東京オペラシティで開催し、2日ともチケットはソールドアウト。大盛況のうちに幕を下ろした。
“無重力奏法”と評され、ピアノの概念を覆し続けてきたピアニスト/作曲家/エンターテイナー、H ZETTM (エイチ・ゼットエム)。不定期で開催している“ピアノ独演会”は、その唯一無二の音楽世界を余すところなく味わえる貴重な機会とあり、どの公演もチケットの入手は困難だ。開催の度に好評を呼び、全国各地から開催オファーが殺到。先週末18日、愛知県岡崎市シビックセンターでの【ピアノ独演会 -三河国の陣-】も発売と同時に即完売。翌日19日の東京オペラシティ コンサートホールも発売後すぐに完売した。
今回は東京オペラシティ公演のライブレポートをお届けする。
日本最高峰のホールということもあり、会場には正装で着飾った男女が多く見られる。しかし、その鼻はH ZETT M のトレードマークと同じく青くペイントされているのが面白い。いつものオペラシティでのコンサートとは違う雰囲気が会場を漂う。
その特徴的で美しい内装のホールに丸に“独”と書かれたのれんが揺れている。その異様な雰囲気はまさにこれから奏でられるH ZETT Mの独特の世界観を現しているようだ。
客席の灯りが落ちると、割れんばかりの拍手の中、H ZETT Mが登場。なぜか髭をつけて登場し、挨拶がわりのおどけた仕草に客席からはさっそく笑いが起きる。どんな会場でもそのスタイルを崩さない、彼らしい演出だ。しかし、和やかな空気で始まるのかと思いきや、鍵盤に手を置いた瞬間に空気は一変。張り詰めた緊張感が一瞬にして広がり、ループマシンを駆使し、演奏重ねていく「極秘現代」。会場は一気にその世界に引き込まれていく。
そして、「踏み出すニュー」へ。鍵盤の上を自由に行き来するその指先に目を奪われていると、童謡「アイアイ」の聞き馴染みのあるメロディーが。一筋縄ではいかない。これがH ZETT M ピアノ独演会だ。
続いての「争う不可思議」では、見慣れないサンプラーを使って演奏。ピアノとシーケンスの絡みが心地よい。短い新曲(?)を挟んで「大西洋レストラン」「雫の模様」と進み、「ランドスケープ」へ。美しいメロディーが会場を包み、オペラシティの夜が極彩色に彩られていく。そして「Wonderful Flight」と自身が所属するH ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)の楽曲も披露。MCで本公演は2部制であることを伝え、「その瞬間」で一部は終了。15 分の休憩が取られた。
この休憩が明けるとステージはその様相を全く変えていた。トレードマークののれんも、サンプラーも、スピーカーすら無い。まさにピアノ一台だけがステージに残された状態。いよいよ「ピアノ独演会」の真骨頂だ。H ZETT Mが颯爽と登場し、鍵盤に手を置くと、これまで以上に緊張と期待が混じった空気が会場に広がる。「高貴な連帯」で始まった第2部は独特のタッチとその早い指運びで、会場が音で埋め尽くされていく。
「水の流れ」「炎のランニング」「嬉しさを抱きしめて」まるで何かに取り憑かれたかのように鬼気迫る勢いで鍵盤を叩く。「つなぎとめて」が終わり、次の曲が最後の曲と伝えられると会場からは「え~っ!」と声が上がる。時が経つのを忘れさせるほどの演奏はバッハのメロディーから、と思いきや「暴れん坊将軍」のフレーズを挟むなど、音楽に新たな気づきを与え、どんな楽曲も自分のものにしてしまう彼のセンスは本当に面白い。
そのまま「新しいチカラ」へと続き、ピアノ独演会は本編が終了。アンコールでは「Brick & Glory」から「すりぬける」へ続くメドレーで【ピアノ独演会 -オペラシティの陣-】は幕を閉じた。
最高峰のコンサートホールを経て、さらに進化するであろうピアノ独演会。次回は6月2日に香川県高松レクザムホールで四国初開催を控えている。
◎公演情報
【ピアノ独演会2018 秋 -初四国の陣-】振替公演
2019.6.2(日)
会場:香川県県民ホール レクザムホール
OPEN 16:00 / START 17:00
チケット:前売 \5,000
※全席指定、tax in
※3歳以下入場不可、4歳以上チケット必要
チケット発売中
お問い合わせ : DUKE 高松 087-822-2520
◎ライブ写真撮影
Yuta Ito
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