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2019/04/12

【TGC】で来日したホールジーが語る、ソロ初の全米No.1「Without Me」制作&ヒット後の変化

 米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”で12週にわたり1位を獲得したザ・チェインスモーカーズの「クローサー」にフィーチャーされたことでその名を馳せた、現在24歳のシンガー・ソングライター=ホールジー。

 昨年発表した『ロミオとジュリエット』の物語をコンセプトに掲げた2ndアルバム『ホープレス・ファウンテン・キングダム』では米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初の1位に、さらに今年1月には、約1年間交際した元恋人Gイージーとの破局について歌った哀愁漂うバラード「Without Me」でソロ曲として念願の“Hot 100”1位に輝いた。

 さらには、世界を席巻するBTS (防弾少年団)との新曲「Boy With Luv」が、まもなくリリースされる、現在絶好調のホールジーが【TOKYO GIRLS COLLECTION】に出演するために「第2の故郷」と語る日本の地へ。早くも3rdアルバムの制作に取り掛かっているという彼女に、「Without Me」の制作とヒット後に起こった変化について話を訊いた。

―数か月経ってしましたが、「Without Me」でソロとして初の米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100” 1位を獲得しました。おめでとうございます。
ホールジー:ありがとう。クレイジーよ!(ザ・チェインスモーカーズとの「クローサー」で)初めてNo.1を獲れたのも嬉しかったけど、やっぱり今回は格別。私自身の曲だから。

―曲の内容もとてもパーソナルなものです。
ホールジー:そうなの。音楽を作ろうと思ったきっかけは、自分と正直に向き合いたかったからで、その内人々に評価されるようになった。すると、やや尻込みしてしまい、自分の感情を過度に守るようになってしまった。だから、そもそもなぜ音楽を作ろうと思ったかという理由に立ち返らなければならなかった。そこで誠実さを表にし、ファンを信頼して自分に共感してくれると強い心を持つことが必要だった。彼らが、あなたのことを好きな理由の一つは、あなたに共感しているからだって。そして他人に何を言われても屈しないほど、自分を強く信じなければならなかった。


―様々な人々の共感を得ながら、「Without Me」がヒットしていくのを目の当たりにするのは、アーティストとしてやり甲斐が感じられたと思います。
ホールジー:うん。この曲は、破局についての曲。パートナーと交際をしている時って、時にその人がいないと何もできないって感じることもあるじゃない?この曲が面白いのは二面性があるところ―「あなたのことをこんなにも助けたのに、私がいなくても何でもできるなんてどうやったら思えるの?」と問う反面、「この人がいなくても、自分はこれだけのことができる」と自分のことを見つめ直すという意味もある。だから、この曲が成功し、多くの共感を呼んだことは、私にとって大きな心の支えになった。それがなかったら、私は惨めで、寂しい時期を過ごしていたと思うから。この曲のおかげで、孤独感が和らいだと言えるわね。

―2ndアルバムには収録されていない曲ですし、ある意味サプライズで発表された曲でもあります。
ホールジー:私自身、何か言わなきゃいけないと思っていたし、ファンたちも知りたがっていた。これは完全に自分のせい。まだ付き合っていた頃、彼とのデュエット(Gイージーとの「Him & I」)を発表していたから。その曲をリリースした時点で、自分の恋愛関係にリスナーを招き入れ、その一部になってもらった。だから関係が終わった時、招き入れた人々は「え、どうしたの?どうなったのか教えて~」って感じだった(笑)。最初の曲を作ったことで、みんなを巻き込むことを自ら選んでしてしまったから、いまさら「あなたたちには関係のないことよ!」とは言えなかった。でも、Twitterで……

―まくし立てること?
ホールジー:うん、それは自分らしくないと思ったから、自分の想いを曲にした。私から提供できるのはこの情報、でも自分なりにやりたかった。特にアメリカだと、パパラッチやタブロイド紙など多くの人々が……権利なしに色々なものを奪っていく―大切な瞬間、キス、喧嘩……。

―何もかもが事細かにネット上にアップされてしまう時代ですからね。
ホールジー:時には、不本意にね!自分にとっての大切な瞬間を、勝手に誰かに獲られてしまうとショックなこともある。だから別れた時、感じていたことを自分なりに表現したかった。みんなが「私はこうだって聞いたよ」、「彼、こんなことしたんだって」と好き勝手に、憶測で話すことはわかっていたから、歯止めをかけなければならなかった。「答えが欲しいのであれば、私の口から直接聞かせてあげる」って。

―これが真実だよ、という具合に。
ホールジー:その通り。そうしたことで、コントロールを得ることができたと感じるの。

―自分自身の物語、キャリアを。
ホールジー:うん、本当にそう!可笑しな話よね。

―特にホールジーの場合、文脈を無視して色々解釈されることが多そうですし…。
ホールジー:ほとんど、そうよ!

―ちょっとしたツイートでも。
ホールジー:そう、「ヴェジタリアンやヴィ―ガンにはなりたくない、もう今後一生ピザしか食べない」って、冗談でツイートしたとする。私は、ピザが本当に大好きなんだけどね。すると数時間後には、「ホールジー、菜食主義は悪だと話す」、「ホールジー、ピザしか食べちゃダメと投稿」とかいう見出しがついた記事がごまんと掲載されて、もう勘弁してよ、ただのジョークだよって(笑)。さすがに私もいら立ちを感じることが、たまにはある。

―「Without Me」をパフォーマンスする時は、どんなことが頭を駆け巡るのですか?特に『サタデー・ナイト・ライブ』のパフォーマンスはとても生々しくて、バックドロップもショッキングでした。
ホールジー:様々なことが駆け巡る……初めてパフォーマンスした時から最後のパフォーマンスを行う過程で、かなり変化した。たしか初めて披露したのは【MTVヨーロッパ・ミュージック・アワード】だったと思うけど、怒りを感じていて、混乱した状態で、きっと観た人もまだ持ち直していないんだろうなと分かるようなものだった。その次に英BBCのためにロンドンで再びを曲を歌った時は、とても悲しくて、脆くて、痛々しいものだった。続く、ヴィクトリアズ・シークレットのファッション・ショーの時は、周りに素敵な女性がたくさんいて、その日の自分のルックスにも自信を持つことができていたし、ステージがランウェイだったことが相乗効果をもたらし、力強く、自信にあふれたパフォーマンスができた。

 今年初頭の『SNL』でのパフォーマンスを最後に、もうこの件について話すのは終わりと考えていた。曲がリリースされた後にも、答えなければならないいくつかの質問が生まれたから、それに答えたら、もうこれ以上私から提供する情報はない、この本はもう閉じようって。もちろん今後ずっと曲をパフォーマンスしていくつもり。お気に入りの曲の一つだし。書いた時は、ものすごく悲しかったけれど、曲をパフォーマンスをすると、自分がとても強く感じる。自分にとって、そんな風に曲が変わっていくというのは、素晴らしいことだと思う。自分とともに変化していくの。


―そんな風に感じたのは、この曲が初めてですか?
ホールジー:初期の頃に書いたもので、いくつかある。人間としてのサイクルゆえに、曲との関係性って、とても奇妙なもの。例えば、私が19歳の時にリリースしたEPに「Hurricane」という曲が収録されているんだけど、強い女性であること、私は誰の所有物ではない、私は私という内容で、この曲を歌うことは自分に力と誇りを与えてくれた。けれど、その後タフな恋愛関係に陥った時に、この曲を歌ったら悲しくなった。なぜなら私は、この曲を書いた時の力強い女性ではなくなっていたから。でも今はまた力強さを感じる。そんなに若かった頃に自分が強い人間だと理解していたのであれば、今の自分が強くないわけないと気付いたから。


―ここ数か月間の内にライフスタイルを変えたことをツイートしていましたが、そうしたことがあなたのパーソナルな面やクリエイティブ面に与えた影響は?
ホールジー:とても可笑しなことなんだけど……私は常に人目にさらされる立場にある。ミュージシャンにとって記念すべき瞬間だと人々が認識するのって、人生の節目だと思うんだ。多分私がシンガーじゃなくても、25歳になれば「もう夜遊びなんてしない!」って誓ってたと思うし(笑)。成長し、大人になる上で、自然な道筋だから。でも私の人生は、様々な形で捉えられていて、後世に残るものだから、自分がどのように変化しているか、きちんと説明しないと、人間的に変わっていないと思われてしまう。自分のライフスタイルを変えたってわざわざ説明する義務はないけれど、説明しなければ気づかない人もいる。昔の写真や過去のインタビューのイメージがあるから。


―確かに、最初の印象が一番インパクトがあって、その人の大ファンではない限り、そのイメージって変わらないものですよね。
ホールジー:その通り、だからこれをツイートすることに意義があった。投稿を行った後、私のファンたちは「自分の思うようにやったらいいよ、私たちは気にしないよ」って、いつものように背中を押してくれた。そこまでファンでない人たちは「クールだね、そんな風に考えているのを知ることができて良かった」って。むしろ、そういう人たちからのリアクションのが大きかった、と思う。

―ニュー・アルバムの制作を行っていることも明かしていて、「このアルバムを制作することは自分を許すという教訓でもあった」と綴っていましたが、やはり自分に厳しくしてしまうタイプ?
ホールジー:いつもそう!曲を書く時……深く考えないで書くことが、時にあるんだけど、後から読み返して自分を驚かせることがある。どうやって私の脳はこんなことを考えたんだろうって。それがポジティブな内容の時もあるけれど、ものすごく酷くて、ダークで、恐ろしい内容の時もある。なぜ私はこんなことを言ったんだろうと、人生を見つめ直すきっかけにもなる。


 2ndアルバムに収録されている「Devil In Me」という曲の中に「I let everyone down when I changed in size」という詞があって、自分を小さく見せようとすると、自分の周りの人々を落胆させてしまう、という内容なんだけど、この詞を書いた時、「私って本当にこんな風に思ってるの?」って驚いた。自分のことをそんな風に思ってたなんて、この詞を書くまで全然気づかなかったから。

 今回ニュー・アルバムの制作を行う上で、そういう瞬間がたくさんあった。一瞬だけど、ここ最近自分に正直でない振る舞いをした。それが起こらなかったふりは、私にはできないし、その行為を認めなければならない。どうやって認めるかいうと、たとえ一瞬でも心が弱かった自分を許すこと。いつも100%自信があって、正直でいられるわけじゃない。進路から外れても、自分が進むべき道に戻ってくればいいし、ある朝起きて「私ったら何やってるんだろう?」って思うことがあっても大丈夫、だからって悪い人間になるわけじゃないって、ファンたちにリマインドしてあげたい。だって自分がどこへ進むべきかというのは、そこから一度離れないとわからないものだから。


―ヤングブラッドとのコラボ曲「11 Minutes」についても教えてください。【ホープレス・ファウンテン・キングダム・ツアー】が終わった後に書かれたものですか?
ホールジー:そう、あの曲は最近書いたもので、完成したら(「Without Me」と同じように)すぐにリリースしようって思った。プロモーション計画、マーケティング、方程式みたいなものに縛られず、曲をリリースすることに対してやや大胆になれてきたような気がする。曲がヒットするかどうかということに重点を置くことを止め、自分自身が気に入っているかどうかを重視することにした。これはありがたいことで、すべてのアーティストがそうできるわけではない。これまで幾分か成功を収めることができたから可能なこと。物事がうまくいくか、毎朝祈ることをしなくてもよくなった。今後もずっと音楽を作り続けると分かっていて、毎日それが可能か、可能じゃないか、悩まなくてもよくなった。そのゆえ、創造することができて本当に幸いに思う。まだ成功を収めていなかった時、何を作っても「みんな気に入ってくれるかな」という恐れがあって、その感情は今でも鮮明に覚えているんだ。


―アートを作る上でのパラドックスですよね。
ホールジー:本当にそう。「Without Me」が全米1位になった時、みんなに「1位になって大喜びなはずだよね」って言われた。嬉しい反面、次も1位を獲ることへの期待にとてもナーヴァスになった。また獲りたいかわからないし、次にリリースする曲が“1位になる曲”になるかもわからない。

 「Without Me」は、多くの人々が共感できる内容だった。だからと言って、自分の曲がすべてそうかと言ったら違う。私の曲は、何か具体的な経験をしている人のための曲で、それが1位なる曲とは限らない。でも作らなければならないし、リリースもしないといけない。すべての人が共感できるような曲しか制作されなくなったら、個々のアーティストをユニークにする“小さな瞬間”が見失われてしまうと感じる。

―近々、単独ライブで戻ってきてくれることを期待しています。
ホールジー:ここ1年間で数えきれないほど日本に来ているし、本物の友達がたくさんできた。他の国にも、アーティストやインフルエンサーの友達がいるけど、「ハーイ!元気だった?」みたいな、上っ面な関係ばかり。でも東京にいる友達とは悲しい時でも話せる。多分シカゴとかへ行った回数より、来日した回数のが多いんじゃないかな。

―それは驚きです!
ホールジー:みんなに教えてないだけで、プライベートでよく来ているんだ。LAでの生活から逃れたい時は必ず日本に来てる。

―ハリー・スタイルズやエド・シーランなども、日本だとあまり気づかれないようで、お忍びでよく来日している印象ですね。
ホールジー:そうそう。私は自分のファンと交流するが大好きだし、日本でもよく会っている。みんな、とても礼儀正しくて、会った時に心から喜んでくれると、私も嬉しくなる。海外だと、泊まっているホテルへ忍び込んできたり、誰かと食事している時に話しかけてきたり……医者の診察所まで追いかけてきたファンもいるの!「私、病気なんだよ!何やってるの」って感じでしょ(笑)。でもそういうのが嫌いじゃない部分もある。気分が高まって、私が普通の人間だっていうの忘れているだけだと思うから。日本に来ると心がとても落ち着く。こう感じるのは世界中で日本だけ。次はどこからパパラッチが出てくるんだろうっていう不安がないし。日本に来るのは本当に大好き!


◎プレゼント情報
抽選で2名様に取材時に撮影したホールジーのサイン&イラスト入りポラロイド写真をプレゼント
<応募方法>
01.Billboard JAPANの公式twitterアカウント(@Billboard_JAPAN)と洋楽専用アカウント(@BillboardJP_INTをフォロー 
02.インタビュー記事をRTで応募 
※応募締め切りは、4月24日(水)正午となります。
※当選者の方には、@Billboard_JAPANよりDMを送ります。当選時に同アカウントをフォローされていない場合、当選は無効となります。

<受付期間> 2019年4月12日(金)~24日(水)12:00

 

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