2019/05/01
55年のキャリアを誇る女性ロッカーのパイオニア“スージー・クアトロ”が、オリジナル・ソロ・アルバムとしては8年ぶりとなるニュー・アルバム『永劫の女王(原題:No Control)』を4月24日にリリースした。
スージー・クアトロは、1964年に実姉らと組んだバンド“The Pleasure Seekers”でキャリアをスタートさせ、地元・米デトロイトを拠点に活動。1970年にはプロデューサーのミッキー・モストに見出され渡英し、1972年にソロ・デビュー・シングル「Rolling Stone」をリリース。1973年にはハードロック路線へ変更しリリースした2ndシングル「Can The Can」が大ヒットし、その後、「48 Crash」、「Devil Gate Drive(悪魔とドライヴ)」、「Tear Me Apart(恋はドッキリ)」などのヒット曲を連発。ここ日本でも1970年代を中心に人気を博した。
レザーのジャンプスーツに身を包み、エレキベースを手にロックンロールを歌うその姿は、女性ロッカーの先駆けとして語られることも多い存在だ。
今年、御年69歳を迎えるスージー・クアトロだが、本作のアートワークに写る凛としたその姿が現役ロックンローラーであることを示すと同時に、アルバムでも期待どおりの秀逸なロックを掲示している。
もちろん全盛期の突き抜けるようなハイトーンはないものの、張りのあるハスキーヴォイスは健在。クールにドライブするロックチューン「No Soul / No Control」「Macho Man」では特にソレが際立ち、スージー・クアトロならではのカッコ良さを発散する。また、過去のヒット曲に引けを取らない「Strings」「I Can Teach You to Fly」や日本盤ボーナストラックの渋いアコースティックバラード「Heart On The Line」といった秀曲もあるなか、ウェストコースト・サウンドな「Love Isn't Fair」で抜け感を演出するなど、ベテランならではの高い次元での遊び心も魅力的。ベースは70'sロックながら、飽きを感じさせないバラエティ豊かな楽曲群も特筆すべき点だ。
音楽で“年”を感じさせるようになってはスージー・クアトロ自ら一線を退くだろう。ニューアルバム『永劫の女王』では年齢を感じさせるどころか、アーティストとして脂の乗り切った状態を未だ維持していることが窺える。何の前情報もなく聴けば「この次元で本格的なロックを歌える女性アーティストがいたのか」なんて声も聴かれそうな本作は、全盛期のファンはもちろん、ロックを知らない若い世代にも是非聴いてもらいたい。
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