2019/05/07
来年デビュー30周年を迎える国内最古のクイーン・トリビュートバンド、GUEENが5月5日、東京渋谷・TSUTAYA O-EASTにてワンマン・ライブを開催し、集まった1000人のオーディエンスを抱腹絶倒の渦に包み込んだ。
先日、幕張メッセで開催されたクイーン・トリビュート・イベント【A NIGHT AT THE MAKUHARI】にも出演し、日本のトリビュート・バンドの実力を見せつけたGUEEN(グイーン)。クイーンのスタジオ録音盤のサウンドを忠実にステージで再現する事をコンセプトにしつつも、あくまでも基本姿勢は“コミック・バンド”を貫くクイーン偏愛バンド。2013年には、ポール・マッカートニー夫人の誕生パーティーで演奏し、ポール始め奥様、メンバーらを大爆笑(?!)させたほどだ。
<映画『ボヘミアン・ラプソディ』にちゃっかり便乗/Ray Wa!(令和)コール&レスポンスも>
この日はGUEEN恒例の春&秋リサイタルの一環。今年は映画のヒットにちゃっかり乗っかって、タイトルも【GUEENのボヘミアン・ラプソディ】と思いっきり映画寄せ。冒頭、左右のスクリーンに映し出されたのは20世紀FOXのオープニング風の映像。が、よく見ると21st Centuryでなく“29th Anniversary”の文字。しかも、ブライアン・メイが弾いたファンファーレ風に鳴り響いたのは寅さんのテーマだ! オープニングから笑いを取ってくる。
スモークが焚かれる中。ステージにメンバーが表れ「炎のロックン・ロール」でコンサートはスタート。初期のフレディお馴染みの黒のバレエスーツに身を包んだフレディ波多江は、マイク・スタンドからマイクが抜けず悪戦苦闘……スタッフの助けでなんとか窮地を脱しマイクに向かう。もちろん、これもネタ。場内苦笑いの中、しばらく真面目(?!)に演奏。MCでは、映画公開前の昨秋のコンサートでヒット祈願した事を話し、映画の大ヒットはあの時のウチらの祈願のおかげ!と嘯いて笑わせる。
「アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー」でドラマーがリード・ボーカルを取る間にフレディ波多江はお色直し。「誘惑のロックン・ロール」では純白のザンドラ・ローズの衣装で再登場。曲中のコール&レスポンスでは「Ay Oh!」ならぬ「Ray Wa!(令和)」で客席を沸かせる。
<あの悪徳マネージャー、ポール・プレンターまでもが登場し場内、大爆笑!>
続いてフレディ波多江はピアノの前に座り、おもむろに「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」を弾き始めると、ピアノの傍らには煙草を咥えたポール・プレンターの姿が。映画では適役として描かれたフレディの付け人だ。映画のあのシーン同様、ポールが波多江の唇にそっと近づいたところで暗転し、場内は大爆笑。かと思うと、「愛にすべてを」では感動の演奏で場内は感涙の大合唱と緩急自在で客席を翻弄し続ける。
<会場全員参加の自転車ベルタイム/バイシクル・レース>
ブライアン・井口がピアノを弾きながら「オール・デッド」を歌う間に、フレディ波多江は3度めのお色直し。今度は黒のレザー・スーツに黒のポリス・キャップ。1979年LIVE KILLERSツアーの頃のフレディの衣装だ。曲は「バイシクル・レース」! 間奏ではGUEEN恒例の自転車ベル・タイム。ファンはマイ・ベルを取り出し、持ってない新しいファンにはメンバーがステージから配布し、全員での自転車ベル鳴らしタイム。新元号を祝って自転車ベルで三三七拍子を鳴らす一幕もあり、お客さん皆さんが楽しそうでニコニコしている。
<OPコーラスから、オペラ・コーラスまで!まさかの「ボヘミアン・ラプソディ」完全演奏>
「地獄へ道づれ」から、フレディ波多江はこの日4度目の衣装チェンジで登場。黄色いジャケットに白いパンツ。フレディ生前最後のライブとなった1986年マジック・ツアーのコスチュームで大ヒット曲の連打。もちろん「ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」での女装も忘れない芸の細かさ。衣装スタッフの苦労が忍ばれる。
圧巻は「ボヘミアン・ラプソディ」。前述の通り、GUEENの信条はスタジオ盤の完全再現。本家クイーンのメンバーですらライブでは演らない冒頭のコーラスから、あの中間部のオペラ・コーラスまでメンバーで生披露。初めてGUEENを観たオーディエンスを驚かせた。
気がつけば、映画『ボヘミアン・ラプソディ』に使われた楽曲を演奏しながら、フレディ歴代の衣装と、その時代ならではの演奏でクイーンのライブの歴史を一気に辿っていった技は圧巻。ちょいちょいお笑いを挟むも、クイーン愛に満ちた確かな演奏技術があってこそ。GUEEN恐るべしだ。
<アンコールはお約束のLIVE AIDならぬLIVE EDO>
映画『ボヘミアン・ラプソディ』に思いっきり寄せた、この日のラストはもちろん【ライブ・エイド】。スクリーンにはライブ・エイドのステージに向かうフレディ波多江が映し出される。ステージ後方にはLIVE AIDならぬLIVE EDO(?!)の旗が。ご丁寧にもギターのネックはアフリカ大陸ではなく、東京都の地図に刺さっている。
そこへ、ステージには警官姿の2人が登場。実際のクイーンの演奏前に、警官に扮した人気コメディアンのメル・スミスとグリフ・ジョーンズの名調子のやり取りだ。とはいえ、映画ではもちろん、ライブ・エイドのDVDにすら入ってないこのシーン、おそらく殆どの人は知らないはず。そこまでやるか!と改めてGUEENのこだわりの凄まじさを痛感する。
警官ふたりの紹介で、いよいよGUEENのメンバーがステージに再結集。ここからの21分は、あのLIVE AIDのパフォーマンスを完全再現。フレディにつきまとうカメラマンや、ケーブルさばきのアシスタント君までも、本物と一緒の動きをするから、こだわり度は半端ない。普段はスタジオ盤の再現を信条とする彼らだが、この日はライブ音源にスタジオ盤のアレンジをMIXさせる、GUEENならではのトリッキーな演奏を披露。笑わせながらも、「RADIO GA GA」から「伝説のチャンピオン」まで客席を完全にひとつにさせてしまう。オーラスの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」までも生演奏し、笑いあり、感動ありの見事なパフォーマンスで2時間20分のステージを疾走した。
国内最古のクイーン・トリビュート・バンドとしての貫禄を終始見せつけたGUEEN。次回のワンマン・ライブは11月9日(土)、同じ会場で予定されている。
◎【GUEENのボヘミアン・ラプソディ】セットリスト
令和元年5月5日(日・祝)@東京渋谷・TSUTAYA O-EAST
01.炎のロックン・ロール(Keep Yourself Alive)
02.ドゥーイング・オールライト
03.輝ける7つの海(Seven Seas of Rhye)
04.キラー・クイーン
05.アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー
06.誘惑のロックン・ロール(Now I’m Here)
07.ラヴ・オブ・マイ・ライフ
08.愛にすべてを(Somebody to Love)
09.オール・デッド
10.バイシクル・レース
11.ファット・ボトムド・ガールズ
12.ドント・ストップ・ミー・ナウ
13.‘39
14.地獄へ道づれ
15.アンダー・プレッシャー
16.ブレイク・フリー (自由への旅立ち)
17.ボヘミアン・ラプソディ
18.ボーン・トゥ・ラヴ・ユー
19.リヴ・フォーエヴァー(Who Wants to Live Forever)
20.ショウ・マスト・ゴー・オン
<Encore~【LIVE AID 1985】>
21.ボヘミアン・ラプソディ
22.RADIO GA GA
23.ハマー・トウ・フォール
24.愛という名の欲望
25.ウィ・ウィル・ロック・ユー
26.伝説のチャンピオン
27.ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン
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